実力とは
中二病ですどうも。なんか文句でもあるのか
この世には、能力という物が存在する。
この物語はそんな能力主義の世界を生きる、無能の話である…
僕は、いじめられている。
この世は、能力が無い者には人権なんて物はない。
僕、七瀬蒼生は、無能だ。廻公中学に通っている。
能力を持たないから虐められる。そんな事が当然のように有る。
僕はこの中学校で頭も、技能も最低の、無能。
この世界は、頭か力どちらでも凄ければ優遇される。
てなわけで今、学校の上位の奴らにボコされているってわけだ。
「お前、雑魚の癖になんで伸びないんだよ!!」
「僕にやりすぎて僕の無能が移ったか?」
僕は絶対にやり返したりはしないが、口は出す。
殴られる。言われる。言う。殴られる。言われる。言う。この事が永遠に繰り返される。
だが、こんな人生でも一つ、楽しみは有った。
飯だ。
僕はとにかくやられても、飯があればどうにかなると思っている。
特に好きなのはカレーだ。毎日同じ店で同じカレーを食べている。
店に入り、いつもの注文をする。ほぼ毎日同じ店員なので、事情を知っていて手当をしてくれる神みたいな人だ。
そして、しばらく待っていると、カレーはやってきて僕は手を合わせて食べ始めた。
「隣、良いかしら?」
僕は視線を上に上げる。そこには無能な僕に唯一優しくしてくれる、駒治琴乃がいた。
「いいよ」
と、短く返し、琴乃は前の席に座る。
「また、酷い怪我ね。貴方、少しもやり返さないの?」
核心を突くような質問を彼女はよくしてくる。心の中でも読んでいるのだろうか。
「僕がやったらアイツ死んじまうからな」
僕はあえてネタに振って返事をしてみる。
「私は真面目な話をしてるの…」
少し切れ気味に話しかけてくる。僕は一口水を飲んでから、
「ああ。僕がやっても、ただ更にキレられるだけだから…」
僕の目は少し曇ったように見えただろうか。
「そうなのね…」
「ま、食べ終わったから帰り道で話させてくれ。」
「分かったわよ」
と、会計を済まし、店を出る。
「そういえば貴方、七星学園に行くつもりはない?」
琴乃が聞いてくる。七星学園とは、世界最高峰の能力主義の学園。力が無い者は入る事すら出来ない。
「僕は、飯を食べる事が出来れば満足。」
「あら、入れないからとは言わないのね?」
僕は彼女の言葉に目を見開く。
「入れないよ。僕なんかじゃあさ。」
僕の訂正に、
「てか、能力主義のこの世界じゃ学歴なしだったらご飯も満足に食べられないわよ?」
とだけ彼女は言った。丁度そこで家までの道は分かれるので、それぞれの帰路につくのだった。
翌日、その日は放課後いつも虐めてくる奴に呼ばれなかった。
そこで気付いた。虐めてくる奴がいない日はだいたい優奈が帰りを誘ってくるはずだ。
もしやと思って、いつも虐められる所へ行ったが、誰も居なかった。
もう一つの虐められる場所、屋上。逃げ道が一つしかないため回り込まれたら終わりだが、もし琴乃が攻撃されているなら救わなければならないと思った。
そして、階段を駆け上った屋上の入り口は既に開いていて、そこには琴乃と僕をいつも虐める者が居た。
「お前、学校で一番頭良いだろ?学校から一人、七星学園への推薦あんだよなあ!一つ選べ、その座を降りるか、死ぬかだ…」
琴乃はこの学校で一番の実力者。もう少しで受験のタイミングだ。
彼女は顔を曇らせる。
僕は、教師など一人も呼ばずに屋上に出た。
虐めてくる奴は振り向いて、
「お前、教師連れてきたのか!?お前一人じゃ戦えないもんなあ!!」
と、琴乃を殴ろうとしていた手を引き、僕の方に詰め寄る。
「教師は誰も呼んでない。自分が弱いからって人に頼る事は弱者のすることだ!」
「自分の実力も分からないバカがよお!!」
跳びかかってくる。
「交渉は言葉でするものだ。」
僕は一言そう言うが頭に血が上りすぎたコイツは聞く耳を持っていなかった。
僕の頸を掴み、屋上の網に僕を突きつける。
そこで右目を殴り、僕の右目が落ちる。
このままでは僕自身が窒息死する。
「しゃあないなあ。暴力には暴力で対抗する。」
僕は小さく言って、右腕で僕を網に突きつけた腕を持つ。
そこで一気に投げ、地面を3メートルほど転がす。
「目、なんで…」
「なんで俺に目がないか…潜ってきたからだ。激戦を…」
次の瞬間俺の落ちた右目がまた出来る。
「なんかの能力か?じゃあなんで能力測定で無能力って…」
コイツは腰を抜かしながら言う。
「これは能力なんて物じゃない。」
と言って、頭を突く。その時、コイツは意識が遠のき、倒れる。
「時間を戻せ。」
そうすると男は消え、何処かへ行った。
次の瞬間、琴乃が走ってきて、
「強かったのね…目については聞かないけれど、それなら七星学園に行けるわよ!」
「…分かった。行ってやるよ、能力主義の学園に。」
と、俺は返すのであった…
天ノ魂斬と一緒に作るから頑張るね