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母を探すために妖精になる  作者: 二光 美徳
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第6話 出会い

 6月に入って、雪夏はまたばあちゃんと山の上の畑に行った。


 前に行った時は春になったばかりでまだ風は冷たかったけど、今はもう暑い。

 でもしばらく雨の日が続いていたから、久しぶりの天気で気持ちがいい。


 雪夏はまたばあちゃんの手伝いはしないで、あのロープの張ってある場所へ一人で歩いて行く。


 今の時期は山菜も無いけど、あのロープの奥が気になるのだ。


 ロープの近くまで行くと、またカタカタと何か動いている。


 ん?また何か捕まってる?


 今度は何が捕まってるのかなー?と近づいてみる。


 あれ?


 この前捕まってて、逃してあげた、あの何か分からない動物と同じに見える。


 雪夏は今まで見たこと無いと思ってたけど、この動物はこの辺りにいっぱいいるんだな、と思った。


 ワナのカゴに近づいてその動物を観察する。雪夏が見ると動物も雪夏を見て目があった。


 やっぱり可愛い。

 触ってみたいが、くじったり噛んだりしてきたら怖いので、ただじっと見つめる。


 しばらくの間、観察する。


 「何で捕まっちゃったの?この前と同じ子?」

と、雪夏は独り言のように動物に話かける。


 前の時みたいにすぐには扉を開けず、割と長い時間観察していた。


すると、

 「あのー…、もう一度ここから出してもらえないでしょうか?」

と、動物から声が聞こえてきた。


 ⁉︎


 雪夏はびっくりして辺りを見渡す。

 でも誰もいない。


 「きみ、しゃべった?んなワケないよね?」


 「あ、いえ、ボクが喋ってます。」


 ⁉︎ ⁉︎


 やっぱりこの動物が喋った!


 「お礼はちゃんとしますので、もう一度ここから出してほしいです。」


 「何で喋ってんの⁉︎」


 「出してくれたら、ちゃんとお話ししますので…。」


 「くじったり、噛んだりしないよね?あと、急に飛び出るのも無しね。約束だよ?」


 「そんな事はしません。約束します。」


 雪夏は約束はしたものの、ちょっと不安だったので、ビクビクしながらそーっとカゴの扉を開けた。

 名前の知らない動物は、約束通りゆっくり出てきた。


 「ここから出してくれてありがとうございます。ボクの名前は天青てんせいといいます。」

と言ってペコリとおじぎした。


 「天青?名前があるってことは、誰かのペットなの?」


 「いえ、ペットではありません。神さまが私に付けてくださったんです。

 あなたは、何ていうお名前ですか?」


 「私は雪夏せっかだよ。」


 「素敵なお名前ですね。」


 「ありがとう。ところで、何で動物なのに喋れるの?」


 「私は動物ではないんです。今から本当の姿に戻りますので、ちょっと待ってくださいね。」

 天青はそう言って、クルクルクルと回りだした。


 回りながら、少し上に飛んで、羽の生えた小さな男の子に変身した。


 大きさも羽の形も、大きなトンボの“オニヤンマ”の様だ。でも、身体も顔も人間の男の子で、絵本でよく見る妖精みたいだ。

 そして整った顔立ちをしている。


 「うわ!」

雪夏はすごくびっくりした。

 「あなた、妖精?」


 「はい、よく分かりましたね。ボク妖精なんです。」


 雪夏は夢を見てるのかと思った。

 妖精なんて、いるわけない…。


 でもじいちゃんの言う通り、本当にいるー⁈

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