第27話 ご飯食べたい
雪:「お腹、全然空かないね。」
モクル:「そりゃ、オレが守ってる土地だからな。」
雪:「ん?土地とお腹と、話繋がってる?」
モクル:「何もしらねーんだな。妖精は、口から物を食べるやつもいるけど、オレやお前らみたいな種族のものはだいたい大地や木や草からエネルギーを貰ってるんだ。
この小屋は、ただ枝を組んで作っただけじゃないぞ。エネルギーを十分取り込めるように計算して作ってある。
だから、お腹も空かないし、疲れも取れる。スゲーだろ。」
武:「へぇー、それはすごい!でもさ、食べる楽しみが無いのも寂しいね。」
武路は食べることが好きなので、それが無いと思うと、何となく物足りなさを感じた。雪夏も同じだ。
モクル:「オレは生まれた時からそうだから、全然寂しいとか思わないけど、食べるのってそんなに大事か?
この世界はお前らの世界と違って、食べ物がどこかで売ってるわけじゃない。自分で探すか育てるかしないと、食料は手に入らない。
別に食べようと思えばその辺の草や木の実を拾ってきて食べればいいさ。
食べる必要は無いけど、食べたらダメってワケじゃないから。」
モクルの話を聞いて、雪夏と武路は顔を見合わせる。
雪:「私は、食べなくても平気かな。」
武:「お、俺も。」
雪夏と武路は自分で食材を探して料理するなんて、無理だと思った。
モクルは奥にある部屋から、一組の布団を持ってきた。
モクル:「お前らはコレで寝ろ。オレは自分のヘッドで寝るから。」
と、3人の前に差し出す。
雪:「え、えぇー、3人で?やだー。」
雪夏は武路の顔を見て、頬を赤らめる。
モクル:「なんだよ。1つしか無いんだから、しょうがないだろ。別に恥ずかしがる必要もないだろ。」
モクルは人間の感覚を持ったままの雪夏に呆れる。
武:「俺は布団要らない。どこでも寝れるし、いつも寝る時布団なんか被ってないし。」
天:「私も大丈夫ですよ。私は妖精なので、布団では寝たことがありません。葉っぱで十分です。」
雪:「そ、そう?じゃあ、私1人でこの布団使っていいの?」
雪夏はホッとして、サッサと布団を敷いて寝てしまった。
3人は、雪夏のあまりにも素早い行動と寝付きの良さに、顔を見合わせて大笑いした。
武:「そりゃ疲れるよな…。」
そう呟くと、武路も同じく一瞬で眠りにつく。
モクルはやれやれといった感じで、武路にそっと柔らかい葉っぱを掛けてあげ、ランプの灯りを消した。
夜が更けて、辺りはすっかり暗闇に包まれている。妖精の世界にも月はあるが、今日は細い三日月なので、月の光はほぼ届かない。
妖精の世界へ迷い込んだ虫たちが、リンリンランランと騒がしく鳴いている。
雪夏は少し浅い眠りになったが、いつも家から聴いている虫の音に安心する。
ー私、家で寝てるんだっけ?ぼやっとそう考えたけど、眠気の波がやってきて、また深い眠りについた。




