第17話 お母さんの記憶②
雪夏の記憶の映像が続く。
病院を退院するのだろうか、雪夏はドレスのような可愛い服を着せてもらっている。
お父さんが荷造りをして、
「じゃあ行こうか。」
と言った時、看護師さんがやってきた。
「写真撮りますよ。」
お父さんとお母さんと私、3人一緒に写真を撮ってもらう。
ウチにある、唯一の写真はこれだったんだ。
お父さんが他にも写真を撮ろうとするが、「あれ?あれ?」と言って全然撮れない。
「カメラ壊れた…。」
お父さんが申し訳なさそうに言う。
お母さんは少し残念そうに微笑んだ。
3人で家に帰ると、じいちゃんとばあちゃんが出迎える。
順番に雪夏を抱っこして、可愛い可愛いと言う。
しばらくお披露目してから、お父さんとお母さんと3人で部屋に入り、雪夏が泣いたらオッパイを飲ませ、泣いたらオムツを替え、また泣いたら抱っこする。
赤ちゃんの世話はとても大変なのだと思った。
そんなに泣いたら、お母さんが大変じゃん!と、赤ちゃんの自分にちょっと腹が立つ。
でも、神様の言う通り、オッパイ飲む時やオムツ替えの時は、ぼやっとした感じで、男の子が見ても大丈夫になっているのでそこは安心した。
夜中になってもちょっと寝て泣き、オッパイ飲んで寝て、またちょっとしたら泣いての繰り返しだ。
次の日も、同じだ。
朝も昼も夜も、泣いて飲んで、オムツ替えて寝て、のサイクルをすごく短い時間で繰り返す。
また次の朝になったら、お母さんがすごく眠そうな顔をしている。
雪夏は、赤ちゃんの私の世話が大変過ぎたから、お母さんが家を出てしまったのだろうかと思った。
お父さんの話では、退院して2日後、お母さんがいなくなったと言ってた。
退院して次の日が1日目なら、今日お母さんが消えてしまうはずだ。
今のところ、そんな様子は全然ない。
「残業しないで、早く帰るよ。」
と言ってお父さんが出勤する。
ばあちゃんは部屋にご飯を持ってきたり、時々様子を見に来たりする。
ばあちゃんが、
「大丈夫?出来ること何でもするから、遠慮しないで言ってね。」
と声をかけると、
「今は大丈夫。眠いけど、この子が可愛いいからずっと見れて、逆にいいかも。」
と笑う。
「先は長いから、無理せんとね。
今大丈夫なら、じいちゃんとちょっと買い物に行ってくるね。欲しいものある?」
「ありがとう。甘いジュース、ちょっとだけ飲みたい。」
「分かったよ、買ってくる。すぐ帰ってくるからね。」
と言って出かけた。
じいちゃんの運転でばあちゃんが出かけて、家にはお母さんと雪夏の2人になった。
もしかしたら、この時なのだろうかと雪夏は思った。




