剣技を習得せよ。
ギルドの借りた部屋に戻ると、次の依頼についてシャナと話し合うことにした。
「何するんですか?兄さん。」
龍から兄さんへと呼び方が変わっていたが気にしないでおこう。
「シャナお前にはこれを渡す。」
「こここ、これは婚約指輪!?」
「違うからお前専用の魔道具だ。」
「そうですか…。」
「地味に落ち込んでるんじゃない。よく聞け。その指輪は魔力がないシャナでも魔法を使えるようにする魔道具だ。空気に漂う魔素を吸収して魔力へと変換する。魔法を使う時指輪から魔力が放出し使えるようになる。」
「すごいですね。もし奪われたら…」
「だから言ったろ?専用だって…他の奴らには使えないよう術式が組み込まれている。」
「そんなんですか。」
「それと今日はシャナのギルド登録と修行を行う。覚悟はいいな?」
「わかりました。」
俺が作った指輪の能力としては、大気に漂う魔素を指輪の宝石が自動的に吸収し、魔力へと変換する。実質無限の魔力があるということになる。またシャナには【重力・時・光】の属性が使用できる。この世界では1人1つの属性しかないと言われているが、極めれば複数持つことが出来る。しかし魔素により全属性が使用できることになる。これがあれば魔力を持たずとも使用できる。さらに宝石には使用者の術式が組み込まれており、認められた人物しか使用できず、盗まれたとしてもただの指輪としてしか機能しない。
覚悟が決まった顔をして俺を見つめる。その顔は俺が小さい頃の顔に似ている。
シャナを連れて受付に行き登録する。それが終わったら修練場へと赴いた。
「シャナには天音剣術を覚えてもらう。」
「天音剣術?」
「俺の世界にある剣術だ。ただしこの剣技は一度しか見せない。そのあと自分でものにしたあと1週間後に実技試験を行なう。この剣技は覚える覚悟があるもののみ発現する。安心しろ。お前なら出来る。」
全ての型を見せたあと、自分自身の力で道を切り拓かないといけない。受付さんには場所を1週間借りるといい、俺は依頼を受け続けていた。
そして、約束の1週間が過ぎる。シャナはボロボロで睡眠を忘れて鍛錬していたらしい。
「では見せてみろ。覚悟を。」
「はい!」
全ての剣技を放つ。それはしなやかで美しく舞っているかのようだった。
(まさかカケル以上とは……しかも型がしっかりとしている。)
「終わりだな……教えることはもうない。頑張ったな。」
「まって……」
「師から弟子へ型の伝承は1度きり……天音剣術の教えだ……あまりにも危険なものな剣ゆえ気と才あるものが途絶えたとき世から消え去ることも仕方なしとされた滅びの剣だ。」
「でも間違いだったら」
「だからそれを忘れるなあとは鍛練のみ」
「よか……た」
シャナは安心したのか倒れて寝てしまった。倒れる前に抱き抱えたが…まぁいいか。
お疲れ様……シャナ