澄夏についてー7月ー
『澄夏はさ、人を好きになろうという気はあるわけ?』
あと一ヶ月ほどで25歳になろうという私に姉はそんな言葉を投げつけてきた。
姉とは5歳離れているとは思えないほど仲が良く、話も合う。
特に趣味の話は尽きることが無い。2人ともミーハーなので
テレビに出続ける俳優やアイドルの話を日々している。
仲は良いが、性格と人生は対称的だった。
特に人生については極端といっていい。
30歳目前にしてすでに2人の子どもに恵まれ、旦那も家もしっかりもち、両親を安心させている。
対して私は働き初めて3年目、25歳目前にして恋人もいない。友達少々。実家ぐらし。
両親の唯一といってもいい不安材料である。
姉も何かと言っては私の将来が不安なようでやたらと最近そのテの話題を投げてくる。
対して私はのらりくらり交わしている。交わすしか無い。
「そりゃあまぁ、推しがこんなにいるくらいですから。人は好きでしょうね。」
ミーハーなので、推しと呼べる存在は多数いるし、幸いなことに職場が実家に近いため
実家暮らしなので、好きに使えるお金も多い。そこまで多額を費やすことは無いにせよ、
好きなアイドルのCDやグッズを買うことは習慣づいていた。
世間的に見ればオタクっぽいのかもしれないが、オタクから見ればそうでもないような
微妙な趣味暮らしを続けている。それが心地よくて自分に合っていると思うからだ。
「そういう好きじゃなくて、ラブというかなんというか・・・。」
「あー・・・。」
それはまた人のコンプレックスを絶妙に突いてくる言葉だな。