11話
ようやく、村が見えてきた。普段なんとも思わない白と黒の家々に胸を張る気分だった。
早速、村の警務官の建物に向かった。
警務官は、主に村の警備や揉め事などの和解など治安に関する仕事を行っている。
法に関する深い知識と剣術、倫理、全て兼ね備えた存在で、村長と同じくらい力を持っている。
この村にいる警務官は三人いる。その中で一番偉い一等警務官が俊介の親父で風月瞬という。どう見ても、そんな偉い存在には見えない。俊介と似ていて、掴みどころがない性格だ。外見は、眼鏡をかけており、目が俊介と同じで細く、顎に芝のような髭を生やしている。
服装は、警務官に支給される細身の黒い着物を着ている。
そんな、暇そうにしている瞬さんがこちらに気づいたようだ。
「お、坊主達?今日は何をしでかした?」
龍也が、最初に口火を切った。
「何もしでかしてない!今回は、悪い奴等を退治したんだ!」
「悪い奴等?」
ウーフェンさんは、龍也が話すと面倒になるのを察したのか、瞬さんに一から説明してくれた。
そして、瞬さんは龍也の頭を揺さぶるように撫でた。
「偉いじゃないか坊主達。見直したぜ。いつも問題しか起こさない連中かと思っていたが、たまには偉い事もするんだな。」
「よせよ!当たり前の事をしただけだ!」
龍也は嫌がりながら嬉しそうな顔をしている。
捕まえた男達は、牢へと別々に入れられた。
今回のように罪状がはっきりおり、証人が複数いて明らかな罪の場合、一等警務官の一任で処罰が確定するらしい。
また、村や町の外では正当防衛の場合人を斬ったとしても罪に問われない。ウーフェンさんは今回これに該当する。
人攫いは通常死罪らしいが、主犯格でない事を考慮して十五年は島流になるようだ。
僕はずっと気になっている事があった。
ハンも島流しになるようだが、十五年も島流になると彼の子供は、餓死してこの世からいなくなるのではないか?
ハンは悪い事をしたが、果たしてその子に罪はあるのだろうか?
僕は、食べる為に仕方なくやった彼を少し不憫に思えた。