9話
ウーフェンさんは、少し眉間にシワを寄せていた。
僕は気になり聞いてみた。
「ウーフェンさん、どうしたんですか?」
「ああ、気になる事があってね。」
「傷の男が話をしていた件ですか?」
「あぁ。魏国の事だから嫌な予感がしてね。」
「そうですね・・・。」
僕は、魏国と倭国の戦争の事を思い出していた。父は学者をしており、歴史に詳しかった。特に十五年前に終結した戦争は父にとっては記憶に新しく、よく話をしてくれた。
その戦いは、魏倭戦争と呼ばれ五年程続いた
戦争の発端は、天災によって魏国の水•食糧が不足した為、領土拡大により問題を解消しようとした魏国の国策らしい・・・
表向きは。
実際は、理由が他に二つあった。第一に、皇帝への国民の不満を逸らす為。第二に、国民の数を減らし口減らしをしようとした。
歴史の本を見ると、このような類の国策はよく見られる。
父は、
『戦争に巻き込まれのは、いつも支配される国民だ。支配する側は、いつも後ろから命令するだけで自分達の手は汚さない。戦争に勝っても負けても、死ぬのは国民だ。
都合の良い情報に踊らされて、何も知らずに死んでいく。それが支配される国民の末路なんだよ。』
そんな事をよく言っていた。
僕は、戦争の事をよくわからなかったので父の話をいつも流すように聞いていた。