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プロローグ
森の隙間から光が溢れ落ちる
光は流れる水を優しく照らし、
水は全ての物を照らす。
水の光に導かれるように
人もまた導かれる。
水に導かれた人々は、
いつからか自分達の形を作り暮らすようになった。
ルールに沿って生きる事を許された人々が、
日々暮らしている。
街の中は、
碁盤上に白衣を着た建物が立ち並び
大河のような石道に活気に賑わう人々。
ある者は地味な衣を纏い、ある者は派手な衣を纏い、
ある者は軽い鎧を纏い、ある者は重い鎧を纏い、
その中身も同様である。
道の奥には全てのものを退けている紅色に染まった門があった。
守衛は、誰も来ない門をしっかりと守り、道を眺める事が仕事になっている。
街の周りには、
風を遮っている幾重にも連なる波のような灰色の壁がある。
周辺にはいくつかの村が見られ、
村と街を繋ぐ道は、糸を紡ぐように人々が往来していた。
郊外には、
穏やかな香り漂う生きた緑の森と鳥声澄んだ碧の川が守るように囲んでいる。
そんな川の上流で、
水面を眺める一羽の鳥が岩で静かに佇んでいた。