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箱の中のダイヤモンド  作者: たきかわ由里
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2-2


「そういうんじゃなくってさぁ。もうちょい凝ったの」

「長芋チーズはどうよ? あ、肉がいいか。男子だもんな」

「好き嫌いはないですよぉ」

 男子、という響きにくすっとする。

「ネギチャーシューはオススメよ。チャーシューは、がっつり俺が仕込んでっからね」

「うん、チャーシュー美味しいよ。ほんと、そこらの中華料理屋より美味しい!」

 裕奈は我がことのように、ユウセイのチャーシューを自慢する。別に仲違いしたわけではないらしい。

「じゃあ、それもらいますね」

「あいよーっと」

 軽い調子も昔のままだ。

 何故呼び出したのか、何故こんな嘘をついているのか、裕奈に聞きたいことはいろいろあるが、今は場の雰囲気も悪くない。それを聞くのは後回しにすることにする。

 ユウセイは、しおんのことは覚えていないのだろうか。あのイベントの日、和馬をはじめとするケルベロスのメンバーと共に楽屋を訪ねたのだが、確かに直接話してはいない。出演者と挨拶を交わすケルベロスを横目に、しおんは親友であるルージュレイズの璃憂りゅうこと龍樹と話していただけだったから。

 そんなことを思い返しながらタバコをバッグから取り出して、裕奈の手元にあった灰皿を少しこちらに引き寄せる。

 視線を感じてそちらを見ると、ユウセイと一瞬目が合った。

 そこには、笑顔はない。

 やはり、裕奈の「彼氏」だということが気になるのだろうか。気が付かなかったフリをして、タバコに火をつける。

「裕奈ちゃん、よく来てるの?」

「うん。時々ね」

「めちゃめちゃ来とるがね」

 名古屋弁でユウセイが口を挟む。

「そうなんですか?」

「時々じゃなくて、しょっちゅうだわ。あんまり来るから、お前彼氏の一人もいねぇのかよって」

「いるもんねー?」

 なるほど、そういう流れだったのか、と一応理解する。

 今でもここへユウセイに会いに通う裕奈が、ユウセイに気持ちを寄せていないとは思えない。けれどユウセイが結婚しているならそういうことにして、ある程度の距離を置きたい、ということだろうか。

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