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93話 セーラーの本当の目的

異次元から現実へと戻った私達は、陰陽師のボウエンさんに『気を失ったまま巨大な水晶に閉じ込められた草人』を手渡した。


因みにレカは、縄で縛り上げた瞬間私達の目の前から縄ごと消えてしまった。あの縄で縛られた人は魔法を使用出来ない筈なのに……何故?


まあとにかく、あのセーラーの部下っぽい奴らの目論見は未然に防ぐ事が出来たみたいだし(何をしていたのかは分からないままだったが)良かったのかな?


(実験現場を発見し、撮影した後に跡形も無く破壊してくれた小鳥にも感謝しなくちゃね)




で、事件解決の後無事に学校に帰った私とカゲリちゃんは………




「カゲリ、ロイワ。幾ら高レベル持ちでも先生を誑かして危険な現場に向かうのは流石に不味い」


「はい、申し訳ございませんでした」


「も、申し訳ございません……」


帰って直ぐに理事長室へと呼び出され、リュユ理事長に説教を食らっていた。


「今後無茶をする際は私に直接連絡するように。話は以上」


そして、リュユ理事長から連絡先が書かれたメモを受け取った所で説教が終わった。



………1分にも満たない説教だった。



まあ何はともあれ、説教も終わったので理事長室から退室しようとしたが……何故か私だけ残るよう言われてしまった。


「あの…まだ私に何か…?」


「違う、此処からは質問タイム。ロイワさん、私に聞きたい事があったら何でも聞いて。私が分かる範囲で答える。草人やセーラーの事とか」


「そう言う事でしたか……いや、寧ろ聞きたい事しかないですよ……そもそも、何故あんなに沢山の陰陽師が居るにも関わらず今の今まであんな数のケタケタに気付かなかったんですか?」


「残念だけど陰陽師は現実に現れた怪異にしか気付けない。仮に気付けたとしても、怪異が潜む異次元に飛び込むのはプロでも危険。陰陽師は怪異が外に飛び出して来るまで待つしか無い」


「……えっ?異次元に移動するのってそんなに危険だったんですか?私何も知らずに飛び込んでしまったのですが……」


「ロイワさんなら迷わないから大丈夫」


「そ、そうですか……」


いまいちよく分からないけど……リュユさんはこれ以上何も言わなさそうだし、私もあまり深く考えないでおこう。


「あっそうだ!セーラーの右腕を名乗る人が現れて、私達に異次元で活動する目的を教えてくれたのですが……」


「うん」


「本人はセーラー復活の為に活動していると言っていたのですが……幾ら子供相手とは言え、機密情報をばら撒くなんて間抜けな行為はしないんじゃないかと思って……もしかしたら、セーラーの復活の準備は既に整っているんじゃないかと思っているのですが……」


多分だけど、別の目的があるような気がするんだよね……


「ロイワさんの言う通り。セーラー完全復活の目処はもう立っている。奴らが異次元で行なっているのは『異世界の物を此方の世界に運び込む』実験」


「異世界の物を……こっちに?」


それって異世界転移ってやつでは?


「うん、彼らは異次元の中にある異世界と私達がいる世界を繋ぎ、異世界に住む化け物を呼び込んで此の世界をめちゃくちゃにしようとしている」


「……何故草人達はそんな迷惑を掛けるような真似を……?そんな事したら草人達にも悪影響が出るんじゃ……」


いや、もしかしたら草人達は此の世界を一度滅ぼし、自分好みに再び作り替える可能性も……





「セーラーは此の世界を憎んでいる」




「……へ?」


「今は詳しくは言えないけど、セーラーは私達が住むこの世界を心の底から憎み、1日でも早く此の世界を潰す為に動いている。だから、セーラーや草人達の計画は全て何とかして潰さなければならない」


よく分からないけど、随分と迷惑な話だなぁ……でも、確かにこのまま草人達に好きに行動されたら私達の生活に支障が出るよね……


「だから、ロイワさんには草人達が行う異次元での実験を少しでも潰して欲しい。草人の為なら学校行事もある程度免除する」


「……いえ、免除しなくても大丈夫です」


「大丈夫?」


「大丈夫です。本当は学校を卒業するまであまり使わないようにしようと決めていましたが……


今は非常事態です!私の『大精霊』の力を使用して異次元で行われる実験をある程度……いえ、全て消し去ります!!」

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