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80話 事件後のお買い物



「ようやく終わった〜!!」


マナタンク事件の後、私とヘル先生はデパートの関係者からカードキーを借り、デパート内の設備をくまなく調べて回った。


結果、重要な防衛呪文に致命的な穴が複数空いていた。もし私が調べていなかったら、デパート内の設備は他者の手によって改造し放題だっただろう。


「ロイワ、点検ご苦労だった。まさか50分以内に全て終わらせるとは…本当によくやった」

「ありがとうございます!」


私はゴーくんと共に検査をした為、随分と早く仕事を終わらせる事が出来た。


「ゴーくん、私のお仕事手伝ってくれてありがとう!後で好きなもの1つ買ってあげるからね!」


って、言っても…ゴーくんは欲しいものなんて無いよね…


でも、ゴーくんは両手を上げてピョンピョン飛び跳ね、まるで体全体で喜びを表現しているように見えた。






「ヘル、ロイワ、お疲れ様〜!デパートの点検ありがとね!」


私達がセンチが待つ屋上に到着すると、センチは笑顔で私達の元へと駆け寄った。


「センチ、お疲れ様!外はどうだった?」


「ヘルの言う通り、外にも例の奴らが居たよ。でも、みんな取り逃しちゃった」


「やはりか……」


「うん。あれは普通に戦ったら捕まえられないよ。そうそう、屋上の端にギルドが来てるから、ギルドの人にさっき起こった事を報告しに行くといいよ!」


わざわざ此処までギルドの人が来てるんだ…確かに、今回起こった事件は色々とヤバそうだったからなぁ……


「分かった。ロイワ、一緒に行こうか」





駐車場に置かれた車の列を横切り、屋上の端に集まるギルドの人達の元へと移動した。


ギルドからやって来た『眼鏡を掛けた青肌白髪の悪魔の美女』に、今回起こった事件の内容、事件への対処、捕獲した犯人の譲渡など、とにかくギルドの人に色々な事を伝えた。



そして、ギルドの人から犯人について詳しい話も聞いた。




「今回の事件を引き起こした犯人は『草人くさびと』と呼ばれている種族です」



「草人…?」


「はい。草人は雑草を元にして造られた種族で、エルフを模した姿をしています。

草人はロイヤルタウンが出来てから徐々に姿を現し始めました。『セーラー』と言う名の謎の神を信仰する、とにかく謎が多い種族です」


セーラー!?旧大陸の謎神殿に居た緑髪エルフも『セーラー様』とか言って……


えっ!?あいつらはセーラー様と共に消滅したんじゃ無かったの!?


「草人は『違法パーツの売買』や『特殊詐欺』等の金銭が絡む犯罪行為を裏で手引きする、迷惑極まりない連中です。

草人を捕まえるのは非常に難しく、例え連中を追い詰めたとしても、捕獲する前に元の雑草へと戻ってしまうのです」


元の雑草に……やっぱりこの草人は、私達が旧大陸で見た緑髪エルフと同じやつだ……


セーラーは消えた筈なのに、何故草人はまだ生きているんだろう……


「今回現れた草人は恐らく、マナタンクを爆破させた際に生じる膨大なエネルギーを別の物事に利用しようとしていたようですが……

草人が表で大々的な行為をするのはこれが初めてです」



セーラーについては、確かミュラーは『完全復活は免れた』って言って……


あっ!まさか……セーラーは完全に復活出来なかったけど、不完全のままこの世に復活してしまったんじゃ……



とにかく、草人は相当ヤバい奴等みたいだし、今後もよく警戒しとかないと……



「草人の情報に関しましては、まだ高レベルの方にしかお伝えしておりません。

また、これから草人に関する事件が発生した際は貴方方に依頼が届く事もありますので、その際は是非、依頼を受けて頂けると幸いです。


さて、お話しは以上となります。ヘル様、ロイワ様、事件解決へのご協力、ご報告ありがとうございました」


「はい、ありがとうございました」


頭の中で色んな事がぐるぐると回っていたが、とりあえず私はヘル先生と共にセンチの下へと戻る事にした。




「センチ、ただいま!」

「あっ!ヘル、ロイワ、お帰り!!」


デパートの休憩スペースに居たセンチに声を掛けると、センチは大喜びで私達を迎えてくれた。



「さてと……私はこの後用事があるので、ここでお別れだな。センチ、ロイワ、さらばだ」



「はい!さようなら!」


「うん、じゃあね!また3人でどっか行こうねー!!」


ヘル先生は私達にお別れの挨拶をすると、踵を返してデパートの外へと歩いて行った。


「あーあ、デパートのお風呂は事件の所為で一時閉鎖しちゃったし……折角だから外で入りなおそっか?」


「うん、そうだね!」





ヘル先生と別れた後、私達はそれなりに豪華なお風呂屋さんで入浴し、センチのデパートに戻ってお高いスイーツやジャンクフードを買い漁り、とにかく事件の事は少し忘れて楽しい時間を過ごした。



「あっ、あれって武器屋さん?」


御馳走を持ってセンチの部屋に移動している途中に、頑丈な扉で守られた、様々な武器のレプリカが飾られたお店を発見した。


「そうだよ〜、あれはレベルを持っていれば誰でも入れる、ギルド公認の武器と防具と雑貨のお店『デュラハンストア』だね。まだ自由時間は充分あるし、折角だから入ってみる?


そうだ、ロイワって上級の『デュラハンストア』に入る方法はもう知ってる?」


「上級のデュラハンストア?」


「うん、ギルドでは高レベルの人だけ入店出来るお店があってね。確か、ギルドから送られて来る手紙に上級者向けのお店の入店方法が書かれてたような……」


「手紙!?」 


「そうそう。確か、初めて入店する際にもその手紙か何かが必要になった筈だよ」


折角だから上級のお店に入りたいんだけど……私の自宅は複数あるから、何処にギルドの手紙が届いているのか分からないなぁ……



「ちょっと失礼するね……」


私はセンチから少し離れると、携帯念話を開いてダンデに念話を掛けた。



『ダンデだ。吾輩に何の用だ』


「ダンデ、単刀直入に言うよ!ギルドからの手紙って家に届いてる?」


『あっ!ロイワ様でしたか!失礼しました!!ギルドからの手紙ですか……少々お待ちください』



数分後……



『あっ!手紙ありました!遊園地に届いていました!!』



私の自宅遊園地に設定されてたの?



『部下の足で直ぐに届けさせます!もう少々お待ち下さい!では!!』



ブツン!!



「ロイワ、どうだった?」


「手紙、遊園地に届いてたみたい」


「遊園地?ロイワの本拠地遊園地に設定されてるの?」


「さあ……」



ズダダダダダダダダ……



「ロイワ様、お待たせ致しました!!!!」 



部下の足早っ!?念話が終わってから数秒しか経ってないよ!?



「あ、ありがとうございます……」


私は吸血族の部下にお礼を言い、そっと手紙を受け取った。


「確かにお渡ししました!では!!」



ズダダダダダダダダ……



手紙を渡した吸血族の部下は私に一礼すると、あっという間に私の前から走り去った。



「ロイワの仲間って凄いね!念話してすぐ手紙を渡しに来るなんて!」


「まあ、とにかく助かったよ……えーと、お店への入店方法は……」


私は近くにあった椅子に座ると、周囲の目を盗んでこっそりと手紙を開き、複数ある手紙の中からお店関連の手紙を探した。



「あった!このカードを持ったままデュラハンストアに入ればいいんだって!」


「よし!じゃあ一緒にお店に入ってみようか!」


「うん!」



私はカードを右手で力強く掴むと、センチと一緒にデュラハンストアの大扉を開けて店内に入った。




「いらっしゃいませ〜!!」



入店するや否や、私達は『全身ピンクコーデのギャルっぽい店員』に出迎えられた。


「高レベルのお客様2名がご入店で〜す!!最上級者向けのデュラハンストアへようこそ〜!!」


……えっ?これって無事に上級者向けの店内に入れたの?以外と簡単に入れたね……



「ほら、技術者…技術師用?のスペースもあるよ!折角だから見に行ってみようよ!」


「う、うん…」


私は店内に置かれている買い物用のカゴを持つと、技術師御用達の品が置かれているらしいスペースへと足を運んだ。


(この店内には一体、どんな商品が置かれているんだ……)




「あーーーーーーーっ!?!?こっ、これは……!?」



普通のマジックカードと同じくらいのデータを入れられる極小チップ!?こんなの表では滅多に手に入らないのに、こんなに沢山あるなんて……!!めちゃくちゃ欲しい!!


あっ!!こっちにはフェニックスやドラゴンの精霊カード!!どれも上級の精霊ばかりだ!!欲しい!!


えっ!?この本には空気から剣を作り出す方法が書かれてるの!?こんな簡単な模様だけで自分の身を守れるとか……こんなの見た事無い!!超欲しい!!


「ロイワ、楽しそうだね」


「めちゃくちゃ楽しい…!」


(こんな宝の山のようなお店に入ったのは初めてだよ……!)


私はとにかく欲しい商品を見つけてはカゴに入れた。お金なら遊園地で沢山稼いでたから、欲しい商品は全部買える筈だ。


「ロイワが楽しそうで何よりだよ。……あれ?ロイワ、ゴーくんが外に出てるよ?」


「えっ!?」



ゴーくんならタブレットの中で大人しくしていた筈……あっ!本当だ!操作系の魔道具……つまりラジコンの棚の前にいる!!(操作系の魔道具は、自分の手元から離れたまま魔法を打てる為、自ら敵に接近しなくて済む。だが、魔道具が離れれば離れる程、使用者の身を守れなくなるので何かしら対策が必要である)


「ゴーくん、どうしたの?」


私がゴーくんに駆け寄ると、私に気付いたゴーくんはそっと目の前の棚にある、大きな赤い車のラジコンを指差した。



「……ゴーくん、もしかしてこの車のラジコンが欲しいの?」


ペコリ


ゴーくんは私に向かって頭を一回下げた。


あの時は半分冗談で言ったのだが、まさか本当にゴーくんが物を欲しがるなんて思わなかった…


「よし、分かった!今日大切なお仕事を手伝ってくれたし、そのラジコンを買ってあげるよ!!」


ピョンピョン!!


ゴーくんは両手を上げ、その場で何度も飛び跳ねた。どうやら大喜びしているようだ。




「お買い上げありがとうございました〜!!」



「いや〜大収穫だよ!センチ、このお店の事を教えてくれてありがとう!!」


「どういたしまして!ロイワが喜んでくれて良かったよ!」


かなり便利なパーツに、新しい技術の本まで…これで更に趣味や仕事が捗る事間違い無しだよ!!



後、草人やセーラーに、街をこれ以上好き勝手に荒らされない為にも、私は此処で購入した商品で更にパワーアップして見せる!!

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