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70話 カター大活躍

『だから勝ったら駄目なんだって!!今回はカターとリオの仲直りの為に私達は悪役になって暴れる振りをするの!!リオとカターが手を取り合って敵を倒しに行くシナリオだから、わざと手加減しないといけないの!!本気で攻撃したら事故になっちゃうから!!』

私は勝手に強化してしまった金属製ゴーレム5体を並べて座らせ、今回の目的やら作戦やらを何度も説明していた。


『デモ……クヤシイ……』

『ヤラレッパナシハイヤダ!!』

『リベンジ!リベンジ!』

駄目だ……この子達、全く言う事を聞いてくれない……


自我が芽生えてしまったから、私の言う事を聞かせるのも一苦労だよ……


多分、私が本来の姿に戻って指示すればしっかり言う事を聞いてくれるんだろうけども……


『あのね、こういうのはむしろ、相手に手加減している事を悟られずに負けてあげる方が遥かに難しいんだからね!!そうだ!私の言う事をしっかり聞いてくれた子はご褒美として『超ハイテク』なボディに改造してあげる!!』

『エッ!ホント!?』

『ホシイ!チョウハイテクボディホシイ!!』

おお…ご褒美が出ると分かった途端、みんな物凄いやる気を出してきたね。


『超ハイテクボディが欲しいのなら…やる事は分かってるよね?』

『シンニュウシャヲアシドメ!!』

『テカゲン!!』

『ナカナオリ!!』

『よし!分かったのならば急いでカターを足止めして来なさい!!手加減込みで!!』

『ワカッタ!』

『イッテキマース!!』


ズドドドドドドドドドドド……


ゴーレム達は私に元気よく返事を返すと、周りの木をスイスイと避けながら森の奥へと姿を消した。


よし、これでカターについてはもう大丈夫な筈……後はリオ達が来てくれれば……


『ロイワ様、お疲れ様です』


あっ…虹鳥の人だ。まだ此処に居たんだ……


『ロイワ様、此処でのんびりしていて大丈夫ですか?今現在、グラウンドに残った学生達が有志を募り、既に森へと侵入しているようですよ?』

『マジで!?』

『マジです』

しまった…!ゴーレム達への指示に夢中で全然気付かなかった!


『急いでグラウンドに向かわないと!!行ってきます!!』

『行ってらっしゃいませー!!』





『居た!』

私が急いで走り続けていると、森の中を静かに移動するリオ達の姿を発見した。

どうやらみんなは魔法の力で周りから姿を消しているようだ。


『よし、今の所危ない場面は無いみたいだね……』


『ロ、ロイワ様……!?』


『ん?』

リオ達を観察していると、またまた背後に人の気配が現れた。そっと背後を振り返ってみると……


『あれ?虹鳥の人…?』

背後に居たのは先程別れた筈の虹色の鳥の人だった。だが、髪型と顔が少し違う。どうやら先程会った人と別個体の人のようだ。


『ロイワ様だったんですか!なーんだ!敵じゃ無いなら最初からそう言ってくれたら良かったのに〜!』

虹鳥の人は構えた剣を後ろ手に隠し、ヘラヘラと笑っているが…

『虹鳥さんめちゃくちゃ怪我してるじゃん!?誰にやられたの!?』

既に身体中ボロボロだし…てか何で私の前で剣を振りかぶってるの?君、私に攻撃する気満々だったよね?

『そんなことはどうでもいいんスよ!!』

いや、私にとってはどうでも良くないんだけど?

『それよりも、あのリオって奴が率いているグループ…』

『ん?リオ達がどうかした?』

『はい!どうやら彼奴らは今現在、ロイワ様が作った未改造のゴーレムを倒せる程の力は持ってないようですよ!』

『……えっ?』

『だって、奴らは全員碌な武器を持って来てませんし、あの中で1番強い武器はダークエルフが持ってる魔鉄砲一丁だけですし』

魔鉄砲って確か、魔力を使用して鉛玉を撃ち出す銃…つまりごく普通の銃と同じ威力の銃だね。


確かに、そんな銃じゃ中身が金属のゴーレムに大したダメージは与えられない……


『これはむしろチャンスっスよ!リオ率いるグループがゴーレム相手に手こずっている中、ゴーレムを倒せる程の実力を持ったカターが助けに向かえば…!』

『成る程!リオならきっと何やかんやで素直にカターの助けを借りるだろうし、カターもこれを機にリオとまともな会話が出来るかもしれないね!!そこからリオとカターが一緒に困難を突破していけば、中が更に良くなるかも!!私、カターを呼んでくるね!!』

『はい!行ってらっしゃいませ!!』




再び森の中を走り続けてカターの元に移動すると、進化したゴーレム5体相手に戦うカターの姿を発見した。


カターは相手が放つ攻撃をヒラリヒラリと躱し、ゴーレムのボディに思い切り強い一撃を放つが……


「くそっ!アタシの攻撃が全く効いてない…」


そう、ゴーレムの進化した体には傷一つつけられていない。


それに、現在ゴーレム達は手加減しながら攻撃している。もしゴーレム達が本気を出したらカターはあっという間に倒されていただろう。


『……あっ、カターにどうやってリオ達の事を伝えればいいんだろう…』

今の姿のままで話をしてもカターは私の話を信じてくれないだろうな…



ボォン!!



メキメキメキメキ……


私がカターへの連絡手段をあれこれ考えていると、遠くから爆発音と木が倒れる音が聞こえてきた。あの方角には確かリオ達が居た筈……


これはまさか……リオ達がゴーレムに襲われている!?


魔法で隠れていた筈なのに何で気付かれ……まさか、虹鳥の人がリオ達がいる場所を教えたんじゃあ……


「なっ…!?もしかして他に誰かが森の中に……!?」

おおっ!流石カター!!理解力が高い!!カター、そのままリオ達の元へ走って!!



「もしかしたら誰かがゴーレムに襲われているのかも…今すぐ助けに行かないと!!でも……!!」


周りのゴーレム達は絶対にカターを逃してくれないだろうなぁ…ゴーレム達を止める為に私がこの場に入り込んだら事態が更にややこしくなりそうだし……


……こうなったら、カターを強化して強化ゴーレム達を倒してもらうしかない!!


(ゴーレム達、ごめん!!)


私は心の中で謝りながら、カターに身体能力強化、魔力増幅、魔力消費減少等のありとあらゆる補助呪文を掛けた。

(補助呪文を掛けるだけなら私でも出来る!!)


「はあっ!!」


バキィ!!べキィ!!


『ナニィ!?』

『アイツ、キュウニツヨクナッタ!!』


呪文を掛けられたカターは目に見えて動きが良くなり、振り回した槍が次々とゴーレム達の頑丈な体を壊していく。


「ようやく倒せた…」


やがて5体のゴーレムは全て壊され、バラバラになったゴーレムの部品がカターの周りに散らばった。


「よしっ!!」

カターはゴーレムが全て停止したのを確認すると、煙が上がっている方角に向かって全力で走り去った。


うわっ、カターの足速っ!!いや、カターを強化したのは私なんだけどね……


『ゴーレム達ごめんね!!後で全員に新しい体を作ってあげるからね!!』

私は散らばったゴーレム達に謝罪すると、急いでカターの跡を追った。




『はぁ…今日はずっと走りっぱなしだなぁ…あっ!リオ達だ!!』

人の居る場所に向かって走り続けると、リオ率いるグループの中に混じるカターの姿を発見した。

良かった…どうやらカターはリオ達と無事に合流出来たみたいだ。


どうやら全員無事みたいで、今は木陰に身を寄せて休憩中のようだ。


『はぁ……一時はどうなるかと思ったけど、全員無事で本当に良かった……』

『ロイワ様、お疲れ様です』

『あっ!虹色の人の…比較的丁寧に喋る方の人!!』

『はい、比較的丁寧に喋る方の鳥です。どうやらあの2人は無事に仲直り(?)をしたようですよ』

『ホント!?良かった……』

『ですが、恐らくあの関係は一時的なものでしょうね…いつもの日常に戻ったら、2人の関係も元に戻ってしまう可能性も高いかと……』

『成る程…更に仲を深める為に、日常でも色々と手を回さないといけないようだね……』


何はともあれ、今回の私の作戦は大成功……だったのかな?

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