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67話 救出大作戦

「よし!こんな感じかな?」

教室の庭の森の中にある『泉の広場』。

私はこの綺麗な広場に置かれたテーブル付きの椅子に腰掛けながら、スザクさんと一緒に『ゴーレムのゴウ君』を改造していた。


「そうそう!これでゴウ君はロイワさんの仕事を少し手伝えるようになったよ!」

「結構簡単に改造出来ましたね!」

「大体は呪文書と同期させるだけだったからね!まあ、簡単に改造しただけだから手伝える仕事も限られてくる訳だけども…」

「いえ、これで面倒な呪文を速く打ち込む事が出来る様になりましたし、かなり助かりますよ!ありがとうございます!!」

「どういたしまして〜!じゃあ次はロイワさんが作った小鳥も……あっ!トレビアがヘル先生を連れて帰って来た!」


スザクさんが何も無い場所を指差した瞬間、其処に『大きな鳥籠』の上に座ったトレビアさんがパッと姿を現した。


「ロイワ様、朱雀様、只今戻りました」

「ロイワ!無事で良かっ……す、朱雀様まで!?」


鳥籠の中にはヘル先生が入っており、私の顔を見て安堵の表情を浮かべていたが、私の隣に居るスザクさんを見ると今度は驚愕して素っ頓狂な声を上げた。(因みに、自分にかけた『気配を消す魔法』は既に解除済みだよ)


「トレビアさん!ヘル先生をカゴから出してあげて!」

「分かりました」


ガチャ……


トレビアさんが地面に降り、ヘル先生が入った鳥籠に優しく手を触れると、鳥籠の一部が扉のように開いた。


「ロイワが敵に指示を…それにロイワ様に朱雀様…だと?これは一体どう言う事だ?」

「ヘル先生、実はですね……」

「これには涙無しでは語れぬ深い訳があってね…」


私とスザクさんは、ヘル先生に今までの経緯と仲直り作戦について簡単に説明した。


「成る程…あの2人の為に態々そんな事を……」

「ヘル…先生、申し訳ございませんでした……でも、あの2人を放っておけなかったんです……」

「いや、ロイワは悪くない。悪いのは…」

そう言ってヘル先生はスザクさんの顔をチラッと見た。

「……えっ?もしかして私が悪いって事になってる?」

「当たり前です朱雀様!ロイワの企みを知っておきながら…嗜める所か逆に騒ぎを大きくするように仕向けるなんて!!」

「え〜…でもさぁ…」

スザクさんはヘル先生に肩組みしながら広場の隅まで移動すると、私に背を向けながらヒソヒソ声で話を始めた。


「(いつの日か来るアレに備えて実戦練習するのは悪くないでしょ?ヘル先生は前に理事長が言ってた事を忘れちゃったのかなぁ?)」

いつの日か来るアレ?

「(分かっています…ですが……練習をするにはまだ早過ぎます!)」

「(練習に速いも遅いも無いでしょ!大丈夫!ちゃんと手加減するし、怪我しても私が居るから簡単に治せるし…)」

「……分かりました。ですが、危ないと判断したら直ぐに中止ですからね!」

「はーい!」

ヘル先生とスザクさんは会話をしながら私とトレビアさんの元に戻って来た。

「さて、ヘル先生に事情を説明した事だし…今から皆んなで蝶々作らない?」

「何故……?」






「今から俺達はヘル先生とロイワを救出しに森に向かう!!皆んな、準備は出来たか!?引き返したい奴は居るか!?」

救出の為に森に入る生徒達を(リオを含めて4人しか集まらなかったが)集めたリオは、森の出入り口で最後の確認を行っていた。


「僕は大丈夫だよ。さっきも言ったけど、此処で引き返したら一生後悔すると思うから」

「ぼ、僕も……!グラウンドに残った皆んなも気になるけど……僕も大丈夫だよ!!」

ダークエルフのルーサと緑オーガのシンは、緊張しながらもリオに返事を返した。


「私も大丈夫ですが…リオ、速くしないと私達より先に森に入って行ったカターが……」

ユリコは何よりもカターの心配をしているようで、先程からずっとそわそわしていた。


あの虹色の女性が消えた直後、カターは突然無言のまま走り出し、あっという間に森の中に姿を消してしまったのだった。


「そうだな…アイツ、少し様子がおかしかったしな……大丈夫だ、エドゥアルにカターの居場所も占ってもらったからな」

「……分かりました」

リオの言葉に、ユリコは軽く頷いて返事を返した。


「よし、全員大丈夫だな?では、出発!!」

こうしてリオ率いる小さな救助隊は、ヘル先生とロイワとカターの3人を助ける為に森の中へと入ったのだった。



ズシーン……ズシーン……


森の中を進んでいると、地響きと共に土で作られた大きなゴーレムが姿を現した。


「うわぁ、大きいなぁ……しかも5体も居るよ……」

「シン、大丈夫だ。森に入る前に俺が皆んなに隠蔽魔法をかけてあるからな。あのゴーレムの群れは気にせず進むぞ」

「分かった」


ザッザッザッ……


ズシーン……ズシーン……


「……ゴーレムの足音、まだ聞こえるね……」

「リオ、このゴーレム達……僕達に向かって歩いて来てない?」

ルーサは魔力銃を構えながら背後を確認するが、先程からゴーレムとの距離が開かない。


「いや、まさか……そもそも、ゴーレムは周りに漂う魔力を感知して敵を発見するんだ、視覚や嗅覚と言った感覚の類は無いに等しい。だから、奴らに近付き過ぎなければ俺達が感知される事は無い!」

「ですが…周りのゴーレムがどんどん集まっているように見えるのですが……」

「いや、まさか……」


タッタッタッタッ……


ズシーン…ズシーン…ズシーン…


リオ達はゴーレムから距離を取る為に次第に速足になっていくが、それに合わせてゴーレム達の移動スピードも上がっていくようだった。


「……どうやら、俺達の存在がゴーレム達にバレているみたいだな……」

「リオ……まさか魔法に失敗したのでは……」

「あぁ!?んな訳無えだろ!!さっきは確かに魔法の効果が出てるのを見ただろ!?さっき近くに居た鳥の群れは俺達に反応してなかっただろうが!!」

「ですが、時間の経過と共に効果が薄まったのでは……」


ヒュン!!


ボォン!!


「「「「!?」」」」

ユリコとリオが軽い言い争いをしていたら、何処からともなく謎の光の玉が飛び出し、近くに生えていた木にぶつかって爆発した。


「何だ!?何が起こったんだ!!」

「ええっ!?今のって…魔法?どこかに魔法使いが居るのかな…」

突然の出来事に、この場に居た皆んなの足が止まる。


「リオ」

「ルーサ、どうした!何か見たのか!?」

「信じられないかもしれないけど……今の魔法、ゴーレムの掌から飛び出してたよ……」

「はあっ!?ゴーレムが魔法だと!?ありえねぇだろ!!」


リオが焦って周りを見回すと、周りにいるゴーレム達が両手の掌をリオ達に向けている姿が見えた。その内の一体が構える両手が次第に光り輝き出し……


ヒュン!!


ボォン!!


再び光の玉が発射され、リオの手前辺りの地面にぶつかり爆発した。


シュウウウウ……


更に、爆発した地面に小さなクレーターが出来上がっていた。


「こ、これは……身体強化を使用してもただでは済みそうに無いね……」

「皆んな!!ゴーレムから全力で逃げるぞ!!」

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