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64話 旧大陸の光大妖精

怪盗部部長を助けた次の日の朝……



「おはよー」

私は廊下で会話をしているカターとユリコに朝の挨拶をした。

「おはよう御座います」

「おはよ。ロイワ、今日は何か元気が無いようにみえるけど…何かあった?」


「いやぁ、何か昨日変な夢見ちゃってさー」

「ふーん…因みにどんな夢見たの?」

「ルーサがリオにいじめられる夢」

「あー…確かにアイツならいじめとかやりそうだけど…」

「……あの2人、別に仲悪く無いですよね?むしろよく一緒に教室を移動する姿を見かけますし…」

「うん、だから変な夢だったなーって思って…」

やたらリアルな夢だったなぁ…

「…あっ、そう言えば…リオが高級料理店『ロートス』の料理人採用試験に受かったらしいですよ」

「えっ!ホント!?凄いじゃん!!」


リオ、そんなめでたい日に限って変な夢見てごめんね……


……ん?って言う事は……私とリオの上司は同じ人になるって事だよね?


「はい。今リオは自分の合格祝いとして、休憩室で手作りのスープを配ってるそうですよ?私達も朝食を食べに行くついでにリオの料理を食べてみませんか?」

「うん!リオの料理食べてみたい!」

「えっ?うーん…ユリとロイワが食べるのなら、一応食べてみようかな……?」

高級料理店に受かったリオの腕前に期待を寄せながら、私達は休憩室へと急いだのだった。



リオが作ったスープは物凄く美味しくて、底が深い鍋だったにも関わらず、あっという間に空になってしまった。




「音楽の授業面白かったね〜!」


1時限目の音楽では詠唱魔法の基本を教わり、声のみで遠くに設置された蝋燭に火を付ける授業を行った。ゴォォ…とか、シュッ!とか、様々な擬声を用いて蝋燭に変化をもたらすのは中々面白かった。

今はカターとユリコと一緒に『音楽室』から『1年1組の教室』に移動している最中だ。

「ユリの番が来た時の蝋燭、物凄い事になってたよね。火の色が次々と変わったり、蝋燭が綺麗に真っ二つになったりしてさ」

「オノマトペによる詠唱魔法は遊術でよく使うので…ですが、カターも凄かったじゃないですか。口から大きな火の玉を吐き出して蝋燭を…」

「やめてよユリ…アレめちゃくちゃ恥ずかしかったんだから…」

「えぇ〜、あのカターの詠唱物凄くカッコ良かったのに〜」

「ロイワまで…あれは偶然だったし、もしあの場で失敗してたら笑い者だったんだよ?」



「ロイワ様!!」



「うわっ!?」

カターとユリコと会話をしていたら突然、髪の長い光妖精の上級生が背後から私に声を掛けて来た。

「だ、誰!?初対面の下級生に向かって様付けするなんて!!」

突然過ぎて思わず変な怒り方しちゃった…けど、今私の事をロイワ様って…この子、もしかして私の正体が大精霊だって分かってるの…?

「あっ……申し訳御座いま…じゃ無かった。ごめんね!ロイワさん、ちょっと話を聞いてもらえるかな?すぐ終わらせるから!!」

うーん…色々と気になるし、とりあえずこの人の話を聞いてみようかな…

「わ、分かりました…カター、ユリコ、ごめんね!」

「うん、何なのかよく分からないけど…後で教室で会おうね」

「ロイワ、お気を付けて…」

「うん、2人ともありがとう。では先輩、行きましょうか」

「分かりま…分かった!じゃあとりあえず誰も居ない教室に行こっか!」

私は謎の上級生により、だだっ広い多目的室へと連れていかれた。



「良かった…ようやくロイワ様に会えた……会いたかったです……」


多目的室に鍵を掛けて舞台に上がった所で、先輩は長い髪を揺らしながら私の前で泣き崩れてしまった。……この子、誰なんだろう……

「あの…一体私に何の用事で……そもそも貴方は誰なんですか?」

「あっ!まだ名乗っていませんでしたね!私はピヒと申します!光大妖精様からの命により、遥々光宮殿からやって参りました!!」

「光大妖精…?光宮殿…?」

「ロイワ様はご存知無いですか?外の世界、旧魔王大陸にある光大妖精様が作った光宮殿……」

「旧魔王大陸……!?それってカムヤナ国に乗っ取られた元魔王様が支配していた大陸の事だよね…?」

確か私が目覚めた場所もそこだったんだよね……そこでダンデやウルフくんや光妖精を作って……あっ、もしかして私が作った一部の光妖精が旧魔王大陸に残って、そのまま住み着いたとか?


「そうです!この旧大陸で生まれた光大妖精様は、ロイワ様がいつ旧大陸に帰って来てもいいように、大きな宮殿を作り上げたのです!」

光大妖精…いつの間にそんな凄そうな妖精が生まれてたんだ…

「そうだ!まずはロイワ様に渡す物が…此れを差し上げます!」

そう言ってピヒ先輩が私に手渡してくれたのは、白く輝く綺麗なブローチだった。


……ん?このブローチ、何処かで……


「見覚え無いですか?そのブローチは、大妖精様がロイワ様から頂いたブローチを元に作り出したものなのです。……そうだ、この剣も見て頂ければ思い出すのでは……」

そう言うとピヒ先輩は抜刀し、やたら短くて重そうな赤い剣を私の前に掲げた。



……あっ!?これ……私が光妖精に作ってあげた剣の玩具!?



そうだ!確かコマとかけん玉とかブローチとか…色んな玩具を作ってスライムや光妖精達に配ったんだ!!


「その表情からして…どうやら思い出したようですね!!私は大妖精様からこの赤剣を授かり、目の前に立ちはだかる様々な障害を薙ぎ払って来たのです!!はぁっ!!」


ジャキン!!


ピヒ先輩の掛け声と共に、玩具の剣が一瞬で大きな剣に変わった。剣先は鋭くなって内側から光り輝き、周りには綺麗な細工が浮き上がっている。


「うわぁ……凄い……」

あの玩具がこんな武器に変化してしまうとは…

「剣術を極めた者だけがこの剣を手に出来るのです。他にも『大玉を操るハンマー』や『螺旋を刻む盾』など…様々な武器が存在します」


玉を操る…ってのはけん玉の事で…螺旋を刻む……ってのは多分コマの事だよね……えっ?私が作った玩具は全部武器として扱われているの?


「他にも色々と話をしたいところではありますが…本題に入りましょう!私がこの大陸に来たのはですね…ロイワ様を探し出し、ロイワ様のご無事を確かめる為、そして光宮殿にロイワ様をお招きする為だったのです!!」

「そうだったんだ…うん、一度光宮殿に行ってみたいけど…カムヤナ国の奴らがどんなちょっかいかけて来るか分からないからなぁ…」

そもそもの話、私は勉強不足(?)のせいで旧大陸にある街を1つ潰しちゃったんだし…ピヒ先輩の申し出は嬉しいけど、出来るだけ向こうのカムヤナ国の奴らとは関わり合いになりたくないんだよね……

「大丈夫ですよ!今、旧大陸の人々は戦える状況ではありませんし、そもそも…



カムヤナ国自体は既に滅亡していますから大丈夫ですよ!」



………え?

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