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53話 全員で!

「た、助かった…」

私の周りに浮かんでいたUFOモドキは、何故かは分からないが跡形も無く消滅した。

さっき私の頭から出た光が関係ありそうなんだけども…


因みに、私の肩には4体のミニスライムが大人しく待機しており、銀虫の大群は私を取り囲みながら辺りを元気に飛び回っている。どうやら味方に私の攻撃は当たらなかったようだ。


「色々と試したい事はあるんだけど、その前に…」

やたら頭の中が騒がしい(主にセンチの所為で)から、とりあえずこの脳内に映る探知機的な機能切っとこ。えーと、これかな?


パチッ


軽い音が頭の中に響くのと同時に、頭の中に映っていた周りの景色が全て消えた。


「よし!次は…この謎の攻撃を使いこなせるようにしないと」

UFOが全て消えてしまった謎の光。確かあの時は周りの敵を意識しながら身体全体に力を込めたから…

とりあえず掌のみに力を込めてみると、何と掌が白く輝き始めた。

「……」

私は試しに、白くなった掌を地面に押し付けてみた。


スーッ


「うわっ!何これ!!」

掌は何の抵抗も無く地面に吸い込まれた。私は慌てて手を地面から離し、掌から力を抜いてから先程触れた地面に顔を近づけた。

「うわぁ…」

先程触れた地面に手の形をした穴が出来上がっている。土を力一杯に押し込んで出来た穴では無いのは一眼見れば明らかだ。


これはどう考えても…手が触れた部分が消えているって事だよね…


ガチガチガチガチガチ……


「ん?」


銀虫が地面に群れている。よく見ると、1番最初に私が倒したUFO(私の意識から外れていた所為なのか、何事も無く無事だったようだ)に群がって外装を必死に齧っているようだ。だが、UFOに穴所か擦り傷すら付いていない。

「UFOにコレ効くかな…銀虫達、ちょっと退いててね」

私は再び掌に力を込めると、UFOの端からそっと触れてみた。


スーーーーッ……


掌に触れた部分が跡形も無く消えていく…端から端へと手を動かし、やがてケーキのように二等分に分けられたUFOが出来上がった。


ガタン………ポタ……ポタ……


うわぁ…UFOから変な液体が出てきた…って呆けてる場合じゃ無かった!!早く勇者退治を再開しないと!!えーと、さっき勇者が使っていた瞬間移動を試して……あ、センチ大丈夫かな!?


ギャアアアアアアアアアア!!!!


ああ、暫く見ない内に空にドラゴンの群れが飛び回っ……て………あれ?


何でドラゴンが空飛んでるの…?確か今は勇者以外に魔物は居ない筈…だよね?アレ?もしかしてアレも勇者?


「ロイワさん」


私がテンパっていると突然リュユさんが真前に現れた。私は思わずバランスを失って尻餅をついた。

「うわぁああ!?リ、リュユさん…!?どうして此処に…?」

「色々と説明をしに来た。今、あちこちのエリアからボスが子分を引き連れて騒ぎ始めた」

「ええっ、何故!?もしかして何か不具合でも…?」

「不具合じゃない、わざと。とりあえずアレを見れば分かる」

「アレ…?」

リュユが会場の出入り口を指差したので、私もとりあえず指した方を向いた。


「な、何アレ!?」


振り向いた先に居たのは何と……



「主人!!吾輩が助けに参りましたぁ!!」


「ダンデ!!」

本来の大きさに戻った巨人サイズの吸血鬼『ダンデ』が、眼前を飛び回るハエみたいなドラゴンを手ではたき落としながら此方へ向かって走って来る姿が!!


オオオオオオオオオ………!!


ダンデの足元には、沢山の人や魔族達が雄叫びを上げながら辺りに散らばる害獣を蹴散らす姿も見えた。


あれは…ダンデから分裂した吸血族の人達…あっ!光妖精の群れも飛んでる!あっちにはスライム、鎧蜘蛛、鎧蟻、鎧蜂……あーっ!鎧百足までいる!?!?仕事はどうしたの!?


ププププププーーーーーーッ!!!!


ウルフくん!!と、ウルフくんの家族まで来てる!!(ウルフくん一体で少しずつ個体数を増やし続け、今では大群であちこちを走り回っている)


これは…私が今まで作り出した魔族達が集まって来ているの!?


「リュユさん!何で皆んなが此処に!?」

「これ全部ロイワさんが連れて来た。ロイワさん、勇者退治が始まる前に『全員で勇者を倒すよ』と発言したのを覚えてる?」

「あー…はい、確かに発言しましたが……えっ?まさかその発言の所為で皆んなが此処に来たんですか!?」

「そう、だからラードが追加で獲物を補充した。

もしも大精霊様が、軍の人ですら討伐が難しい勇者に対して一般人をぶつけようとしたなんて話が出回ったら色々とややこしい事になる。

後、トラブルを増やす事で味方の増員に合理性を持たせようとしているんだと思う」

「そ、そんな事が…」


何だか想像以上に大変な事になってきたなぁ…


「そうそう、あともう一つ」

「え…まだ何かあるんですか…?」


「ロイワさんに勇者退治の話をしておいた私が言うのもアレだけど…


早く勇者退治を済ませないと学校に遅刻する」


「!?」

しまった!?すっかり忘れてた!?

前世では1度も学校を休んだ事無かったのに…!しかも初日に遅刻なんてしたら……


「こんなに人員増加してしまった以上、簡単に勇者退治を中断させる事は出来ない。ロイワ、勇者のボスを倒して。今すぐ」

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