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2話 吸血鬼と妖精

次は何作ってみようかな…そうだ!ここは魔法が存在するファンタジーな世界なんだし、吸血鬼とか作ってみようかな?丁度話し相手とか欲しかったし…


そうと決まれば早速作ってみよう!

私は再び両手を広げて想像を始めた。


身体の元を鉱石にして、自由自在に身体を変化させる事が出来て、一応人から吸血出来るように…それはやめとこ。人類の敵として討伐されそうだし後が怖いし。

性別は…次作る生き物は女性だし今回は男性にしとこ。


両手から赤い金属の液体が出て、形を人型に変えていく。

「できた!」

私の両手の上には赤い紳士服を纏った体格のいい男性が立っていた。肌の色は赤に近い肌色で、赤い髪をオールバックにした赤い髭のカッコいいおじさんだ。大きさは500mlのペットボトルサイズだ。

…さっきから手のひらサイズの生き物しか作れないんだけど。もしかして私生まれたばっかりだから力しょぼいのかな?


そんなペットボトルサイズのおじさ…吸血鬼は私に顔を向けると


「吾輩に命を与えてくれた主人の為に、どんな命令にも喜んで従いましょう」

笑顔でそう言ってくれた。

おお、生まれたばかりなのに知識や知能がしっかりとある。しかも私を主人として従ってくれるとは…

色々と試したい事はあるけど…

「分かった、とりあえず部屋の隅で体育座りして待機してて」

吸血鬼にそう告げると、吸血鬼は私の両手から離れて地面に綺麗に着地し、洞窟の隅まで歩いていくと私に身体を向けて大人しく体育座りをした。


ありがとう吸血鬼、そして最初に下した命令が体育座りで待機とか本当に申し訳ない。ごめんね。

私は心の中で謝りながら、吸血鬼から両手に視線を戻した。


次に作るのは…妖精だ。

綺麗な羽で飛び回る、悪戯好きで可愛いファンタジーな生き物だ。

鉱石関係なら何でも出来るって言われたけど…妖精作れるかな?

私は両手の上に意識を集中させて妖精を思い浮かべる。


身体は…おお、白くて軽い上に丈夫な鉱石があるんだ。しかも魔法と相性がいいっぽい。あの赤いやつには防御力は劣るけど…これなら透明感があるから妖精のイメージにぴったりだし、薄い羽で自由に飛び回る事も出来そう!これで作ってみよう!


両手から透明感のある綺麗な液体が湧き上がり、その液体の中から5円玉サイズの輝く妖精が沢山飛び出してきた。

まるで吹き出し花火のようだ。


……数多過ぎない?


「待って待って!!多過ぎるって!!」

私は慌てて妖精作成を止めようとするが、妖精は消えるどころか御構い無しに両手から生まれ、飛び出しては洞窟内を明るく照らしていく。

「おお…なんと幻想的な…」

吸血鬼は体育座りをしながら飛び回る妖精を静かに眺めていた。


妖精は両手の液体が無くなるまで止まらなかった。


「やっと終わった…」


私は溜息を吐きつつ、顔の周りで飛び回る妖精を観察する。

全身真っ白で、薄くて綺麗な模様がある羽が背中から生えており、顔や髪型やスカートは一人一人違うがどの子もとても可愛い。

耳をすますと「きゃー」とか「あははは!」とか可愛い声が聞こえてくる。

こんなに沢山いると何かハエ…いやいや、そんな虫に例えるなんて可哀想だよね。


「ほう…全て女性なのですね」

吸血鬼は体育座りのまま周りの妖精を一人一人観察していた。

「あっ、ごめん!とりあえず近くに来てくれるかな?」

すると吸血鬼はその場で立ち上がると、複数の赤い蝙蝠に化け、辺りに散らばりながら私に向かって飛んだ。

「凄い…ちゃんと空飛べてる…」

私は右の手のひらを肩辺りにまで上げると、その上に散らばった蝙蝠が集まり再び吸血鬼が姿を現す。

「で、ご用件は何でしょうか?」

吸血鬼が丁寧に話しかけてきた。

「そうそう、吸血鬼と妖精にお仕事…って程じゃ無いんだけどね?この洞窟の外がどうなっているのか確かめて欲しいんだよね、あと道具とか生き物が居たらここへ持って来て欲しいんだけど、いいかな?」

「お安い御用でございます!では!」

吸血鬼は再び赤い蝙蝠の大群に化け、近くに空いていた穴を通り抜けて外へと向かった。

顔の周りで飛んでいた妖精も吸血鬼の後に続いて飛んでいき、洞窟内に再び静寂が訪れた。


しまった…会話出来る奴作ったのに全部外に向かわせちゃったよ…ゲームでも自分守る為に強い仲間数体は手元に残したりするでしょ…私アホ過ぎない?


まあいいや、今度は自衛する為の武器作ってみよう。

どんな武器がいいかな?魔法が使えるなら杖作りたいけど…そもそも私武器とか持った事無い。せいぜいおもちゃの弓程度しか使った事無いよ。いや、体育の授業で竹刀持った事あるや。

でもねぇ…うーん…


プップー


ん?この音…いや、この声は…!

声のした方を確認する。

なんとそこには無傷の赤いスポーツカー、つまりウルフくんが居たのだ!

「ウルフくん!無事だったんだね!」

私はウルフくんとの再会に喜んだ。

ウルフくんは私に何やらブルブルと伝えると、両サイドのドアを開けて中から何かを放り出した。


「ぎゃっ!!」

「くっ!!」


出てきたのは…小人2人?

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