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1話 鉱石の大精霊誕生

私は目を覚ました。

「ここは…」

とりあえず立ち上がって辺りを見回してみるが、壁も天井も岩だらけだ。しかもやたら広い。近くの壁をよく見ると赤い鉱石のようなものが埋まっているのが見えた。

ここはもしかして…洞窟の中?洞窟の中に転生した…そうだ!私転生したんだった!

私は自分の身体をあちこち眺めてみた。どうやら私は全身が赤い鎧で形成された生き物のようだ。


『どうやら無事に転生できたようだな』

私の頭からお婆さんの声が聞こえてきた。

あっ!もしかして、あの時のお婆さん?

『そうだよ。貴方は無事に鉱石人として生まれる事ができたようだね』

えっ、もしかして私生まれて間もないんですか?二足歩行も出来るのに?

『鉱石人は赤ちゃんの時代が無いからね、成長するとしてもせいぜい背が伸びたり見た目が少し変わるくらいだな』

そうですか〜、そうだ!私って何か能力があったりしますか?

『あるよ!貴方は「鉱石の大精霊」だから「鉱石」に関係する事は全て出来るよ!』


…はい?

お婆さん…今、何て言いましたか?


『貴方は「鉱石の大精霊」つまり、『鉱石の力』そのものだから鉱石関係なら…』

待って!大精霊!?力の元!?それってかなり責任重大な役割なのでは!?

『いいんだよ、むしろ気楽にやってくれても構わないんだよ。ここで新しい生命を作り出してもいいし、外の人と交流して世界を知るのもいいし、自由に生きなさい。じゃあね!』

その言葉を最後に、お婆さんの声は聞こえなくなってしまった。


自由に生きてもいいって…まあ、ここで悩んでも何も変わらないよね。自分なりにルールを決めて頑張ってみようかな。


よし!立派に大精霊の務めを果たして見せるよ!


…って、大精霊って何をするのが仕事なのかな?

確かお婆さんは人と交流とか新しい生命を作り出すとか何とか言ってたよね。

それならまずは、外に出て人々と交流をしつつ情報収集を…外どこ?

この洞窟出入り口らしき穴が無いんだけど…

それに仮に外に出れたとしても強い敵に襲われるかもしれないし…いくら大妖精とはいえ攻撃手段を持たないままではただのか弱い一般人…駄目だ!攻撃手段を覚えるまで外に出ない方がいいかもしれない!


外に出れないなら…じゃあここで新しい生命を作り出してみようかな?

私は地面に横座りして、作る生き物を考え始めた。

何作ろうかな…やっぱり作るならファンタジーでカッコいいやつを…いや、最初に作る生き物だから慎重にならないと…いや、どんな時も生き物は慎重に作らないと駄目だよね。

うーん…金属、生き物、獣…

そうだ!

私は両手をくっつけて水平に広げ、その両手の上に作りたい生き物をイメージする。

カッコいい身体で、物凄く早く走って、物凄く強いやつ…出てこい!

私の両手の上から水のように動く赤い金属が現れ、私のイメージした形に金属が変わっていく。

「おお…!」

私の両手に現れたのは…ミニカーサイズの赤いスポーツカーだった。

出来た!赤い鉄の獣、スポーツカー!

見た目はスポーツカーだが、よく見ると生き物のような目や口が付いている。見た目もどこか狼のようでとてもカッコいい(自画自賛)。

ちなみに大きさはこれ以上大きく出来なさそうだったのでミニカーサイズで断念した。

これの名前は…レッドウルフ?いや、鉱石車、うーん…

あれこれ名前を考えている間、ミニカーは私の両手の上でブンブン走り回っている。かわいい。

「正式名称は人間が付けてくれるだろうしいいや、とりあえず君はウルフくんに決定!」

私の両手で走り回っていたミニカーは、私の顔を見上げながらブンブンと音を鳴らして反応してくれた。凄くかわいい。

「ほら、行っておいで!」

私はウルフくんを地面に下ろしてみた。

ガタガタ…ガタガタ…

地面が荒すぎて走り辛いようだ。顔も心なしか悲しそうだ。

私はウルフくんに顔を近付けて赤いタイヤをよく見てみた。このタイヤをもっと自由に、臨機応変に変わるような金属に変える事出来ないかな…

と、考えながらタイヤを見ていたら…

突然タイヤがぐにゃぐにゃと動き出し、やがてスライムのようにふにゃりと垂れてしまった。

やばっ!私余計な事しちゃったかな…ウルフくん大丈夫?


なんて心配していたら突然、ウルフくんは唸り声を上げてあちこちを走り始めた。どうやらタイヤの形を自由に変えて、デコボコの地面に対応しているようだった。さっきよりずっと早くて快適そうだ。

良かった…何事も無く生き物が作れて良かった…


ん?確かこの世界って地球より技術が遅れてるんだっけ?

もしそうだとしたら、このミニカー発見されたらとんでもない事になるんじゃ…まあ、いっか!


プップー


ん?ウルフくんが私に声を掛けて来た。ウルフくんは私を見つめてからゆっくりと走り出し、やがて壁に小さな穴が空いた場所の前で止まった。

とても小さい穴だが、ウルフくんなら余裕で出入りできるだろう。

「ウルフくん、もしかして外出たいの?」

プップー

「そっか…分かった!でも自分より遥かに大きい生物には近付いちゃ駄目だよ!あと面白いものあったら拾ってきて!」

プップー

ウルフくんは返事をすると、小さい穴から洞窟の外へと走って行ってしまった。


再び孤独になってしまった…さて、次はどうしようかな…

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