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10話 スライムの学校

洞窟の中はスライムだらけで入れないので、センチとヘルが泊まっているツリーハウスの下に4人集まり、これからの事について話をし始めた。

ちなみにヘルとセンチは最初に会った時に着ていた服を着ていた。

ヘル曰く「近くに綺麗な川があったので身体ごと魔法で洗って来た」らしい。


「昨日から私達の仲間と通信をしているのですが…中々繋がらないんです…」

ヘルがビー玉サイズの水晶玉を見せながら悲しそうな表情で話をしている。

「遠過ぎるんだよね…そもそもこの場所に漂う魔力が少ないのも原因だよね…」

センチは空を見上げながら呟いた。

「それならば水の大精霊のダマラスに伝言を運んでもらうのは如何でしょうか?」

セレセルが2人を見ながらある提案をしている。

「えっ!?そんな小さな事頼んでいいの!?」

「水の大精霊様をそんなパシリのようには使えません!!」

センチとヘルが予想外の助っ人に驚く中

「いえ、あいつならいつでも暇しているのでこれくらい大丈夫です。むしろ最近運動不足だと言っていたので少しでも働かせてあげて下さい。では!」

そう言うとセレセルは私達の目の前から一瞬で消えた。

「行ってしまわれた…」

ヘルは驚いた表情のままセレセルが居た場所を見つめていた。

「まあまあ、ああ言ってたんだし水の大精霊のダマラスさんに任せ…あ!あれ見て!」

センチは会話を中断して洞窟の入り口を指差した。

「あっ!スライム達が洞窟から出て来た!私が作ったスライムも出てる!」

なんと洞窟の中からスライムがぞろぞろと出て来たのだ。どうやら行き先はみんなバラバラのようだ。

「ん…?こんな日が高い時間にスライム達は外に何をしに行くんだ?」

ヘルは外を歩くスライム達を不思議そうに見つめている。

「スライムって普通はこんな風に移動しないの?」

私は2人にスライムについて質問をしてみた。

「確かスライムは「日が傾いた時間帯にならないと動かない」って聞いた事があるからさ、あんな風に日向ぼっこしているスライムを見るのは初めてなんだよね」

センチはそう話ながら外で寝転がるスライムを見つめている。

「そうですね、基本的に洞窟の中とか石と地面の隙間とか…じめじめした場所で見かける印象がありますね…」

ヘルはスライムが硬い石を使って地面を削っている姿を見つめている。

「へぇ〜、そうだったん「ヘル!」だ?」

誰かが私の会話を遮ってきた。

「ヘル!」

「「「?」」」

地面から声が聞こえて来る。

私達は声がした方を向いた。するとそこには…


「ヘル!」

なんとそこにはスライムが!

他のスライムと比べると身体が大きめで、薄い緑と黄色のグラデーションの不思議な色をしていた。

「「「スライムが喋った!?」」」

スライムはヘルを見ながら喋っている…って事は…

「凄いよこのスライム!ヘルの名前だって分かってるのかな?」

センチはしゃがんで喋るスライムを見つめる。

「そんな訳無いだろう、きっと他の人が喋っている言葉を真似ただけだ」

ヘルはそう言ってそっぽを向いていたが、顔をよく見てみると頰が緩んでいた。名前呼ばれたのが相当嬉しかったんだね。

「ヘル!」

スライムはヘルの名前を呼び続けている。

「ヘル呼ばれてるよ、返事してあげたら?」

センチはニコニコしながらヘルを見つめている。

「ヘル!」

「な、何かな?」

ヘルはぎこちない笑顔を浮かべながらスライムに返事を返した。

「ヘル!!」

スライムは嬉しそうにヘルの周りを走り回った。

「こ、これはどうしたらいいんだ…?」

ヘルは困り顔でセンチに助けを求めている。

「そうだね〜、それならその子に何か魔法を教えてあげたら?

確かそのスライム、昨日みんなに魔法を教えてあげている時に魔族達に混じって魔法覚えようと頑張ってた子だよね?」

センチは喋るスライムを抱え、ヘルに手渡した。

「そうだったか?じゃあ…魔法、覚えてみるか?」

ヘルは腕の中にいるスライムにそう話しかけると…

「まほ!」

スライムがヘルを見上げながら嬉しそうに反応した。

「よし!それじゃあ…

今からヘルの授業が始まるよー!!魔法覚えたい人はヘルの周りに集まれー!!」

「なっ!?」

センチの呼びかけが伝わったのかは分からないが、辺りに居たスライムが私達の周りに集まって来た。

「ほら!みんなヘル先生の授業待ってるよ!みんなに魔法教えてあげたら?」

「あ、ああ…分かった。えーと…みんな!授業をする為に広い場所に移動する、私の後に付いてきてくれ!」

そう言って森の開けた場所に向かって移動を始めたヘル先生にぞろぞろと付いていくスライム達。


じーーーーっ……


ヘル先生に付いて行かなかったスライムが数名、私達を見上げている……


「これは…」

「私達も何か教えてあげた方がいいのかな…?」

私とセンチは困り顔で目の前で待ち続けるスライム達を見つめた。

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