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始まり


「うーん、まあ、こいつでいいか」


頭に謎の声が響いた瞬間、私はいつの間にか白い空間で寝転がっていた。

「ここどこ…?」

そもそも私は一体誰…確か苗字は黒岩で…RPG系ゲームが大好きで…さっきまで自宅のアパートでゲームして遊んでいて…

「ここはあんたの部屋じゃ無いよ」

「誰!?」

私は声のした方を向く。

そこには赤を基調とした豪華な衣装を身に纏った、白髪で顔が整った男が私の目の前に居た。

よく見ると耳がエルフのように尖っている。

「俺?まああんたにとっては神様みたいな存在かな」

「はあ…あの、神様が私に何の用なんですか…?」

私は、神様と名乗る人物に恐る恐る尋ねた。

「ああ、あんたを俺の作った世界に転生させようと思ってね」

「ええ!?よく小説で見るあの転生!?」

「そうそう、俺の作った世界は…技術は地球より劣るけどさ、地球には無い魔法が存在するファンタジーな世界だから中々楽しめると思うよ?」

物凄く楽しそう!私職業選べるなら魔法使いになってみたい!

そうだ、転生先とかどうなってるのかな?

「あの、私は何に転生するんですか?もしかして転生先を選べたりとか…」


「ああ、あんたは石ね」


「はぁ!??」

この人何言ってるの…?

「いや、嘘じゃ無いよ?石だったら作るのが楽…とかじゃ無くて、石だから壊れない限り命が永遠だし、争い事にも巻き込まれないからかなりいい転生先だよ」

目の前の男は淡々と私に告げた。

「そんなの嫌に決まってるじゃん!私を元の世界に返して!」

こんな適当過ぎる転生は嫌だ!これなら現実でずっとゲームしてた方がマシだ!

「いや、無理だよ。現実ではあんたは死んでるし、魂は俺の世界に既に固定されてるから地球に帰れないよ」

「だからって石は無いでしょ!?」

「うるさいなぁ、そんなに文句言うなら石よりもずっと嫌な…例えばナメクジとかダニとかさ、そんな生物に変えてもいいんだよ?」


「ナメクジやダニが何だって?」


「あっ…」

白髪の男の後ろに、白いローブをまとった長い銀髪の厳しそうな老婆が突然現れた。

「おいシロ、その客人と何を話しているのだ?」

老婆は白髪の男に尋ねる。

「あっ、いや、この人がワガママばっかり言って私を困らせるのです…」

「見せてみろ」

「あっ!?」

老婆は白髪の男の胸ポケットから手帳を奪い取った。老婆は手帳をパラパラとめくって中身を確認している。

「えー…黒岩優。享年20歳…20で寿命?えー…万引きや詐欺の常習犯で…ん?犯罪者であり穢れた猿は罰として石に…んんん!?何だこのデタラメな文書は!?」

お婆さんは白髪の男を睨みつけた。

「ひっ!?」

男は小さな悲鳴を上げた。

何?何が起こってるの?私今この男に犯罪者だと思われてるの?

「あっ、黒岩は犯罪者じゃ無いよぉ〜安心してねぇ〜」

お婆さんは私に向かって笑顔で優しく話しかけた。とりあえず私はぎこちなく笑いながら頷いた。

お婆さんは笑顔で頷き返すと、直ぐに厳しい表情に戻って再び男に向き直る。


「シシよ…お前は1年に1つ以上は作らなくてはならない魂を、作るのが面倒だからと言う理由で他所の星から盗んだばかりか、転生先の身体を作るのも面倒だからという理由で適当な石に魂を移そうとしたな?」

「いえ、そんな事は…」

シシと呼ばれた男はめちゃくちゃ動揺していた。

「…シシ、お前は今日で創造主の役割を降りて貰う。お前が作った世界で一生を悔やんで過ごせ。さらばだ」

「待って下さい!実はこ」

シシは何かを伝える前に、あっと言う間にこの白い空間から消えてしまった。

白い空間に私とお婆さんが残った。


お婆さんは私に向かい合うと、懐から何か…バナナを取り出した。

「怖い思いさせてごめんねぇ〜、ほら、バナナ食べるぅ〜?」

お婆さんは満面の笑顔で私にバナナを向けた。

「待ってお婆さん!私そんなにバナナ好きじゃない!ごめんなさい!」

私は慌ててお婆さんを諌めた。

「そっかぁ〜バナナ好きじゃ無いかぁ〜、ごめんねぇ〜。私のミスなのに謝るなんてなんていい子なんだろうねぇ〜」

お婆さんどうしちゃったの…?

「ごめんごめん、久しぶりの生き物だったからつい…」

お婆さんは謝りながらバナナを懐に戻した。

「さて…黒岩。君をこんな事に巻き込んでしまい申し訳無い。あの男が言った通り、君はもう地球に戻れないんだ…すまない」

「いえいえ!お婆さんが悪い訳じゃ無いですし!大丈夫ですよ!」

「いや、せめて転生先や能力は自由に決めさせてあげよう!」

まじで!?そんな事しちゃっていいの!?

「いいのいいの!あの男のミスでこんな事になったんだし!さあ、何になりたい?」

うーん…いざ考えると物凄く悩む…

「あのー…、弱過ぎると心配なのでそれなりに強くする事は出来ますか…?」

私は控えめに尋ねてみた。

「できるよ!姿は何にする?」

要望通った!凄い!ありがとう!さて、姿の方はどうしようか…

どうせなら生き物じゃ無い生き物になってみたいかな。

痛みとか病気とかと無縁の身体が欲しい。

……よし!コレにしよう!

「何か…ゴーレムのような…ロボットのようなそんなカッコいい感じの存在になって平和に暮らしたいです…」

「いいよ!カッコいい夢でいいねぇ〜では、凄い力を持った鉱石人に転生させよう!それっ!」

「わーっ!!?」


私はお婆さんが放った眩しい光にあっという間に飲み込まれてしまった

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