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伏せ目がちな彼続編。
その日はテストが配られた。
「隣同士で丸付けをするように」
そう先生は言ったが、俺とその子(今回は席が隣だった)は点数が悪かったから個人で丸付けをしようということになった。
2人とも前の席で先生がプリントを配る時丸付けをしている紙も見えるため、その子はそっと名前の欄を筆箱で隠した。
ずるだ。
あのいつも真面目だったあの子はズルをした。
俺はぞくっとした。一瞬にして体に血液が回るような、止まるような息のできない感覚。
そして同時に雲泥の差だったあの子に妙な共感さえ呼んだのだ。
確かな同類の匂い。
俺はその日から彼女を観察した。そして俺はついにいつも人気者だった彼女の顔は...本当の顔ではないことを知ってしまった。笑顔の中の目は確かに死んでいて、静かな海のような。それか海の中に沈みもがくのをやめ、諦めたようなそんな目だった。