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このストーカー、やべえ。すごい怖い。やばすぎる。

ホラーを書いてみましたが、難しいものですね。

「キー!キー!」

出っ歯の男 皆藤 エルギノラ はどうしてもどうしても会いたい人がいた。

今すぐ会いたくて、部屋の中で発狂中だった。

それは、祥子。中学校の女生徒だ、ある日一目見て惚れたのだ。


エルギノラは、無職の34歳男性、恋をしたのは初めてである。

「会いに行こう!」

そう叫び、部屋の窓ガラスを割って外へ飛び出す。

二階だったので足をくじいたが、気にせず祥子のところへ向かった。


祥子は、学校からの帰りだった。

「♪」と歌を歌いながら、帰っていた。

しかし、視界の端、自分の後ろで何かが動いた気がして振り向くと。


電柱の陰から祥子の知らない男がじっと見つめていた。

彼はエルギノラだ、ゆっくり祥子に歩み寄る。


かれはすこしずつ祥子との距離を詰める。

少しずつ、少しずつ、少しずつ。


しかし彼は祥子に何もしなかった。

「あっ!道間違えた!」と言って、その場から去っていった。

祥子は怖い人に絡まれるかと思い身構えていたが、緊張を解いた。


エルギノラは去ったあと、自分に激怒した。

「クソ、俺、何やってんだよ」

彼は祥子と結婚してもらうか、殺して自分のものにしようと思っていたのだ。

なので、ナイフと婚約指輪をもっていた。

「クソ、勇気がなくて結婚は無理そうだ」

「よし、もう片方のプランに変更だ!」

彼は狂気性の強い選択をした。


雨なんか降ってない、晴天の中、一人の狂人が

普通の人の横を通り過ぎて、目的を果たしに行く。

誰も彼が今から少女を殺しに行くなんて気づかない。


彼、エルギノラの表情は強い決意を固めたものであるのだから。

夢に向かうものにしか見えないのだから。


祥子は自販機でコーヒーを買い、息抜きをしていた。

苦いが、上手い。

温かみがあって身体を芯から癒してくれる。

そしてそれを飲み終わった瞬間。


視界に入った先ほどの男を見て。

祥子の体中から血の気が一気に引いた。


「それ、くれない?」

先ほど自販機の陰から見つめていた男に声をかけられる。

その男、エルギノラは、行動に移すことにした。

結婚でない選択肢を。


エルギノラの目は充血し、焦点が合わない。


光悦とした表情で彼は愛をかたる。

「君をいつまでも愛したい、ぼくが、ぼくだけが!

だから、君を殺して死体をぼくが保管する」

エルギノラはナイフを構え。祥子を血走った目で凝視する。

彼の手は細かく震え、口角はあがっていた。


祥子はあわてて周りを見回した、だれもいない。

だから。

「誰か―!助けて―!」遠くまで聞こえるように叫ぶ。

誰も来なかった。


踵をかえし、祥子は逃げ出す。

陸上部なのだ、足には自信がある。


こんな奴に追いつかれるか、と。

あえて複雑な道に逃げ込み、角を曲がり。

振り向くとエルギノラはまだ追ってきていた。

だから左に角を曲がり。

直進し。また角を曲がり、そして、直進、また角を曲がる。

振り向くとエルギノラは追ってきていなかった。

彼は、祥子がつい、さっき通り過ぎた道で

キョロキョロとあたりを見回している。

エルギノラを祥子はまいたのだった。


「ああ、もう!なによアイツ!」

と文句を言いながら、ほっと一息つく。

後で、警察に男に追われたこと言わなきゃ、と

考えつつ祥子は家に、疲れてふらつきながら帰った。


家のドアを開けるとき、周りの電柱の陰とか、人が

隠れられそうなところはすべて確認した。

_もし、あの男に家知られてたりしたら怖いわ_

という考えだ。

電柱の陰にも、自販機の陰にも、道の角にも、

エルギノラはおらず、祥子は安堵した。


2階の祥子の部屋の窓ガラスが割られているのを見て。

祥子はまたか、と思った。

普段から近所の運動場からホームランボールが飛んできて

よく割られている、祥子はそんなこと気にしなくなっていた。


家に帰ると、母親が「早く制服を着替えてきなさい」

という、その指示に従わないと怒号のごとく怒られる。

だから。

「ハア!くそう、なんて日なんだろう今日は」

祥子は自分の2階の部屋におぼつかない足取りで向かう。

制服を着替えないと。


そして、部屋のドアを開ける前。

虫の知らせだろうか、祥子の胸の中でもやもやしたものが膨れ

それは、不安になる。

それはさっき襲われたことで精神が不安定になってるんだ。

と思い込み。

祥子はドアを開けてしまった。


祥子の部屋の窓ガラスは、割れていた。

エルギノラが、割ったものだった。

祥子に会いたくて、発狂している時に。

「お帰り、待ってたよ。」彼の声がして_

ナイフは祥子の脇腹に深く突き刺さっていた。


「これで君は僕のものだよ」

祥子は悲鳴を上げたかったが、痛みでできず。

ただ、自分に向かってナイフをふるうエルギノラに

目で「やめて」とうったえるしかできなかった。


そんなことは無駄でしかなかった。


祥子は自分がどうやって、いつ終わったのかわからない。

エルギノラもいつ祥子が死んでいたのかわからない。

ただ、祥子は死んだ。


それだけは確かだった。

そしてエルギノラは分割された祥子をバッグに詰めて。

自分の家に帰る。

彼は、子供が友達と遊び終わって、別れの挨拶を告げ

家に帰ってゆくすぐそばを通り過ぎた。

日常の中に平然と彼は紛れ込む。

エルギノラの真似は絶対にしないでください。

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