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落ちこぼれ能力者に平穏は訪れない  作者: 戸野牧こと
1 山崎翔弥の比較的平穏な日常
3/59

休み時間に真面目な話はやめて

やっと本編です。

最初はほのぼのした日常……とは違うなあ……


2/27 内容を追加しました。

1回あたりの文字数がつかめない。

「才能ない人間には自由なんて訪れねーんだよ。」

「何言ってんの? なろうと思えば誰だって自由になれるよ。」

「……才能ある人に言われてもね。」

「他の人のことは知らないけど自分は才能じゃない、努力だよ。」

「努力だって才能さ。同じだけ努力したときの伸びの違いとか、お前は知らないだろ?」

「そんなことは関係ない。」

「あるさ。結局この世は全て才能で決まってる。自由の恩恵を受けられるのは才能のある人間だけだ。」


 まったく、こいつはいつもいつも俺がボロボロになっているときに限って傷口をえぐってくる。勘弁してほしい。

「演武がダメでも将来は自由に選べる」とかそもそもの選択肢が全くない俺にかける言葉じゃないだろ。優等生ならその辺考えてくれ。


 俺は山崎翔弥。超科学力養成学校2年生。非能力者で言う大学2年生にあたる。一応この学校の最高クラスに在籍している。

 今は学校の屋上でのんびりしていたのを、


「そもそも、才能があるって判断されたからこの学校にいるんでしょ?」


 こいつに邪魔されている。


 真顔で言うこいつは柚木楓子。成績優秀、能力も強力、なクラスメイト。生まれたころから近所に住む、腐れ縁ってやつだ。

 何だってせっかくの昼休みに柚木(こんなの)の真面目な話の相手をしないといけないのか。やることないし屋上行くか、とか考えてた数十分前の自分をぶん殴りたい。


「知るか。機械の誤作動だろ。教師もあそこの所員もいつもそう言ってる。」

「でも努力してるじゃない。科学知識は非能力者に負けないくらいあるし。」

「こっちの努力したって道は拓けない。優等生のお前が知らないはずはねーだろ」


 およそ30年前に開発されてからというもの、全国民に義務づけられた超科学潜在能力テスト。

 出生直後と各段階での能力テストでかなり力の強い「超科学能力者」と判定され、物心ついたころには習い事として能力養成スクールに通わされていた俺。

 18歳未満の能力者の義務とはいえ、これが嫌で嫌で仕方なかった。




 なぜなら、昔から今現在に至るまで、俺は何の能力も使うことができないから。


 機械で計測する固有能力値はいつもトップクラス。

 それなのに、何を試してもなにかが起こったことがない。

 いくら努力しても自分の能力が発現しなかった俺は、その反動で科学の勉強にのめり込んだ。


 普通、超科学能力者は、ほとんど科学知識を持たない。科学系の授業自体は中学まであるが、特例としてテストなどが免除されるためだ。そのため、科学というより「理科」と呼ばれるレベルの知識すら持っていない能力者が大勢を占める。



 おかげで今俺は、非能力者の高校生に匹敵する科学知識を身に付けただけで「変人」の称号をいただいている。


 しかし。


『超科学力の持ち主は、それを合法的に利用する仕事にしか就けない』


 能力テストが義務づけられる前から世界にはこんな不文律ができていた。

 これが人々の中に根強くある以上、俺がこの科学知識を使って生きることはできない。

 力を持たない人たちなりの自衛策だったのだろう、と俺は考えている。わかっていることではあったが迷惑極まりない。


 おかげで、超科学力を持っていると診断された人間は、科学的な教育を受けることすら難しくなっている。そんな物好きもそうはいないが。


「……科学の勉強を『努力』って肯定的に見たのはお前が二人目かも。」

「初めてじゃないのがちょっと残念だなあ。ちなみに最初は誰?」

「母親」

「ああ、なるほど。ん? 他の家族は?」

「大反対」


 能力者はそれなりに人数がいるとはいえ、50~100人に1人程度。世界規模で見ればかなりの人数だが、地区ではかなりの少数派になる。少数派は大概虐げられる運命にある。


 俺が住んでいる地域は、そういった偏見はほとんどない。ありがたいことだ。ただ、能力者一家である俺の家族が科学を学ぶ、ということに関してはあまりいい顔をしない人もいるだろう、と母親以外は考えている。


 何より、ほとんどの能力者は自分たちの力に誇りを持っていて、科学より優れた物だと思っている。俺の家族も例外ではなく、そんなものを学ぶより自分の超科学力をみがけとうるさい。みがく超科学力がそもそもないってのに。


 ……何かが引っ掛かる。


 超科学力をみがく?


 どこかで聞いたような……



 あ、昨日の超科学演武の総評だ。あーあ、なんで超科学演武(あんなもの)が公式行事なんだようちのガッコ。


 腹の中で吐き捨てたつもりが声に出ていたらしい。しょうがないでしょ、と隣から返事が聞こえた。


超科学演武はネーミングそのまま、基本超科学力で戦う武闘競技。

 見た目が派手なせいか能力者が集う学校では定期行事になっていることがほとんどで、当然国内最大級の養成学校であるうちのガッコでもそうなっている。



「にしてもよくあの状況で古谷クンの居場所わかったね」


 話しているのは昨日行われた試合の1つ、俺と古谷の試合のこと。柚木によると、観戦側から古谷の姿はほぼ見えていなかったという。


「え? 地面の瓦礫でバレバレだろアレ」


 ぽっとつぶやくと、優等生のものすごく驚いた顔という珍しいものが見られた。明日は雪が降るかもしれない。


「地面? もしかして科学知識の応用?」

「もっと簡単だった」


 超科学演武のルールは3つ。

 1制限時間は30分。

 2相手を気絶させるか、降参を宣言させたほうの勝ち。

 3相手を殺してはならない。


 ルールに抵触しないことであれば、基本はやっていいことになっている。当然武器の使用も可能。

 古谷はその場の床石を目隠しと攻撃に使ったというわけ。



「で、あの威力なら当然1回自分の近くに持ってってるわけで」


 今度は理解できない、という顔をされた。そんなに変なこと言ってるか?


 古谷や柚木くらいの能力者になれば、かなり離れた場所の物にまで自分の力を及ぼすことができる。しかし、その他の力と同様、能力者から離れれば離れるだけ力の輸送にエネルギーがかかる。要するにロスが多くなり、最終的な効果も薄くなってしまうのだ。


 先の試合の場合、古谷が放った瓦礫は最大威力に近かった。


「で、それがどう地面の瓦礫につながるの」

「瓦礫の動き」


 古谷もそんなものが見られているとは思わなかったんだろう、偽装も何もせずに瓦礫を真っ直ぐ自分の手元に吸い寄せていた。全部が同じ方向に向かってたらさすがにわかる、と言ってもイマイチ反応が悪い。


 あれ、コイツかなり頭いい部類に入ると思ってたんだけど。


「…もしかして柚木、こういう分析苦手だったり」

「うるさい黙って」


 ぴしゃっと言い放った割りにはでも翔弥すごい、すごいと連呼する。優等生にこうもほめられると少しくすぐったい。


 すごいけど、と柚木は宙を見て続ける。


「負けてたら意味ないね」

「うっせ」


 悲しくなるからそれを言うな、という言葉は胸に収めておく。


「ま、よくわからん特異体質もあるのを忘れて油断した俺が悪い」

「あれなんなんだろうね」


 あれ、というのは俺がぶっ倒れて負けが確定した原因である。

 俺は古谷が無意識に投げた瓦礫が腕にかすり、気絶した。

 とっさに投げたものなので、瓦礫の威力はかなり弱かったはずだ。古谷もそんなもので倒せるとは思っていなかったらしく、しばらく放心状態だったと後から聞いた。


「あの程度の威力の石なら普通かすり傷もつかないと思うんだけど」

「またお前は」


 傷をえぐるなというのに。


 俺だって、まさかあんな普通に投げたのと変わらないようなパワーの石で気絶するなんて思ってねーよ、と言いかけて止める。


「……そうだよな」

「えっ翔弥が凹んでる」


 なんか怖い、と柚木が腕を抱く。そんなに変か俺。

 そもそも、ああいうことは昨日が初めてではない。むしろ俺の中では恒例行事になるくらいの頻度で起こっている。

 ということは普通に考えれば、


「回避策考えず突っ込んだ俺が完全に悪い」

「潔いというかなんというか」


 あきれた顔で言う柚木は無視することに決める。


 うーんでも他はダメージ負ってない。突っ込んだときの古谷の驚きようはすごかったから、あれはほぼ奇襲成功と言っていいだろう。

 あのまま1発決められていたら勝敗がひっくり返った?

 ありえない話ではないか。

 だけど古谷(あいつ)はずっと超科学力使って宙に浮いてたし……


 やめやめ、と思考を停止して、俺は床に倒れこんだ。

 終わったことを考えても仕方がない。

 今は次の授業に向けて体を休めよう。

登場人物が超科学力振るうのはもう少し後になります。


ちょこっと補足させていただくと、いきなり山崎が説明口調になるのは、生い立ちのせいで醒めた見方が身についたからです。


まだ説明パートっぽくなってしまっている……


勉強片付けつつ、しばらくマメに更新していきたいと思っています。

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