プロローグ2:超科学演武にて
主人公君登場です。
『ああーっと、古谷選手が能力発動! がれきが一斉に宙を舞います!』
今ではすっかり人々の娯楽の1つになった「超科学演武」。
昔は文献でしか見られなかった非科学的な戦いが実際に見られるとあってか、開始当初からかなりの人気があったと伝えられている。
非能力者はスポーツ観戦のような気分で、能力者は自分の能力を磨くために会場に足を運ぶ。
『対する山崎選手は逃げるばかり! 今回も能力を使わずに終わってしまうのか!?』
選手は基本的に能力者。……基本的には。
一応非能力者の参戦も認められていて、彼らはギャラリーからの人気が高い。チートに正攻法で立ち向かう勇者のような扱いになっている。
「だっから俺に能力なんてないっての」
まれに能力者であっても力を使わず戦う者も存在するが、こちらは全ての人から嫌われる。全力で戦うのが美徳とされる世界で、本気を出さないとは何事だ! と非難されるのだ。
「いっつ……油断した」
背に当たった床石に顔をしかめた彼もその一人。
「さすが古谷……優等生サマだけあって、落ちこぼれには容赦なしか」
くそ、と実況が山崎と呼んだ彼が舌打ちする。
この競技では、時間内に相手を気絶させるか、降参を宣言させたら勝ちになる。そろそろ時間が切れそうとあって、古谷の猛攻は止まない。
「どこだあいつ……!」
呟き、山崎は辺りを見回す。
激しい瓦礫の雨の中、実況カメラは古谷の姿を捉えられていない。モニターには山崎が地面を見つめながら、何かをつぶやいているのだけが映る。
観客からはヤジが飛ぶが、彼は気にする様子もない。実際、瓦礫の雨のせいで聞こえていない。
と、急に彼が走り出した。その先には__
「古谷ぃぃぃ!」
見つかるとは思っていなかったのか、呼ばれた古谷が目を剥く。とっさに、という体で手に持った瓦礫を投げつける。力が込められた瓦礫が光を発する。突っ込んだ山崎は反射的にかわすも、近すぎて避けきれず腕にかすり……
審判が高らかに宣言する。
『ゲームセットぉ! 勝者は__』
モニターは呆然とする古谷と、床に倒れて動かない山崎を映し出していた。
ここまで設定説明パートです。
次回から本編です。基本的に山崎視点で進む予定です。