4話:魔法と魔王
依音とクーリアは、アトラスフィア王国へ向かうために、まずはミネア村を目指していた。二人は川を見つけ、そこの石の上に座り休憩していた。
「ところで、クーリア。この世界に俺呼んだ方法って確か儀式がなんちゃらとか言ってたよな。てことは、ここは普通に魔法の類があるということなのか?」
「ありますよ。ましてや、この世界は魔法のおかげで回っているといっても過言ではありません。例えば、家のライトなどは、全て光魔法を封じ込めたものを使っています。魔法に興味おありですか?」
クーリアの話に依音は興味津々だった。それもそのはず、ネトゲの世界で依音はずっと魔法が使える職業でプレイしていた。それが、現実の体で魔法が使えるかもしれないという。
「魔法は俺でもつかるのか?どうすれば使える?」
依音が、突然勢いよく顔を近づけてきて聞いてきたので、クーリアは、顔を真っ赤にしながら少し後ろに遠ざかった。
「ち、近いですって...依音さんも魔法使えますよ。使い方の前にまずは、簡単に魔法の勉強をしましょうか。」
「え~~。勉強するのかぁ...」
勉強が嫌いな依音は嫌そうな顔をしながら、ブーイングした。
「露骨に嫌がらないでください!!!、魔法には、属性が存在しています。火、水、天、地、光、闇の6つですね。火は、その名の通り炎など、熱に関するものを主体とした属性です。次に水は、水が原料でできているものを扱えます。例えば氷などがそうですね。」
さっきまでブーイングしていた依音も、話すのをやめ真剣にクーリアの話を聞いていた。
「質問いいか?誰もがすべて6属性使えるのか?」
ビシッと手を上げて依音は質問を投げかけた。
「質問を許可する前に言ってしまってますが...まぁいいです。誰もが6属性を使えるわけではありません。大抵の人は1から3属性程度しか使えません。たまに4属性つかる人が生まれる時もあります。5や6属性使える人は、魔法の名家からごく稀に生まれることがあると聞きます。こればっかりは神の気まぐれですね。」
クーリアはしゃべりすぎて喉が渇いたのか、川で水をすくって飲んでいた。
「どうやれば、使える属性と数がわかるんだ?」
クーリアはまた石の上に戻ると、鞄から一枚の紙を取り出した。その紙には6色の丸い枠が書かれていた。
「これは、特別な魔法が込められた紙で、その人が何の属性が使えるのか示してくれます。これを背中に貼るので少し後ろを向いてください。」
依音は言われた通り後ろを向いた。クーリアは背中に紙を貼り、少し離れた。すると、紙は一人でに光はじめ、そんまま時計回りに回り始めた。5周ほど回ったあたりで、回転が止まり光も消え、背中から剥がれ落ちた。クーリアはそれを拾った。
「結果はどうだったんだ!!」
早く結果を教えろと振り返ると、そこには口に手を当て、依この世の者とは思えないぐらいの驚きの表情を浮かべていた。
「どうした、そんな世界の終りのような顔をして、せっかくかわいいのにもったいないぞ。」
いつもならすぐ赤面してもいいような事を依音は口走ったのに、クーリアはそれにも気にせず、そのまま驚きの表情で、潰れそうな声で喋った。
「6です...6つの円全てに...紋章が...浮かんでいます。」
クーリアに紙を手渡され、依音も見てみるとそこには、はっきりと6つの紋章が浮かんでいた。依音は、6属性すべてに適性をもっていることが信じきれなかった。
「紙が、間違った反応を示しただけじゃないのか?バグか?」
冷静を取りも出したクーリアは乱れた髪や服を元に戻していた。
「バグ?とはよくわかりませんが、この紙が間違えを示すことはありません。おめでとうございます。依音さんは六系統魔術師です。私でも四系統魔術師ですのに。次は魔力の強さを量りましょうか。強さによって、扱える魔法の威力が変わります。次はこの赤い紙を5秒間握ってみてください。」
赤い紙を手渡されると依音は、力強くにぎった。すると依音から発せられるように風の流れがかっわた。5秒たつといつも通りの流れに戻っていた。
「もうどんな結果を見せられても驚きませんよ。普通の人は1000ぐらいです。私で大体7万。トップクラスの魔術師でも最高で15万ぐらいだそうです。さて、結果はどうでした?。」
「100万って書いてるぞ。」
依音は少しくしゃくしゃになっていた赤い紙を広げて答えた。
「...は?100万?依音さん、一桁見間違えてませんか?私にも見せてください。」
クーリアは依音から紙を渡され、見た途端、その場で尻もちをついてしまった。
「いてて、た、確かに100万ですね...伝説上の魔導士と同じ数値ですか...どのくらいかといいますと、依音さん個人で一つ国を沈めれます。」
依音はクーリアに手を差し出して起こしてあげた。
「それはすごいな。それで、その伝説上の魔導士ってなんだ?」
クーリアは体を起こしてもらうと石の上に座りなおした。
「ありがとうございます。伝説上の魔導士をいうのはですね。数百年前、この地に現れた魔王をどこから来たのかもわからない魔術師が倒して平和になったというお話です。でも如何せん100万なんて桁が違い過ぎて誰も信じていなかったので伝説上なんです。」
「まさかとは思うが、クーリアがアトラスフィア王国を助けてほしい理由って、魔王に攻められているからとかか?」
依音はクーリアに聞くと、覚悟を決めたかのような顔になって答え始めた。
「はい。その通りです。いま、私の祖国アトラスフィア王国は、最近現れた魔王クレズブルク率いる悪魔たちに滅ぼされようとしています。依音さん、いや依音様!私をどうしてもかまいませんから国を救ってください。」
クーリアは依音に向かって深々と頭を下げて頼み込んだ。その行動に依音は凄い戸惑ったが
「頭を上げてくれクーリア、そして俺なんかを様で呼ばなくていいから。どうせやることもないし、俺にできることはしてやる。あと、私をどうしてくれてもいいとか言うんじゃない。自分を大切にするんだ。」
クーリアの顔を無理やり上げさせると、目に涙を浮かべながら依音に抱き着いた。
「ありがとうございます!これで私たちの国は完全に滅びなくで済みます。」
「その為には、ひとまずでも早く国に帰らないとな、魔法の使い方は帰りながら教えてくれよ。さぁいこうぜ」
涙を拭いて依音から離れたクーリアは荷物を取って歩き始めた。
「そうですね!魔法については、私がみっちり責任をもってお教えします。村まで残り少しです。行きましょう。」
二人は、川から離れ再び村を目指し進んだ。
ここまで読んでいただきありがとうございます。しもつきひうです。
依音がとても最強ということがわかりましたね。
僕自身、主人公最強系がすきなのでこの作品もそうしました。テンプレ?いわないでw
今回少し解説感が強かったかもしれないですが楽しんでくれたのなら幸いです。
また次回をお楽しみにしてください!