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異世界からの開拓者  作者: Baze
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6. 口封じ??

共通暦5606年 王国暦3256年黄月13日


王都での話をするために、サトウを呼び出したところ、キタムラと一緒に役所にやって来た。

「突然の呼び出し申し訳ない。王都にて勅命の遺跡調査の件を報告してきたので、報告した内容を知らせようと思い、呼び出させてもらった。」

「それで、国王陛下はどのような反応をされましたか?」

「王都から研究者を派遣して、再度、地下建造物を調べるそうだ。その結果と私が出した報告書を精査し、王国で開示範囲を決定の上、開示していくそうだ。すまんが、王国の情報開示までは他言せぬように頼むよ。」サトウに念を押す。


「領内での養鶏事業にある程度の目処が立ちましたので報告します。」キタムラから報告があるらしい。

「領内での需要にこたえられる量の鶏卵を供給できるようになりました。今後増えていくと予想される需要にも対応可能です。また鶏肉の供給も増やしており、領内では鶏肉を口にする機会が増えている模様です。」

「そうか、鶏肉も食べる機会が増えてきているのか。領民の食生活を豊かにしてくれて助かる。」

サトウ達は報告が終わると下がって行った。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年黄月20日


王都からやってきた研究者に呼ばれ、大型の建造物が見つかった遺跡へ向かう。


「ようこそおいで下さいました、閣下。今日は、1つ分かった事がありますので、遺跡を見ながら説明させていただきます。」

「分かった事とは?」地下遺跡に向かう坑道を歩きながら聞く。

「3500年前に大規模な火山噴火が起こった事はご存知だと思います。3500年前の噴火で積もった火山灰の遥か下から今回の建造物が見つかっております。」研究者の一人が言う。

「それはどういうことだ?」

「今回の建造物は推定10万年前の建物だと私たちは考えています。」

「10万年前だと??」

「はい。これから詳しく調べていきますが、『アトラ』以前の遺跡になる事は確実です。」


詳しく話を聞いてみると、3500年前の噴火による火山灰の層と地表までの深さからおおよその年代を推定したらしい。なるほどねぇ~と思っていると、前回入った小部屋についた。

「これは、アトラ教に伝わっている古代文字に似ていますね。「翻訳できる所だけを見る限り『4521』と『12』、後は数字が並んでいますね。恐らくカレンダーだと思います。」壁に貼られている物を見て、神学者が言う。

先日見た物はやはりカレンダーだったようだ。研究者たちは他に文字が書かれれたものが無いかを探索している。

余りに熱心に探しているので、一声かけて退散する事にする。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年緑月6日


今年もそろそろ雨期が終わる。

今期は、カーク村とミッドの周辺の開拓が進み、昨年比で1.2倍程度の作付面積の増加が見込めそうだ。


王都から来た研究者たちは、相変わらず遺跡に潜っている。地下建造物から大量の書籍を発見したらしく、王都に向けて荷車が出発していった。曰く「古代文字の研究が一気に進みそうです。これまで解読できなかったものの解読が進むでしょう」とか「ここ最近、停滞していた『創世神話』に関する研究に一石を投じますよ」とか目の色を変えている。正直な所、実生活に影響がないので興味が無いと言えば興味がないのだが…。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年緑25日


雨期も終わり、今日は新生祭だ。

今年は鶏肉料理が振舞われた。天晶堂の養鶏事業が上手く行っているようだ。

今年の作付けが上手く行く事を祈ろう。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年青月10日


普段通りにフェンと雑談をしていたら、王都からの使者が現れた。

「王都からの召喚命令です。至急王都までいらして下さい。」

予想外の呼び出しに驚きながら、召喚に応じる事にした。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年紫月7日


2日前に無事に王都に到着し、国王との謁見となった。


「遠路はるばるご苦労であった。」国王が口を開く。

謁見の間にはアトラ教の関係者と思われる人間もいるようだ。


「今回は、陞爵に関する話で召喚した。」と国王。

「陞爵ですか? 何かそれに値するような事をいたしましたでしょうか?」 正直な所、陞爵されるとは思っていなかった。

「領内で発見された地下構造物に関してです。」アトラ教の関係者が口を開く。

「王国と教団で協議した結果、今回発見された地下構造物に関しては全てを隠匿するにした。」予想してはいたが全てを公表しないらしい。

「教団としても、そちらの領内へ司教を派遣しようと考えています。」教会関係者が口にする。うちの領内には助祭さんしかいなかったはず…。

「そうは申されましても、司教様を受け入れる格式の教会がございませんで…」陞爵は一旦後回しにして、司教派遣にやんわりと断りを入れる。

「格式ある教会は直ぐには必要ない。それに敷地さえ用意してくれれば、教団で教会を建設しよう。」 教団関係者の押しの強さに自身の不利を悟り諦める事とした…


「陞爵の件、司教様の派遣の件、共に拝承いたします。」


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年紫月8日


「陞爵とは驚きましたな。それに司教様も派遣いただけるとは。」 昨日の謁見についてフェンに報告すると呑気にこう返してきた。

「事実上の口封じだよ。」 率直に思った事を口にする。


どうやら、地下構造物は相当に都合が悪い物だったらしい。陞爵と本来はありえない地位の教団関係者がやってくるのは、その為だろう。


「どうやら、今回の事は墓場まで持って行かないといけないようだな」

司教が監視に来る上に、陞爵までされたら黙りこくるしかあるまい。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年灰月5日


国王との謁見を終え、ようやく領都へ戻ってきた。

移動中に男爵から子爵への陞爵の内示が発布されたようだ。黒月1日にはクライド男爵からクライド子爵になる。


「召し抱える家臣を増やさないといけないなぁ」

元々手が足りなくなってきていたので、家臣を増やす予定があったのだが、今回の陞爵にと伴って、子爵の格に合わせた家臣団を作る必要が出てきた。とは言え、フェンから紹介したもらった人数で足りるかと言えばそうではなく、人材難に悩まされていた。


「王都で募集をかけてみてはどうでしょうか?」 フェンから提案を受ける。

「それも考えてはみたのだが…」王都から離れた辺境のこの地に進んでやって来る人はいるとは思えない。やって来るとしても相当な物好きぐらいだろう…。

「天晶堂から紹介して貰う事はできないのですか?」 妻のリサが言う。

確かに天晶堂は独自に教育した人材を起用して、各事業を推進している。こちらから求める人材像を提示すると紹介してくれるかもしれない…


「とりあえず、天晶堂に頼んでみるか…」 サトウを呼び出す事にして、この日は話を終えた。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年灰月8日


昨日、サトウに求める人材像を提示した所、早速紹介してくれた。

今後もこちらの要請に応じて人材を派遣してくれるらしい。


「領内の教育制度の改革について提案します。」サトウが言う。

「教育制度改革?」

「そうです。領民をより広く教育する事により、今回のような人材の枯渇が起こりにくい体制を作りたいと考えています。我々天晶堂としても優秀な人材は早めに確保しておきたいですし。」


サトウによると領内に住む子供に対し、無償で教育を提供するらしい。農繁期は基本的に午前中で授業を終わらせ、農閑期は15時頃まで授業を行う計画を立てているそうだ。

「5歳くらいから5年程度、基本的な読み、書き、計算を教え、その後、本人の希望や適性を見て、それに応じた教育を考えています。窯業・林業・農業・製糖に製鉄、会計など必要な人材は多いので。」とサトウ談。


正直、やってくれるのはありがたい。優れた人材の確保は何よりありがたい。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年白月1日


王都から勅命を携えた使者がやってきた。

内容を確認すると、「子爵陞爵に伴い、領内に天文台を設置・運営し、王国内の学者に開放せよ」との事。


ここで、常識とされている事を再確認したい。「我々は、ターバと呼ばれる星に住んでいる。」「ターバの周りを太陽と月が周回している。」「ターバは平面で世界の果てが存在する。」こんな感じだ。

アトラ教によると、アトラ以前は神々の時代で、その神がアトラの為に箱庭「ターバ」を用意したと言った感じだ。

我々は世界の果てを見た事も無いが、見た事が無いから世界の果てが無いと言えないと言った状況になっている。


で、天文台の話に戻る。

現在、王都に天文台があり、月の満ち欠けや星の運行を観察している。観測の結果は雨期の予測に使用され、我々は大まかな雨期の時期を事前に知る事ができている。

この天文台を領内に設置せよとの事だ。


「また御用普請ですか?」 フェンがため息をつきながら言う。

「そう言うな。彼らとしては、天晶堂で潤っている我々に出費させたいのと、陞爵させた事を周りに納得させる為でもあるのだろう。」


正直、天文台の設置は問題ない。後は天晶堂の力を借りた方が良いだろう。


◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年白月2日


新たにもたらされた勅命に関して、天晶堂に相談する為にサトウを呼び出した。

「天文台設置の勅命ですか?」 サトウが言う。

「そうだ、天文台を設置せよとの事。とは言え、星が観察できる場所を用意するだけなので、場所の選定に協力してほしい。」

「それならば、東部山地を一部切り開いて、天文台を設置するのはどうでしょう。カーク村近くの山地だと交通の便も良いですし。」

「そうか。ならば、施設の設置を頼む」

「了解しました。天文台開設に際し、こちらから必要設備を寄贈させていただきます。」



◇◇◇◇

共通暦5606年 王国暦3256年白月35日


早いもので今年も終わる。

今年は、突然の勅命と地下構造物の発見。口封じのための陞爵と2度目の勅命と色々あった。

正直な話、子爵に陞爵するとは思ってもいなかったし、転生者が現れてからと言う物何かに翻弄されている気がしないでもない。


交易港の建設も順調に進んでおり、レール川の護岸工事も問題なし。

護岸工事が終わった個所は今年の雨期でも氾濫せず、領民も喜んでいた。

天晶堂が始めた養鶏や製鉄・陶業により、領内での鶏肉や鶏卵、鉄製品の流通も徐々に増えているようだ。


それにしても子爵ねぇ。

王国内でも王都から遠く、これと言った産物も無くて貧乏暮らししていたのが2年前とは思えない話。

転生者が来てから多少の贅沢は許されるようになってきたが、領民に安寧な暮らしをもたらすために、善政と呼ばれる物も行いたいものだ…

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