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私の邪悪な魔法使いの友人2  作者: ロキ
シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
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第五章 9)彼女の友達になってやって欲しい

 カルファルと話し込んでいる間に、時間は随分と過ぎた。

 アリューシアが机にぐったりと顔を伏せている。心身ともに疲れ果てていたという様子だ。それくらい一生懸命に勉強に励んだ証拠なのだろう。

 シュショテが頃合いを見計って、席を立とうとする。

 その気配に気づいたアリューシアは、「ちょっと、どこ行くの?」とシュショテをにらんだ。しかしその目の光に、これまでの鋭気はなかった。

 「プラーヌス様の仕事がありますから」とシュショテは言う。

 「プラーヌス」という言葉は万能だ。アリューシアもこの言葉を出されたら黙らざるを得ない。時間が空いたら、またここに来なさいよ。

 「はい」そう言ってシュショテは出口のほうに向かう。私は本当に気が重くて、躊躇してしまったが、心を奮い立たせ、彼のあとを追った。


 シュショテは扉を出て、廊下を行く。

 走り方も何だか健気な感じで、かわいらしい小動物のようである。首を少し斜めに傾げて、大きく手を振って、半ばかけるように歩いてゆく。

 しかしまだ身体は小さいので歩くスピードは遅い。

 私がわざと大きく足音を鳴らすと、シュショテは後ろを振り返ってきた。

 しかし自分を追ってきたものとは思わなかったのか、またすたすたと歩いてゆく。


 「おいおい、ちょっと待ってくれよ、シュショテ君」


 「え? ああ、はい」


 シュショテは立ち止まり、心なしか顔を赤らめ私に返事をする。


 「僕はシャグラン。一応、この塔の主のナンバー2ってことになっている。プラーヌスの友人だからってことで、まあ、この塔の管理を任されているんだけだけど」


 「は、はい、先生からお話しは伺っています。困ったことがあればシャグラン様に相談するようにと」


 「先生ってプラーヌス? そ、そうか。ああ、うん、何でも相談に乗るよ」


 そうなのである。私はアビュが持ち込んできたあの問題について向き合わなければいけないのである。

 こんなこと、思い起こすだけでうんざりしてしまうのだけど、アビュは何と、プラーヌスがこの少年を自分のベッドに連れ込んでいるというのだ。しかも何やら、暴力的な方法で。


 さっきまでもずっと、カルファルとアリューシアのことを話しながらも、この問題が重く心に圧しかかっていた。

 私はこの少年の身体をまじまじと眺めてしまう。

 小さくて細い身体だ。とはいえ、不健康な感じはない。小さくて細い身体の中に、弾け飛ぶような活力を感じさせる。

 こんな華奢で未成熟な身体に、プラーヌスは暴力を振るったのか? だとしたら、本当に卑劣漢。そんな男を友人に持ったことが恥ずかしくなる。

 しかし私に対して受け答えしてくる少年の表情は朗らかだった。何か後ろ暗い欲望の餌食になっているとは到底思えない感じなのである。


 とはいえ、プラーヌスは魔法で記憶を消すことも出来るとか。何が真実かなんて、この塔の中ではいつだって不明確。


 「どうかな、ここの暮らしは?」


 私は探りを入れるよう、こんな言葉を投げかけてみる。


 「はい、とてもいい暮らしをさせてもらっています」


 「うん、良かった、困ったことがあれば何でも言って欲しい。この塔は僕がいなければどうにもならない。プラーヌスだってその事実を知っている。一応、ナンバー2なんてことになっているけど、実質的には僕がここのトップかもしれない」


 頼りになる人物だと思わせるため、私は自分を誇大に宣伝する。


 「プラーヌスにはっきりと意見出来るのは僕くらいだからね。彼は僕の言うことならば、何でもきくのさ」


 しかし別にそれでシュショテの表情が一変したりはしなかった。ただ単に「はあ、そうですか」というだけの反応である。

 私が予想していた感じとは全然違う。彼が何か問題を抱えていたら、私にすがりつくような表情になっていたはずである。

 やはりアビュは大きな勘違いをしているのかもしれない。本気で私はそう思いかけた。


 「えーと・・・」


 「ああ、そうだね」


 シュショテが焦るような表情を見せている。早くプラーヌスのところに戻らなければいけない。そんな気配を滲ませている。


 「まあ、そういうことだ。何か困ったことがあれば、僕に相談してくれればいい。それとアリューシアのことをお願いしたい」


 私がそう言うと、初めてシュショテの表情に大きな変化が生まれた。

 ひどく慌てた感じというか、とても困惑した雰囲気というか、ある意味では子供らしい、彼の年相応の態度を見せ出した。


 「え? え? そ、それはどういう意味ですか?」


 一瞬、落ち着きかけていた顔の赤らみが増して、再びぐるぐるとかき回されたかのように、シュショテは真っ赤になる。


 「アリューシアが魔法の勉強に熱心なことは知っているだろ? 彼女は君を頼っているようだ」


 「そ、そんなことないですよ。何だか凄く乱暴な言葉遣いだし、僕を馬鹿にしているような態度です」


 「いや、違うのさ。彼女は君を必要としている。出来れば、彼女の友達になってやって欲しいなんてことを思っているんだけど、どうかな?」


 「友達ですか? そ、そんなこと言われても、困ります」


 シュショテは激しい拒否反応を示す。


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