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私の邪悪な魔法使いの友人2  作者: ロキ
シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
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第四章 9)アリューシアの章

 「アリューシアだっけ?」


 「え? ああ、はい」


 ゆっくりとしたペースでしか開かれなかった扉が、一気に開け放たれた。

 そして天上に黒い太陽が出現したかのように、あの魔法使いがアリューシアの世界に出現した。


 アリューシアは魔法使いの姿を仰ぎ見る。いつも遠くから見ていた男性である。それが今、手を伸ばせば届く距離に立っている。

 間近で見ても、その美は損なわれることはなく、アリューシアの憧れのままであった。

 あれだけ憧れていた美しさが、距離感の作り出した幻ではなかったことが嬉しく思えたりする。


 しかし彼は黒い太陽だ。あまりに眩し過ぎるせいか、あまりにも深い暗さのせいか、彼女は彼の姿をまともに見ることは出来ない。

 とはいえ彼を見ないでいることは本当に勿体無いことなので、アリューシアは適当に視線をさまよわせながら、その美を盗み見る。


 一方、侍女のラダは恐怖で凍りついていた。

 男性の客がお嬢様の部屋に闖入してきたのだから、「何の御用でしょうか?」と叱責するのが彼女の仕事のはずだ。

 しかしラダは死の予感に苛まれているかのように震えていた。


 「悪いけど、君をさらう」


 ベッドの上のアリューシアを見て、魔法使いが言った。

 その視線を前に、アリューシアはシーツを手繰り寄せ、それを盾のように使って、自分の身体を隠そうとする。

 シーツは充分な長さなので、彼女の足先から顎まで、皺のよった白で覆われる。


 別に裸でもなく、薄着でもなく、彼の視線に嫌悪を抱いたわけでもないのだけど、彼女は知らないうちにそのような行動に出ている。

 それはきっと自然の演技。いわゆる媚態。


 「どういうことですか? さらうって・・・」


 憧れの魔法使いを前にして、緊張で口元は震えていたが、基本的にお喋りなアリューシアは、自分でも驚くくらい自然と言葉がつらつら出てきた。


 「もしかして、私をどこかに連れて行くというのですか? や、やめて下さい。わ、私、まだ子供で、いきなりそのようなことを言われても、本当に困ります・・・」


 魔法使いは、アリューシアの思惑や感情の動きになど一切興味がないのか、あるいはむしろ完全に彼女の気持ちを把握して、それを嘘だと見抜いたのか、躊躇なくアリューシアの身体に手を伸ばした。

 白いシーツをはぎ、アリューシアの細い腕を掴み、自分の胸元に抱き寄せる。

 アリューシアの胸が激しく震える。しかし魔法使いの胸板にぶつかり、その震えが止まる。


 え? 何が起きようとしているの? 


 (自分はこの人に、いったい何をされてしまうのだろうか?)


 アリューシアは自分の小さな乳房が、彼の身体に触れている感触を感じながらそんなことを思う。

 もちろん、恐怖を感じないわけではなかった。しかしそれ以上の興奮と、快楽の予感が身体の中心を貫く。

 端的に言えば、彼になら殺されてもいいと思っているのだ。

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