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私の邪悪な魔法使いの友人2  作者: ロキ
シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
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第三章 15)訓練室にて

 「早く来てよ、プラーヌス様! いったい何してるのよ?」


 苛々した表情で私にそう言ってきたかと思えば、アリューシアはリーズという侍女に大きな鏡を持たせて、自分の姿をそこに写しながら、こんな言葉も口にする。


 「ああ、まだ来ないでプラーヌス様! やっぱり今日のドレスは変だわ、着替えましょ、リーズ」


 「何をおっしゃっているんですか、お嬢様。充分お似合いです」


 「だけど今日は昨日よりもずっと長い時間、プラーヌス様とご一緒するわけでしょ、今日で私の印象が決まってしまうかもしれないのよ」


 「大丈夫です。このきれいな色のドレスは必ず、塔の主に好印象を与えます」


 「でも派手過ぎない?」


 「問題ありません」


 「でもさあ」


 「何度も着替えればいいというわけではありませんよ!」


 リーズが怒って一端その会話は打ち切りになるのだけど、しかしアリューシアはまた思い出したかのように、同じ話題を蒸し返してくる。


 「ねえ、リーズ、今日の私の化粧薄くない?」


 呆れ返っているリーズは、聞こえない振りをし始めた。

 するとアリューシアは私にターゲットを変更してくる。


 「プラーヌス様は、いついらっしゃるの? 様子を見てきてよ」


 「何だって? もうすぐ来るよ」


 プラーヌスは客との接見が終わり次第、この部屋に来るはずだ。

 とりあえずアリューシアの魔法の訓練のために用意した部屋。謁見の間からそれほど遠いわけではない。

 彼は必ず約束を守るというタイプではないが、この約束を破ることはないと思う。

 そんな確信が私にはあった。なぜならこの部屋にはシュショテもいるからだ。


 シュショテ。プラーヌスが雇ったばかりの助手の少年である。

 彼がどういうつもりであの少年をこの部屋に先に寄こしたのかわからないが、おそらく彼の存在はプラーヌスがここに必ず来るという先触れ。


 「だけど、もしかしたら何かあったんじゃないかしら?」


 一方、シュショテが何者か知らないアリューシアは言ってくる。


 「心配ないさ、彼は来るよ」


 「本当? だったらここで待ってるけど」


 アリューシアは私物の水晶玉と石盤を手に取り、それの調子を確かめるよう仔細に点検し始める。

 水晶玉と石板は、魔法の勉強に必要なアイテムのようだ。それに不具合がないかどうか見ているのだろう。

 その作業に熱中し始めたかと思うと、しかしアリューシアはすぐに飽きて私に話し掛けてくる。


 「ちょっとシャグラン、さっきからずっと気になってたんだけど、あの子は何者?」


 「ああ、うん」


 やはりアリューシアもシュショテの存在が心に引っ掛かっていたようだ。

 彼女はシュショテを横目で睨みながら言ってきた。


 アリューシアの声は大きい。当然、シュショテにも聞こえている。

 彼は自分のことが話題になっていることに気づいて、顔を真っ赤にして俯いた。

 最初から部屋の隅っこで居心地悪そうにしていたけれど、アリューシアの言葉を聞いて、彼は更に身体を縮込ませる。


 「召使いなの? どっちにしても邪魔だからこの部屋から消えて欲しいんだけど」


 聞こえていることを承知していながら、アリューシアは容赦なく言い捨てた。


 「召使いじゃない。プラーヌスの助手さ」


 「助手? やっぱり召使いじゃない」


 「いや、違う。彼も魔法使いなんだ。」


 「嘘、あの子が?」


 「ああ。プラーヌスが言うには、彼はかなり優秀な魔法使いらしい」


 「そ、そうなんだ、何だか生意気ね。でも、いくらプラーヌス様の助手でも邪魔だから出ていって欲しいんだけど」


 「ほう、なるほど。あのプラーヌスも、助手を雇うような身分になったわけか。まあ、塔の主になったのだから、当然かもしれないが」


 そのとき、そんなことを言いながらこっちに近づいてきた男がいた。

 私がアリューシアとの会話に夢中になっているとき、いつの間にか扉を開けて部屋に入っていたようだ。

 どの時点から我々の会話を聞いていたのか知らないが、厚かましくも話しの真ん中に割り込んでくる。

 カルファルである。今さっき、この塔にやってきた客。

 一応、プラーヌスの旧友と自らを紹介してきたが、その正体はよくわからない。そんな男がこの部屋に勝手に入ってきたのだ。


 「よう、シャグランだっけ? 暇だから遊びに来たぜ」


 シャグランと私に呼び掛けながらも、カルファルの視線はアリューシアの前で止まった。


 「ほう、驚いた。本当に驚いたな。このようにきれいな女性が、こんな片田舎にいたなんて」


 カルファルはそう言った。

 彼の瞳がキラキラと光る。彼のその口調と視線に、私は本当に嫌な胸騒ぎを感じた。


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