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私の邪悪な魔法使いの友人2  作者: ロキ
シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
18/188

第一章 18)拒否

 「そろそそプラーヌスは起きている時間だろうね。身支度が済めば、あの椅子に現れる」


 ふと漏らした私の言葉に、アリューシアはぶつかってきそうなくらいに近づいてくる。


 「ほ、本当に?」


 「ああ、本当だよ」


 「じゃあ、もうすぐなのね。ああ、緊張するわ。ちょっとお化粧を直しておかないと。リーズ! 鏡を持ってきて!」


 アリューシアがそう言うと、これまでどこに身を潜めていたのかわからないが、コツコツと足音を高らかに立てながら女性がやってきた。


 「お嬢様、お呼びでしょうか?」


 「お化粧を直したいんだけど」


 「このままで、充分でございます」


 リーズと呼ばれた女性は丁寧な口調でそう答える。「お嬢様の肌は充分に美しいので、これ以上白くする必要はありません」


 「そ、そうかしら? 鏡は?」


 その言葉を受けて、リーズが別の侍女を呼ぶ。

 すると大きな姿見を持った侍女が現れた。

 私が彼女たちの用意の良さに驚く中、アリューシアは当然のようにその鏡の前に立って、自分の姿を子細にチェックし始める。


 「ねえ、この格好、変じゃない?」


 アリューシアは私にも問いかけてきた。


 「え? 別に」


 「別にって、何よ? 似合っているかどうか聞いてるのに!」


 「あ、ああ、とても似合ってるよ。うん、とても」


 「本当? ねえ、プラーヌス様は白のドレスなんて、お嫌いかしら?」


 「さあね、よく知らないけど」


 「何よ、頼りにならない男ね」


 「そんなこと言われても・・・」


 「シャグラン! 着せ替え人形で遊んでいるのかい?」


 そのとき少し甲高いが、よく通る声が謁見の間に響き渡った。私とアリューシアと、彼女の侍女たちも、一斉にその声のほうを向く。

 謁見の間の一段高いところにある台座、さっきまで空席だった椅子に、誰か座っている姿が見える。

 黒いローブをまとい、横柄に足を汲んでいる。

 もちろん彼、プラーヌスだ。


 「朝から、何か騒がしいことがあったようだな」


 プラーヌスが言った。「塔のざわめく気配に僕も敏感になってきた。それだけ、この塔を間近に感じるようになったってことなんだろうか」


 「プラーヌス様・・・」


 突然、現れたプラーヌスを呆然と見つめながら、アリューシアがつぶやく。

 感動のせいか、彼女の目は輝いている一方で、足はすくんで動かないようだった。

 代わりに私が、彼に向かって一歩前に踏み出す。


 「プラーヌス、今日はいつもより、少しだけ早起きだね」


 彼は時間に無頓着なように見えて、決まった時間に行動するのが好きなようだった。

 いつも、ほぼ同じ時間帯に起きてくる。しかし今日は明らかに一拍ほど早い。


 「僕も旅を前に心が逸っているのかもしれない。王の遣いはまだかい?」


 「ああ、まだ到着していないようだね」


 朝早くから押し寄せてきた多数の来客ですっかり失念していた。今日にも王の遣いが塔に来るかもしれないのだ。プラーヌスはその到着を待ち侘びている。

 もしかしたらこの大人数の客の中に、王の使節が埋没してしまっているなんて不安を一瞬覚えたが、王の遣いなら何頭もの馬車を連ねてやってくるはずだ。しかもかなり大柄な態度で。そのような客はいなかったのだから、まだ来ていないということだろう。


 「王の遣いは来ていないんだけど、君の言った通り、大勢の客が来たよ。皆、君に会いたがっている」


 「いいだろう、順番に会おう」


 「彼女がこの塔に一番到着した客だ。名前はアリューシア、まず彼女の話から聞いてあげて欲しいのだけど・・・」


 私はアリューシアを紹介する。アリューシアが顔を真っ赤にしながら、プラーヌスに頭を下げる。

 昨夜の大胆な行動から考えるとまるで別人だ。昨夜は突然、プラーヌスに抱きついたのだ。しかし今はまるで子供のようにモジモジとしている。


 「ああ、昨晩、応接の間で会った客だね」


 プラーヌスはアリューシアの姿を横目で見つつ言った。


 「は、はい、お久しぶりです。プラーヌス様!」


 「彼女たちと特に話すことはない。。シャグラン、次の客を連れてきて欲しい」


 しかしプラーヌスは冷たく言い放つ。


 「え・・・」


 アリューシアが呆然とつぶやいた。さっきまであれだけキラキラと輝いていた彼女の瞳から、一瞬にして光が消えた。


 「プ、プラーヌス、彼女は本当に君と逢えるのを楽しみにしてきたんだぞ」


 いったいどれだけ残酷な心があれば、そんなことを言い放つことが出来るのだろう。私は信じられない思いでプラーヌスに反論した。


 「そうなのかい。いずれにしろ、どんな頼みであろうと、こっちからの回答は『ノー』だ。忙しいから、さっさと次の客を呼ぶんだ、シャグラン」

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