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私の邪悪な魔法使いの友人2  作者: ロキ
シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
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第一章 11)来客名簿の作成

 何だ、いったい? 私は呆然とアリューシアの後ろ姿を見送る。


 偉そうで、恩着せがましい、その貴族的態度。その一方、気まぐれで、急に親切になったり、急に素っ気無くなるこの年頃の少女特有の態度。私はそれに困惑されている。


 しかし彼女はどうやら、この塔の窮状を救ってくれるらしい。本当に助けてくれるというのならば、それにすがりつきたいことは事実。


 「では、さっさと仕事に掛かりましょう、私も差し迫った空腹を感じているのでね」


 私が呆然と彼女の後ろ姿を見送っていると、サンチーヌが言ってきた。

 丁寧な口調であるが、彼の声にも私を蔑むような響きが込められている気がする。


 「はあ、それではお願いします」


 ムッとしたくなる気持ちもなくはなかったが、私は大人しくサンチーヌに従う。


 「彼ら全員、この塔の主、プラーヌス様の客ですね?」


 サンチーヌが尋ねてきた。


 「はあ、そのようですね」


 「では、来客名簿をつけましょう。ペンとインクと、羊皮紙を用意して下さい」


 「来客名簿?」


 「今更、この塔に到着した順番に名前を書き込むことは出来ませんが、それでも自分の順番が来て、いずれ主が会ってくれるという確証を持つことが出来れば、少しは安心するはずです」


 「な、なるほど、良い考えですね」


 私は素直に頷いた。


 「主はいつ頃、客たちの応対を?」


 「早くて夕方、しかし最悪の場合、客たちに会うことを拒否する可能性も・・・」


 プラーヌスがいつもの我儘を発揮すれば、これだけ客が来ていようと平気で待ちぼうけを食らわすであろう。

 昨夜のプラーヌスは妙に上機嫌であったが、一夜明けると骰子の目のように、気分が一変しているのも珍しいことではない。


 「そこを上手く説得するのが執事の務めというもの。あなたも一人前の執事になりたいのなら、それくらいの心構えは必要でしょう」


 「ぼ、僕は彼に仕える執事ではありませんよ。確かにこの塔で、そのような役目を担わせられていることは事実だけど」


 私としては、はっきりさせておきたい事実である。私はプラーヌスの部下などではなくて、あくまで友人だという事実。

 しかしサンチーヌはそんなこと知ったことではないというように、さっさと話しを進めていく。


 「とにかく、名簿に名前を書いた順に、このホールから出して、違う部屋で休んでもらいましょう。どこか適当な部屋に、ある限りのテーブルと椅子を用意して下さい。そこで何か飲み物と食事を出します」


 「は、はい」


 「食事と飲み物は、うちの料理係りに任せてください。どんな苛々しているか客も、ミリューとアバンドンの料理を口にすれば、母親の乳に吸い付く子供のように機嫌を直します。よろしいでしょうか?」


 「はあ。お任せます」


 ミリューとアバンドンというのは、アリューシアについていった、先程の二人の男だろう。

 一見したところ、何だか二人とも料理人らしからぬ容姿であったが、ボーアホーブ家が雇っている料理人のようである。


 「アデライド!」


 サンチーヌはまたもや知らない名前を口にした。その言葉に、生真面目そうな顔の若い女性が返事する。


 「彼女はうちのメイドたちの筆頭です」


 サンチーヌは私にそう言ってから、その女性に指示を出した。「話は聞いていたね。手分けして作業を始めてくれ」


 「かしこまりました」


 「この塔を訪れた客であるが、ボーアホーブ家を訪れた客と同じように扱うのだ。それがアリューシアお嬢様の御意思である。手抜かりなきように」


 サンチーヌの言葉を受けて、アリューシアが連れてきたメイドや召使たちが、てきぱきと動き出した。

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