表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の邪悪な魔法使いの友人2  作者: ロキ
シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
1/188

第一章 1)王の遣いの遣い

 私の魔法使いの友人、プラーヌスは妙に上機嫌であった。当初の予定が変更になりそうだというのに、彼にしては珍しいことに、その予定変更に怒り狂うこともなく、むしろ鼻唄などを歌い出す始末なのである。


 私たちはルーテティアに行くため、今まさに馬車に乗り込もうとしていた。

 しかしそのとき、酷く慌てた様子の召使いがやってきて、客が来たことを知らされた。

 何と王の遣いが、この塔を訪問しにきたというのである。


 いや、正確に言うと、王の遣いの、その遣いが、王の遣いよりも一足先にやってきたようなのだけど。

 明日後日、この塔に王の遣いが来るから、そのつもりで待っておけ。そういうことを報せに来たという。

 その王の遣いの遣いが言うには、その王の遣いは大変に身分の高い大臣で、このようなお方が自ら、このような片田舎にやってくるのは珍しいとのこと。


 「王だろうが、何だろうが、この僕にいったい何の関係があるのさ」


 プラーヌスのことだから、どれほどの賓客だろうと無視して、さっさとルーテティアに向かうのかと思っていた。

 しかし私の予想と反して、彼はその予定をあっさり中止してしまったのだ。


 「シャグラン、ルーテティア行きは延期だ。王の遣いを丁重に迎える準備をしなければ」


 プラーヌスは飛び降りるように馬車を降り、塔に戻っていく。

 私はそんな彼の態度に呆気に取られながら、慌てて彼を追う。


 「まずはその男を客間に案内してくれ。それから謁見の間で会う」


 プラーヌスが言った。


 「あ、ああ、わかったけれど」


 「今夜は食事と酒で、精一杯の歓迎をして欲しい。一切の失礼がないように」


 彼はその歩調を更に早めながら、テキパキと私に指示を出していく。


 「うん、召使いたちにもちゃんと徹底しておく」


 塔に戻ってくる私たちを見て、門番が急いで門を開ける。門楼のある正門だ。そこには常時、数人の門番が待機している。


 「王の遣いが来るぞ! いつもよりも念入りに掃除しておくんだ!」


 プラーヌスは門番にも指示を出した。プラーヌスの厳しい口調に、門番たちが一斉に返事を返す。


 「しかしこんなタイミングで王の使いが来るなんてな。すまないね、シャグラン。君はルーテティア行きをあんなに楽しみにしていたのに」


 彼はふと歩調を緩め、申し訳なさそうに言ってきた。


 「いや、別に問題ないけど。だってルーテティアはどこにも逃げないからね」


 まあ、確かにルーテティアに行くことは私の長年の夢で、楽しみにしてはいたことは事実だったけれど。

 しかしむしろ旅を急いでいたのはプラーヌスのほうだろう。彼はルーテティアやフィルグランデなどの遠方の街で、買いたい物がたくさんあるようだった。

 それだけじゃない。この塔のために、新たに雇いたい人材もいるよう。それらの用事を一気に片付けてしまおうと思っていた様子である。

 一方、私はまだ頭がボーとしていた。ほんのちょっと前まで、気を失って倒れていたのである。

 ずっと働き通しで疲れが出たと言われたが、今朝目覚めると自分の私室で、その近辺の記憶がまるでないから、自分でも自分の状態が心配である。

 しかし気を失うほど体調が悪かったというのに、頭が何となくはっきりしないだけで、それ以外に異常はなさそうではある。

 どこも痛いところはない。長い旅であっても、何も問題はなかったかもしれないが。


 「でも王がこの塔に何の用なんだろうね?」


 再び歩調を早め出したプラーヌスに何とか追いつきながら、私は尋ねた。


 「承認状を持って来たんだよ」


 「承認状?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ