誕生日
カランコロン
「いらっしゃいませ~」
入ったと同時に明るい声がかけられる
私はいつものようにカウンター席に腰掛け
「ご注文は?」
「コーヒー、ブラックで」
いつものように注文する
と、店員の女性が話しかけてくる
「明日楽しみにしてますから!」
・・・はて、何か約束してたかな?
「もしかして忘れてます?」
「いや、もちろん覚えてるよ」
「ですよね!覚えてなかったらどうしようかと思った」
「あぁ、楽しみにしておいてくれ」
と、にこやかに返事をしておく
・・・ふむ、どうやら明日何かの約束をしたらしい。
覚えてないが、言える雰囲気ではないなと判断し黙っておく。
彼女はそのままほかのテーブルに向かった
さてどうしたものか、何一つ覚えがない。
そう思いながらそっと彼女に目線をやる。
彼女は目線に気付いたのか、こちらに微笑む。
よほど楽しみらしい・・・
いや、わかっている
彼女が楽しみにしてることにもう気づいている
だが、認めたくない自分がいる
「・・・あほだな、俺・・・」
ため息をついて行動に移す
「もしもし、今夜予約してたものですけど・・・」
彼女の誕生日は明日だったみたいだ。