第十二話 部下探し
「んぐっあぐっ!フィルシアーナ王の作る料理は美味いな!」
「シアさん、どんどん食べてくださいね。おかわりを用意していますから」
「かたじけない」
シアの食べっぷりは凄かった。
前にキリングス将軍とライエル将軍の食事を見たことがあるが、あの二人は5人前はありそうなほどの食事を平らげていた。
さすがにシアは二人ほどでは無いが、間違いなく俺より食べる。
小柄なフィルは人族の女性と同じくらいの小食なので、おそらく獣人でも種族によって食べる量が異なるのだろう。
「コウ様もおかわりいかがですか?」
「いや、これ以上食べると太りそうだから止めとくよ」
「コウ様はあまり身体を動かさないからな。良ければ一緒に剣術の稽古をするか?」
シアは捕虜だった頃と違い、腰に剣を帯びている。
元はバルツバイン王国の王弟の娘とデリケートな存在であるシアは、俺の部下になり身分上は獣人の平民扱いになった。
もっともデュッセル王国では王族以外は皆平民なのだが。
ちなみにフィルは知らない事になっているが、俺と同じでフィルの護衛役も兼ねている。
これは以前フィルが刺客に狙われた時のシアの献身的な行動と、実直な性格が評価されての事だ。
「そう言えば今日が面接の日でしたね」
「どんな人が応募して来るんだろうな」
シアが俺の部下になったことで、俺直属の部隊を正式に作ることになったのだ。
バルツバイン王国で奴隷扱いになっていた人たちの中には、まだ職が決まっていない人も多く、それに加えて他の国民からの希望者も面接をする事になっている。
ちなみに募集要項には
国籍 :デュッセル王国
年齢 :15歳から50歳までの健康な男女
勤務地 :王宮(国外活動も視野に入れられる方)
採用人数:若干名
その他 :剣術や算術など一芸に秀でた方優遇
日本にいた頃を思い出して書いてみたが、キリングス将軍には不評だった。この世界では違う文面なのかとも思ったが、理由は教えてはもらえなかった。
俺の部下に欲しい人材だが、魔術師は大陸でも数少ない存在なので望めない。
だから、何か一芸に秀でた能力を持つ者を集めたいと思っている。
例えば剣術に秀でた者が来ればシアに稽古をつけてもらえばいいし、算術が得意な者なら俺が掛け算とか算術を教えて、将来的に学校を作るのもありだと思っている。
長期的に考えれば、デュッセル王国の教育水準を上げるのは必須だもんな。
ただ同時に軍でも人員募集をかけるそうなので、力自慢は軍に集まりそうだ。
期待半分くらいの気持ちで面接に臨んだ方が良いのかもしれない。
シアを見ると、食べ終えたようで満足気にしている。
軽く3人前は食べていたがお腹を見ても膨らんでおらず、どこに入ったのかもわからない。
くびれた腰は健在だ。
「女性の別腹は甘いもの用だと思ってたが、さっきのは主食だよな…」
「どうかしたか?」
シアがきょとんとした顔で尋ねてくる。
一緒に食べていたフィルの何倍食べたか気にしていないようで、まだ食べられそうな雰囲気だ。
食べ物がその細身のどこに入ったか聞いてみたいところだが、面接の時間が近づいているのでそろそろ出なければ。
面接官が遅刻だなんて洒落にならんよな。
「そろそろ行こうか」
「そうだな、待たせるわけにもいかん」
フィルは後片付けや洗濯をしてから合流するので、俺とシアで面接会場に向かった。
フィルは後ほどライエルさんの部下達に護衛をしてもらって来る予定だ。
面接は町で一番大きな公園に建てたテントで行うよう周知をしている。
この日のために、ライエル将軍の部下達に頼んで募集チラシを町中に貼ってもらったのだ。
公園にはライエル将軍が面接官を務める軍のテントがあり、俺達が着いた頃には行列ができていた。
その数はざっと見ただけでも100人を超えており、公園から列がはみ出る程だ。
「これなら俺達の方も期待できるかな?」
軍の面接用テントの隣には、もう一つテントが張ってある。
これはライエル将軍の部下達が立ててくれたもので、俺達が面接に使う場所だ。
俺はテントの前に『宮廷魔術師コウ・タチバナ直属部隊面接場所』と看板を立てた。
いい人材が来てくれるといいんだが。
問題は軍なら皆仕事が想像しやすいが、宮廷魔術師の直属部隊と言うのは仕事の内容がわかりにくいところだろうか。
今、実際にやっている事は、修行と文官たちのお手伝いだしな。
テントの中にある面接官用の椅子に座り、シアと一緒に応募者を待つ。
外からは多数の人の声が聞こえる。
だが、テントには一時間が経過しても誰も来なかった。
「コウ様…誰も来ないな…」
「ああ…見事に無人だ」
テントから顔を出し隣の軍の面接用のテントを見るが、あちらはまだ列は途切れていない。
それどころか増えているように思える。
ライエル将軍達は面接で大変だろうと思うが、誰も来ないこちらも別な意味で大変だ。
「何が悪いんだ…」
「うむ、何故だろうな。私には想像がつかん」
シアと二人で頭を悩ませるが、理由がわからない。
そんな時、テントの入口に人影が現れた。
ついに応募者が来てくれたか!
期待に胸を躍らせ、テントの入口に向かう。
「いらっしゃいませ!面接場所にようこそ!」
精一杯の営業スマイルで微笑んでみるが、入ってきたのは見慣れた人物だった。
「コウ様のテントはこちらでよろしかったでしょうか?」
「フィルだったのか」
「どうかされましたか?」
フィルは家事が終わったようで、文官その1と一緒に面接場所に来てくれたのだ。
手伝いに来てくれるのは嬉しいが、応募者がいない状況では手伝ってもらう事がない。
「そうだ!フィルはなぜ応募者がこないかわからないか?この日のために町中に張り紙もしてもらったのに1人も来ないなんておかしいと思うんだ」
「ごめんなさい、わたくしにも想像がつきません…」
そんな俺達を文官その1は、まるで珍獣でも見るような目で見ていた。
「文官さん、理由がわかりますか?」
「宮廷魔術師殿はわからんのか?儂にはすぐわかったがの」
文官その1は得意気に鼻の下に蓄えた髭をいじっていたかと思うと、真剣な顔で見つめてきた。
「教えて欲しいなら条件がある」
「条件とはなんですか?俺に出来ることならしますよ」
「むふふ、それはな!儂をアレキサンダーと名前で呼ぶことじゃ!」
「アレキサンダー!?」
前に楽がしたいと言ってのけた文官の名前がアレキサンダーだと!?
未だに名前を覚えていなかったのは申し訳ないが、名前負けしてないだろうか。
俺の思いつくアレキサンダーと言えば、歴史上の王様の名前だ。
唖然としてしまいそうになるが、教えてもらわないことには応募者は来ない。
「アレキサンダーさん、教えてください。なぜ応募者が来ないんですか?」
「むふふ、これで儂が初めて宮廷魔術師殿に名前を覚えてもらった文官じゃ!気持ちがいいのぅ」
いや、その件は申し訳ない。
まだアレキサンダーさんは顔を覚えていただけみんなより覚えてるよ。
他の人は…聞かないでくれ。
「応募者が来ない理由…それは!」
「「「それは?」」」
「みんな字が読めないからじゃ!」
アレキサンダーさんはドヤ顔で告げてきた。
獣人は識字率低いから、そりゃ看板やチラシを張り出しても読めなければ来ませんよね。
ましてや捕らえられて奴隷になってた人達は教育なんてしてもらえませんよね。
「おおぅ…どうりでキリングス将軍にも募集チラシが不評だった訳だ…」
折角の機会なのに、このまま失敗したままで終わるわけにもいかない。
なんとかして見込みのある部下を確保したいので、次の一手を打たねば。
「軍の面接に並んだ人たちから、こちらに来ていただくのはいかがでしょうか?」
「それしかないかなぁ…」
「ですが、あちらの列は力自慢ばかりですぞ。宮廷魔術師殿の部隊ならば、頭が良い者を揃えるべきではなかろうか」
「力自慢でも構いませんよ。それでしたらシアに面倒をみてもらって、フィルの親衛隊代わりにするのもいいと思ってます」
「いけませんぞ!宮廷魔術師はデュッセル王国の知能の象徴!知能に優れたものを登用いたしましょう!」
アレキサンダーさん、随分頭のいい人を推してくるな。
デュッセル王国は教育水準が高くないから、頭のいい人は集まりにくい気がするが。
ん?待てよ。ひょっとして……
「王宮の文書仕事をやってもらおうとしている?」
「ななな、なんのことですかな。儂にはさっぱりですじゃ」
どもっているからバレバレだ。
アレキサンダーさんは冷や汗を拭いているし、すごくわかりやすい。
ここに来れたのも書類仕事を、他の文官に押し付けて来たからなのかもしれない。
「今も随分仕事が溜まっているんでしょ?」
「机の上は書類の山だらけですじゃ…」
「文官の数が増えれば、一人当たりの割り当ても減りますもんね」
「そうですじゃ!その者に書類仕事を丸投げできるかもしれま……あ!」
フィルはくすくす笑っているが、俺はデュッセル王国の問題点をまた見つけてしまった。
それは文官の少なさと高齢化だ。
アレキサンダーさんも長い髭でよくわからないが、おそらく50歳は超えているだろう。
他の文官たちも同様に50歳は超えているはず。
獣人の寿命はこの世界の人族と同じくらいで、60歳から70歳と聞いているので文官達の後継者も育成しなければならない。
キリングス将軍に上申してみようとは思うが、やはり学校の設立は急務だろう。
設立した学校の卒業生の中から文官候補を募るのが最善だが、設立から卒業までの時間が必要だよな。
「わ、儂は応募者の勧誘に行ってきますじゃ!」
アレキサンダーさんは居たたまれなくなったのか、テントの外に出て勧誘を始めてくれた。
人は公園に集まっているんだし、勧誘がてっとり早いからむしろありがたい。
俺も行くべきなんだろうが、もし誰かが来たら俺は面接をしなくてはならない。
面接はステータスの魔法が有効活用できるから、他の人には任せたくないのだ。
フィルも外に出て勧誘してくれようとしてくれたが、引き止めた。
「フィルは王様でしょ。俺と一緒に面接官をして欲しいんだ」
「その方がよろしいですか?」
本音はフィルが人混みの中に入ることで、無防備な状況を作りたくなかったのだ。
先日の刺客はレティシアが狙いだったとは言え、フィルが狙われる可能性も十分に考えられる。
もうあんな思いはしたくない。
「では、私が勧誘に行きましょう」
シアが気を利かせて勧誘に向かってくれた。
王族の肩書が外れたシアは、気軽さを楽しむように行動している。
俺もそれを咎めるつもりはないし、シアはなんとなくだが人を見る目がありそうだから期待したい。
二人が勧誘に出かけて30分が経過した頃、アレキサンダーさんがドヤ顔で戻ってきた。
「ふふふ、儂の方が先ですな!」
勝ち誇ったようにアレキサンダーさんが連れてきたのは、40代に見える女性の獣人だった。
農夫のように見える女性で、表情は暗く嫌な予感しかしない。
「ケホ…この公園に有名な薬師さんが来ていると聞いたのですが……」
うん、予想通り面接希望者じゃないね。
明らかに顔色が悪いし、病人だよね。
「ささ、宮廷魔術師殿ヒーリングを!」
「まぁそんな事だと思ったよ…」
女性にヒーリングをかけると、体力が回復したらしく何度もお礼を言われた。
ヒーリングは体力を回復させるだけで、病気を治す効果はないから異常を感じたら本職の薬師に診てもらうよう伝えておいた。
「どうですかな?儂の勧誘技術は!」
「「勧誘じゃない(ありません)!」」
アレキサンダーさんはぶつぶつ言いながら、再び勧誘に向かった。
入れ違いにシアが獣人の男性を連れてくる。
おお!山の様な筋肉をした人だ!
フィルの親衛隊は女性で揃えたかったけど、この人なら頼りがいがありそうだ。
ステータスの魔法で能力を確認すると
ドラト(32歳)
農夫 :レベル42
筋力 :108
敏捷 : 45
体力 : 35
魔法攻撃力 : 0
魔力 : 0
幸運 : 32
職業が農夫なのは気になるが、筋力はかなりのものだ。
ちなみにシアは
シア(18歳)
獣戦士 :レベル54
筋力 :174
敏捷 :205
体力 :144
魔法攻撃力 : 0
魔力 : 0
幸運 : 45
はっきり言って剣術なら化け物クラスである。
キリングス将軍は更に上を行くんだけどな。
「ささ、どうぞ座って下さい!」
「すまんな、座らせてもらおう」
ドラトさんに椅子に座ってもらい歓迎する。
まるで接待のようだが、これを期待の現れだ。
「あれ?手が……」
ドラトさんの右手は腫れていた。
血が滲んでいるよだし、ひょっとしたら折れているのかもしれない。
「この公園に高名な薬師の方が…」
「わかりましたよ!」
ドラトさんにヒーリングをかけると、「これで農作業に励める!」と嬉しそうに帰って行った。
「シア…」
「うむ、困っているようだったからな。私の怪我を治してくれたコウ様なら、彼を治療してくれると思って連れてきた」
まぁ確かにシアは、応募者だとは言ってなかった。
早とちりした俺が悪い。
「他にも怪我人や病人がたくさん公園に来ているぞ。何やら皆高名な薬師の人が来ていると言っていたが」
「ほんとに薬師いるのかよ…」
「いや、いない」
シアに即答の理由を聞くと、どうやら勧誘そっちのけで噂の薬師を探していたらしく、公園にいたみんなに声をかけたようだ。
行動力は買うが、勧誘してくれよ…。
「しかし、どこからそんな噂が流れたんだろうな」
「どこなんでしょう?街にいる薬師以外に高名な方がデュッセル王国にくるとは聞いていませんが」
「ふふふ、儂が全てを知っておる!」
アレキサンダーさんがドヤ顔でテントの入口から首をにょきっと伸ばしていた。
この流れは知っているぞ。
「なぜなら儂が流したデマだからじゃ!」
「やはりあんたか!」
アレキサンダーさんは一人でも多く集まるほうが良いと考えたらしく、ありもしない噂を流したんだそうだ。
気持ちはありがたいが、その噂だと怪我人や病人が集まるだけだ。
「ささ宮廷魔術師殿、テントの外を見てくだされ」
テントから顔を外に出すと、行列ができていた。
「コウ様!軍の応募者と同じくらいの列の長さですよ!」
「いや…だからこっちは応募者じゃないから…」
列には百人くらい並んでいるようで、中にはすぐにでも対処しなければならない人の姿も見える。
フィルもそれに気づいたようで、潤んだ瞳で見上げてきた。
並んでいる皆も助けを求める目で俺をじっと見ていた。
「やるっきゃないか!フィル!シア!手伝ってくれ!」
「「はい!」」
シアは軍人だけあって剣術の稽古で怪我人を見慣れているらしく、怪我人の優先順位をつけてくれた。
病人はアレキサンダーさんが見てくれ、フィルは俺のアシスタント役をしてくれる。
アレキサンダーさんは「なんで儂が…」とぶつぶつ言っているが、みんなを集めた責任をとってもらわないとな。
中にはかなり状態が悪い人もいて、回復魔法を連打する。
治った人達は口々に礼を言ってくれた。
50人くらいにハイヒーリングをかけたところで、身体に違和感を感じ始める。
「まずい…頭が重いぞ…」
身体はだるくなって、頭はふらついてくる。
これは典型的な魔力切れの症状だ。
「コウ様!」
俺がふらついてるのに気づいたフィルが、ぎゅっと抱きしめて支えてくれた。
「ありがとな、フィル」
「いえ、それより大丈夫ですか?」
正直立っていられないほど、ふらついていた。
足はガクガクと震え力が入らない。
フィルの手助けがなければ、倒れていただろう。
フィルはぎゅっと抱きしめ続けてくれている。
ん?ぎゅっと?
意識を集中させると、フィルから柔らかい感触を感じた。
柔らかな2つの物体がそこにはあった。
フィルからは花のようないい香りもするし、心臓がバクバクと高鳴る。
てっきりフィルはまだ幼いと思っていたが、これはなかなか…。
精神を(フィルに)集中させていると、自分の状態に変化が現れた。
「あれれ?」
先ほどまでガクガクと震えていた膝は治まり、頭も軽くなってきた。
「なんだか頭がすっきりしたような」
「コウ様?」
フィルは心配そうに俺を見上げている。
この暖かくて柔らかい感触から離れたくないが、俺の治療を待ってくれている人達の視線が痛い。
えっと…鼻の下伸びてなかったよね?
「もう一度ヒーリングを試してみるか」
フィルから離れ怪我人にヒーリングをかける。
あれ?ちゃんと発動するぞ。
さっきまでの俺は魔力が切れてヒーリングなんて、とても使える状況では無かった。
しかしヒーリングは発動し、その証拠に目の前にいる男性の出血は止まっている。
「魔力が回復したのか?」
魔力はMPのように魔法の発動で消費して、時間の経過とともに回復するものだと思っていた。
だがこの回復量は異常だ。
マジックポーションなんて代物はこの世界では聞いたことも無いし、もちろん使ってもいない。
さっきまで間違いなく俺の魔力は枯渇していたはずなのに、再び魔法が使えるようになっている。
回復した理由はなんだ?
あの時あったことを思い出す。
ハイヒーリングを何度も使って…俺がふらついて倒れそうになって…フィルが抱きしめてくれた。
フィルからはいい香りがしたし、胸はしっかり柔らかかった。
後のは余計かもしれないが、ひょっとしてフィルが抱きしめてくれたのが関係している?
それとも精神を集中させた事が良かったのか?
フィルが心配そうな目で見ているが、魔法は使えている。
「また宿題が出来ちゃったなぁ」
魔力の回復した原因を探りたいが、今は目の前にいる患者たちを治すべきだと思い回復魔法を使い続ける。
まるで治療を始めた頃のように、頭は軽い。
そのおかげで列はどんどん減っていった。
「コウ様、公園の隅にもう一人患者さんがいらっしゃいました」
フィルに案内された先にいた患者は、体中に痣を作った10歳くらいの女の子だった。
おそらく兄妹なのだろう、年上に見える男の子に身体を支えられていた。
兎の耳を生やした女の子には鈍く光る首輪がはめられており、苦しそうにしている。
その女の子を見て俺は言葉では言い現せないほどの違和感を感じていた。
やせ細っており息も絶え絶えで、骨折もしているようで明らかに重傷だ。
服から伸びた手足は痣だらけで、こんな年頃の女の子が負うべき傷ではない。
呆然としていると、男の子は待ちきれなかったのか助けを求めてきた。
「ユリカを治して下さい!」
「え…ユリカ?」
「大事な妹なんです!」
まるで日本人のような名前を聞き、思わずステータスの魔法を使う。
兄が足にしがみついてくるが、俺の気持ちは別な方向に向いていた。
ユリカ・タカミヤ(10歳)
魔術師 :レベル3
筋力 : 4
敏捷 : 5
体力 : 8
魔法攻撃力 :13
魔力 :10
幸運 : 8
※奴隷(主人無し)
「なんだよ、これは…」




