第2話、過去
あっちー
男も勝る女の子が声を上げていた。片手にお茶、もう片方にはやっぱりタオル。
今日は気温、30度を越える真夏日なのに、炎天下の中、スポーツしたりするバカはいないよなぁ〜。
となんとなく思っていた。けど、
いた!そんなバカがいた!少年?私と同い年かな?
しかも野球してるー!
うっわ〜。暑そう。しかも一人でちっちゃい球場みたいな所でやってるよぉ〜。しかも、あの様子だと水分とってなさそう!熱中症になるよ〜!
汗を拭きながら、暑いから
ついに私も夏ボケ?やっば〜ていうか、幻覚?
としばしば思ったりする。
カキーンとボールが太いバットに当てられて、どんどん空に向かって上がっていった。
そんな姿を土手から見ていた。やる姿がとても、かっこよかった。
汗がダラダラと落ちてきて、その少年はTシャツのすそで拭いていた。
こっちを見てニッコリ笑った。
そのとき、少しふらついていた。
はっ?意味わからん
ニッコリと笑った意味が・・・・・・・・。
見ててくれたんだね。
と言わんばかりに・・・・・・・・・。
疲れてしまったのか、その場に
バタッ
と突然倒れこんでしまった。
あとで医師の話しを聞いたら、その少年は熱中症で倒れたらしい。
急いで土手を降りて、母が就職している大学病院に電話を掛けた。
プルルルプルルル。お願い、早く電話にでて!
「はい。○○病院です。」
はぁ〜っ、でた
「あの、ここで倒れている人がいてさっきまで、野球してたんです。」
「水分とかってとってましたか?」
「私が見たのは途中からなんですけど、ペットボトルはまわりにないです」
大丈夫かな?助かるよね
「はい、分かりました。一応そちらに救急車を送ります。そちらの住所って分かりますか?」
「はい。○○区○×町の△ー×ー□です」
私は落ち着いてそこらにある家の住所を言った。
まずは覚えている限りの応急処置をした。
そこらにあった自動販売機で水を買った。
ついでに私はお茶を買った。さっきのお茶は飲みきってしまったのだ!!
そして、二枚持っていたうちの一枚のタオルに水をかけた。
そして絞って、あってるか分からないけど、そのタオルをおでこに置いといて水を少年の口に入れた。その繰り返しだった。
何分かして、
ピーポーピーポーピーポー
救急車が来たから、私も一緒に乗った。
わぁ〜初めて乗ったぁ〜すごーい。
こういう時になかなかそんな事を思っているおバカさんはいないでしょ!!!
「大丈夫ですか?あと何分ぐらいですか?」
「普通に着いて、後10分です。もっと混んでしまえば、20分かかってしまいそうです。どうします?」
「ん〜ん。どうしようかなぁ。このままここで待っていると熱中症の可能性のある子が・・・・・・・・ねぇ・・・・・・」
「あのぉ、私が病院に運びます」
「えっ・・・・・・・・・!あのねぇ、お嬢ちゃん?人を運ぶのってねぇ、難しいんだよ!!
だめだめ・・・・・・」
「えっ、でも・・・・・・・。私だって、お役にたちたいんです・・・・」
「ん〜ん・・・・・。どうする?」
「えっ?どうするって・・・・。じゃあお前がついていってやって、この男の子を運んで俺は救急車を病院までそのまま運転するから・・・。それでいいか?」
「まっ、それでいいか!!お譲ちゃんはいいかい?」
「はい!!!」
私は、男の子を持ち上げた。私は体重33キロ。男の子は34キロぐらいかな?
背負うのは交代で。救急隊員のおじさんはもう45歳ぐらいはいっているだろう。
「じゃあ、私が先に運びますね!」
「分かったよ。じゃあ、川がずーっと先にあるから、そこらへんで交代しようね」
おじさん、大丈夫かな?
「はい、分かりました」
男の子を背負いながら、道を走っていると、よく見えなかったけれどある人と少しぶつかった
「すっ、すみませんでした」
「あっ??クソガキ。俺らにぶつかろうなんざいい度胸してんなぁ!?!?」
やっ、やべぇ。
「すみませんでした。それでは」
おじさんがそう言ってくれた。
あぁ〜助かったぁ。
「おじさん、ありがとう」
「いや、全然いいよ!それより早く行かなきゃね」
優しい人でよかったあ。
「はい」
何分ぐらいかな?分からないほど歩いたり、走ったりした。
何キロかな?5キロぐらい?
でも疲れはしなかった。
それから、おじさんと何回も交代した。
それから、10分ぐらい走って行きやっとの事で病院についた。