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治療は用法用量を守れる正しい人にして貰いましょう

微と徴を間違えないようにと、高校生の時に先生が言ったことがあります。

その覚え方は当時高校生だった私たちの脳内に深く染み付き、今でも微という字を見るたびに思い出します。

悲しいことに、私は微妙の妙を忘れたからテストでは全く使えなかったんですが・・・

その別々の漢字を間違えずに覚える方法は・・・

『パイ子さんの、おっぱいは、微妙』


関係ないですが、私は理系へと進みました


人物表

メリーさん

幽霊 すきすきーな人ですが想いが通じる日は来るのか来ないのか


(カナエ) (ユメ)

ちびっこメイドさん 昔はヒロインでした キャラは違いますが


ルカ

魔法使い 前作主人公 光の速さで明日に向かって一足お先

 宿の屋根の上で沈んでいく夕日を見つめていると、胸に鋭い幻痛が走る。その痛みを感じるたび、私はまだ諦めていないと実感できる。

 逢魔が時になると理由も無く一人になりたくなる。

 現と常世の境目と呼ばれるけれど、実際に臨死体験をしたとなってはあながち嘘とも言い切れないわね。

 まぁ、そのおかげであの子に会えたのだから悪いこととは言えないけど。むしろ素敵な経験ありがとうと言いたい!誰に言うかわからないけどさ!

 まぁ・・・とにかく、アイツではないことは確かね。

 そう、あの時はアイツが居た。

 けれどもアイツは好き勝手に動いて・・・。

 ふと、後ろでカサリと何が落ちる音が聞こえた。振り向くとそこには、何時だかに何度か見た事がある封筒。

 中身は・・・写真と便箋?こ、これは・・・!

 写真にはメイド姿のアリスと、同じくメイド服姿の眠り姫が赤い顔で写っていた。アリスが!酔ってるみたいな赤い顔で!ぽけーと!

 コレは・・・良い!何が良いって酔ってるみたいな顔だよ!何よりもアリス!しばらく会ってない間に少し髪伸びたんじゃない?それだけでもう私のテンションが・・・テンションが・・・!拙い何か出そう・・・それにしても、コレはお財布に入れてるマイフェイバリットアリスに並べるほどの出来のよさじゃない!

 何でか眠り姫の頭の上に刺胞動物が乗っている気がするけど、そんな些細なことはどうでもいい!いっそ2枚とも家宝にしようかな?うんそうしよう!さぁ!いざ行かん!何処かわからない我が家へ!


「おおお落ちる落ちる!」


 華麗に中へと明日の一歩を踏み出しかけたけれど、何とか屋根にしがみつく。脳内に投身自殺という赤い文字が点滅する。ついでに興奮も冷めた。

 ・・・ふぅ。まぁ落ち着け私、鼻血は?おーけー、出てない。写真は?大丈夫。興奮のあまりに写真に傷でも着いたら本末転倒じゃない。さぁ、落ち着いて写真から力を抜きましょう。ええい動け!何故動かん!

 何とか震える手で写真を封筒へと戻すと、一緒に入っていた便箋へと目を通す。

 中にはただ『寒中見舞い』とだけ書かれており、私が目を通し終わるのを見計らったかのようにバチッと弾けてなくなった。後には火傷と灰だけを残る

 わざわざこんな手の込んだことをする奴の心当たりは一人しかいないけれど・・・無用な混乱を招くことになりそうだし、メリーさんたちには黙っておこう。

 別に黙っていれば写真が独り占め出来るとか、そういう考えは全く無い。断じて無い!まぁとりあえずしゃし・・・もとい証拠は懐に仕舞って・・・と。

 まぁ、なんにしても・・・。

 アリスが元気そうで安心した。


「うひゃぉ!」


 突如後ろから衝撃が来て、私は屋根と強い出会いを経験する。その代償として傷口やらなにやらから激痛が顔面を駆け抜ける。

 激痛から逃れるためにのた打ち回っていると、半身が自由を求めて宙へと躍り出た。脳内で落下死という危険なワードが点滅しながらも、何とか屋根へとしがみついて2度目の生還を果たす。


「こんなとこでなにをしてるのですか!」


 私が屋根と感動の再開を果たし、生きている喜びを噛み締めていると、舌っ足らずな声が聞こえてきた。

 見れば夕日も沈んで辺りは真っ暗。どうやらいつの間にか常世へと入っていたみたいね。


「お夕飯の時間なのに来ないからメリーさまが困ってるじゃないです・・・か・・・?」


 私が辺りを見渡してからちびっ子のほうを見ると、何やら驚いた様子でいるのが見える。何?何度か生死は彷徨ったことあるけど、私は死んで無いわよ?


「ご・・・ごめんなさい・・・痛かったのですか・・・?」


 何やらおどおどとしながら慌てた様子で手をばたばたとさせるちびっ子。何?瀕死の私に止めを刺そうとしてるの?そりゃ今襲われたら簡単に逝ける自信はあるけど。

 ふと、そこで何やら頬が濡れていることに気付いた。

 手を当ててみると液体の感触。舐めるとしょっぱい。

 どうやら私は気付かない間に泣いていたらしい。それにしても、正体のわからない液体を迷わず口に運ぶ辺り、我ながら命知らずよね。今に始まったことじゃないけど。

 とはいえ、目の前でかしゃかしゃと腕を振り続けているちびっ子はどうしようか・・・?

 見てる分には大変面白いのだけれど、お世辞にも広いとは言えない屋根の上、かしゃかしゃがぼこぼこに代わって私が新世界へと旅立つ事になる可能性も無きにしもあらず。

 少し悩んでからちびっ子の前へと移動する。すると奴は何を考えたのか、目をぎゅっと瞑って下を向いた。


「ふわぅ・・・」


 私がちびっ子の体を抱きしめると、何やら変な声が聞こえて手のばたばたが再開された。暴れられると・・・き、傷がががが・・・。


「よ、よーしよし落ち着けー落ち着けー」


 囁きながら背中をさすると、ばたばたも静かになって私に身を任せて静かになった。・・・少し大きくなった?胸的な意味じゃなくて。


「・・・怒ってないのですか?」

「ごめん、びっくりさせちゃったね?」

「んーん・・・」


 少し頭を振るとぎゅーっと優しく抱きついてくるちびっ子。・・・もしアリスに見られたりしたら、言い訳できないわね。い、いや、コレには正当な理由があるわけだし下心なんて微塵も無いし!そ、それに!見た目が見た目だし!たぶん大丈夫よね!?うん!大丈夫!・・・本当に大丈夫?

 それにしてもまさか泣いていたとは・・・。知らなかったけれど涙もろいのかねー、私。


「・・・もう大丈夫?」

「やー・・・」


 何故か危機を感じて離れようとするも、悲しいことにちびっ子は私に抱きついたまま離れようとしない。子供特有の温もりを感じる中、私の寿命が縮まらないことをただ祈る。

 神様とか信じてないけどさ。


「・・・」

「・・・」


 無言で抱きついてくるちびっ子の頭を撫で続ける。

 それにしても、血生臭くないのかな? 

 見上げれば忌々しいほどまん丸なお月様。

 ふと、あの馬鹿が好きそうだな・・・と思ってしまったのはこの子が居るからか。


「・・・ルカ」

「んー?」

「願いは・・・ないのですか?」

「・・・」


 願い・・・か。

 無いといったら嘘だけれど、それは叶うことは無いことだし、叶えちゃいけないもの。


「ユメ、最初に言ったでしょ?」


 少し離れると、ちびっ子と目を合わせている。彼女の黒い眼を見つめていると、くすくすとアイツが笑う声が聞こえてくる気がする。


「例え願いがあっても、私は叶えて欲しくない」

「そう・・・ですか」

「それじゃ、もう降りようか」

「うん」

「よし、いい子だ」


 にこりと笑うとちびっ子の頭を撫でて立ち上がり、梯子へと手を掛ける。

 トントン、と注意深く下を見ながら降りている最中、ふとちびっ子は来ているのか気になって見上げてみる。すると其処に見えたのは可愛らしいクマさん。

 コレは・・・。


「・・・ちびっ子?」

「んー?」

「クマさんパンツは止めときなさい」

「・・・」


 私が指摘をすると、ちびっ子は無言で私を梯子から蹴り落とした。

 浮遊感漂う数秒間、見上げれば満天の星空と怖い顔のちびっ子が見える。そ、そういうとこメリーさんに似てき・・・



□ □ □ □



『前略、何処に居るともわからない愛しのアリス。お元気ですか?

 私は屋根から落ち、動くことを禁止された状態のまま早3日が過ぎました。

 今となっては財布に入れてるあなたの写真に、お休みとおはようを言うのだけが私の癒しです。

 近頃はすっかり寒くなったので、どうか体調を崩さない様祈ってます。

 それでは、可能な限り早い再開を願ってます。

 ルカより』


 などと手紙を書くも、何処に出せばいいのかわからないからどうしようもない。

 どうしようもないので、色々と痛む体をこっそりと洗面台まで動かすと火をつける。私の愛よ、アリスへと届け。


「あ・・・また勝手に動いて!ダメじゃないですかー」


 あわよくばそのまま新鮮な外の空気を・・・等と考えていたら、窓へとたどり着く直前でメリーさんに捕まり布団へと戻される。


「もう、また手紙なんか燃やして!ホントは動けないほどの重症なんですからしっかり療養してください」

「いや・・・それはちびっ子が・・・」

「言い訳無用です!」

「・・・はい」


 銀色のポニーテールを揺らしてぷんぷんと怒るメリーさんは、何処か子供っぽくてアリスに似てる気がする。たぶん気のせいなんだけど。


「・・・なにひてるんでふか?」

「いや、何となく」


 特に意味も無くメリーさんの頬をつまむと、大変素敵なジト目で出迎えてくれた。わー、こわい。さてさて、メリー山が爆発しない内にこのやわっこいぽっぺから手を離すことにしましょう。離せ!伸ばそうとするな!二度と立ち上がれない体にされるぞ!


「そうは言っても終始寝たきりじゃ退屈で・・・」

「怪我してるのに勝手に屋根に上って、挙句落ちてた人に自由意志なんてありません!」

「いや・・・それはさ・・・」

「弁解の余地も無いです。大人しくしてれば数日で治っていたはずなのに・・・もう勝手に動いちゃダメですからね!」

「・・・はい」


 どう考えても分が悪いので大人しく引き下がる。まぁ、死ななかっただけ儲けもん。

 そんなこんなでだらけた布団生活を送っていると、メリーさんは立ち上がってドアまで歩いていく。


「お買い物行って来ますねー」

「あいあい・・・そういえばちびっ子は?」

「んー・・・まだおねむの時間じゃないでしょうか?」

「ふーん・・・」

「ではではー、帰ったらプリン持って来てあげますから、ちゃんと良い子にしてなきゃダメですよ?」


 メリーさんはそういって笑うと部屋から出て行った。プリンか・・・プリン・・・しかし良い子って具体的に何してれば良いんだろう?

 天井へと返ってこない問いを向けてみるも、どうやら無口なのか沈黙のまま。もし返って来たら全力で排除するけど。

 天井へとナイフを向けながらぼーっとしていると、隣の部屋から物音がしてきたのでナイフを布団の中へと隠す。

 ゆっくりとそちらの方を見れば、眠そうに目を擦ってるちびっ子。


「めりーさまは?」

「買い物、まだ眠いの?」

「うー・・・」


 うーうーと唸りながら、ちびっ子はもそもそと私の布団の中へと潜り込んできた。優しく髪を撫でれば、返ってくるのは静かな寝息。

 ・・・寝てると普通の子供よね。

 穏やかな寝顔を眺めていると、そんな考えが浮かぶ。この子が血まみれになって戦うなんて、誰が想像するんでしようね。まぁ、戦い方を仕込んだ奴は予想してた様だけど。


「かえで・・・」

「・・・ふっ」


 隣から小さな呟きが聞こえてきた気がしたけれど・・・気のせいよね?うん、気のせいのはずよ。だってアイツと私が一緒だなんて・・・考えただけでぞっとする。私、アイツ嫌いだし。

 内心そう思うも、行動は変わらずちびっ子の頭を撫で続ける。

 何時までも代わりをし続ける訳には行かないけれど・・・せめてその時が来るまでは。


「全く・・・世知辛い世の中ね」


 ポツリとつぶやいた声は誰に届くわけも無く、空中で分解して何処かへと消えていく。



□ □ □ □



 メリーさんが帰ってきたのはそれから暫く経ち、絶えず頭を撫で続ける単純作業に私の腕が悲鳴を上げ始めてからの事だった。


「ただいまー、良い子にしてましたか?」

「良い子にしてましたー」


 ニコニコ顔で帰ってくるメリーさんにニコニコ顔で返す。

 彼女はプリンの乗っているお盆と両手の袋をがさがさと机の上へと置くと、ちびっ子の顔を覗き込んで頬をぷにぷにし始める。


「よく寝てます?」

「うん、寝すぎと言っていいくらい寝てる」


 おかげで私の腕に乳酸が溜まりまくっているけど。


「それは何よりです。ではではお待ちかねのプリンたーいむ!」

「わーわーぱちぱちー」


 意気揚々と体を起してテーブルへと向かう。ついに・・・ついにこの時が来た!退屈な布団生活に舞い降りた光!つまりプリン!

 が!しかし!無情にもテーブルにあるのはプリンだけ!スプーンが無いんだよ!


「あの・・・メリーさん?スプーンは?」

「ここにありますよー」


 いや、見せられても困るんだけど。

 メリーさんは楽しそうにその手で持ったスプーンでプリンを掬う。

 黄色いソレはとても柔らかそうで美味しそう。コレはアレか?生殺しって奴か!?見せるだけ見せて食べさせないって奴!?

 しかしメリーさんはそこまで酷くは無かった。ただし、甘くも無かった。


「はい、あーん」

「・・・なにをしていらっしゃるのですか?」


 何故か私の目の前へと差し出される黄色いお菓子。


「あれ?食べたくないんですか?」

「・・・いや、そうじゃないけど・・・一人で食べれるから」

「ダメですよー」


 口を開けるたびに進入しようとするスプーンを避けながら言うと、メリーさんが笑いながら言った。


「ルカさんは怪我人なんですから・・・私が食べさせてあげます!というわけで、あーん」

「・・・」


 思わずその甘い文句に乗りそうになる私。だがしかし!だがしかーし!

 私にはアリスという心に決めた子が居るわけであって・・・プリン欲しさにホイホイと他の人に口をあけるのか!?もしもそんな光景をアリスが見たらどう思うか!考えてみたことはあるのか!?

 ・・・半殺しで済んだらいいな。

 つまり断じて私は屈するわけには行かないのである!


「ほらほらー、食べたいんでしょう?美味しいですよー?はい、食べたいならあーんして下さい」


 ニコニコ顔でスプーンを出してくるメリーさんが今は悪魔に見える。というより、コレ絶対楽しんでるよね?私見て楽しんでるよね!?いっそ割り切って食べてしまおうか・・・


「あー!プリン食べてるー!」


 私が悶々とプリンとアリスとの板ばさみに悩んでいると、布団のほうから声が聞こえてきた。


「ありゃりゃ、起きちゃいましたか」

「ねーねー、ユメの分はないのですか?」

「うむうむ、ちゃーんとありますよー。はい、あーん」

「あーん」


 何はともあれ、メリーさんの矛先は私からちびっ子へと移ったらしい。その間にスプーンを奪取すると、甘いソレをゆっくりと口へと運ぶ。

 ああ・・・至福・・・。


「あ、ルカさん。包帯を替えますから脱いでください」


 消毒液やら包帯やらを準備しているメリーさんに言われたので、寝巻きにしている浴衣を脱いでまたプリンを口に運ぶ。傍目には変態にしか見えないこの行動も、プリンの前には無力なのである。

 それにしても、一度食べされたら二度目は自分で食べさせるのね。まぁ、食べさせながら治療は出来ないから当然だろうけど。


「そーいえばー」


 私が半裸のままで黙々とプリンを口へと運んでいると、二つ目へと突入したらしいちびっ子が口周りを汚しながら聞いてきた。ちびっ子よ・・・もっと味わって食べろ。


「ルカってぺどなのー?」

「っ!」


 ごふっとプリンを吹き出しそうになるも、気合で押さえつける。またコイツは・・・。


「よしちびっ子、そこに座りなさい。何処でそんなことを聞いてきたのか知らないけれど、いきなりそんなことを言ってはいけません!」

「だってだって、よくちっちゃい子の写真見てるじゃないのですかー」


 み、見られてたのか・・・。

 だ、だけど!何よりもコレだけは言っておかないといけない!


「ちびっ子よ・・・この子はちっちゃい子に見えるけど、私より年上なのよ?つまり!私はペドじゃない!」

「そうなのですか?」

「そうなのです!」


 ほへー、と写真を見ているちびっ子を見ると、どうやら誤解は解けたようなので安心してプリンを口に運ぶ。

 それにしても誰だ!こいつにそんなことを教えた奴は!


「そうですよーユメさん。ルカさんはペドじゃなくてロリコンって言うんですよ?」

「ろりこんー?」

「うむうむ、ロリコン。子供好きって意味です」

「ふむふむ」


 ここに居た・・・。

 子供になんてことを教えてるんだこの人は・・・。元、人らしいけどさ!


「そういえばー、メリーさまはエウナさまのことが好きですよね」

「へ!?」

「だっていつも寝てるエウナさまを見ては・・・」

「ゆ、ゆゆゆゆユメさん!そ、そそそそそれ以上はダメです!」


 ちびっ子があどけない表情でメリーさんの秘密を暴露すると、彼女は不思議な言葉を連呼しながら面白いほど真っ赤になった。


「そうなの?」

「うむうむ!でもでも、エウナさまはどんかんーでいちずーだからメリーさまの気持ちに気付いてないのです」

「ふーん・・・そうなのー。で、そこのところどう何ですか?メリーさん」

「そ、それはですね・・・その・・・えっと・・・」


 面白いので突っ込むと、メリーさんは赤い顔のままもじもじしながら何かを呟いているその間にちびっ子は3つ目のプリンへと手を伸ばし始めた。こいつ・・・もしかして確信犯?


「そりゃ・・・す、好きとか嫌いとかでいわれたら・・・す、す、好きですけど・・・わ、私としては傍に居られるだけでもいいかなー・・・とですね・・・い、いえ違います!今の無しです!」


 わお、一途にも恋する乙女がここにも一人。


「そそそそうです!おおお薬でしたよね!」


 微笑ましい気持ちでその様子を眺めていると、突如メリーさんは消毒液が染み込んだガーゼを私の顔へと叩き付けた。


「目が・・・目がぁー!」

「わわわ!えっと・・・そのどうしよ・・・あの・・・出来れば両想いだといいなー・・・って・・・」


 よほど混乱しているのか要らぬカミングアウトが続行される。

 何でもいいから手をどけて!目が痛いから!消毒液染みて来てるから!


「あの・・・その・・・あぅ・・・」


 何とかガーゼから逃れた私が見たものは、真っ赤な顔のメリーさんがぷしゅうーと気絶しているところだった。

 ・・・お互いに苦労してるね。色々と。


「むむー?メリーさん寝ちゃいました?」


 全ての元凶はプリンを平らげると、不思議そうにメリーさんを覗き込んでいる。治療は・・・まぁ、メリーさんが起きたらでいいか。

 そう決めて服を着ようとすると、何故か笑顔のちびっ子に止められる。

 その瞬間、ものすごく嫌な予感がした。


「しょーがないですから、ユメか代わりに治療してあげるのです!」

「い、いや・・・それはちょっと・・・」

「だいじょーぶです!メリーさんがしているところを何度も見たのですから!」


 いやいや!そういうのはきちんと知識と技術があってからする物だから!消毒液掛けるの包帯じゃないから!治療方法違う!


「それに・・・ルカが怪我したのはユメのせいなんですし・・・」

「そ、そう思うならもっと別の方法で償った方がいいんじゃない」

「いえいえ!償えるときに償わないと!何時何が起きるかわからないのです!」


 しょぼんとした様子のユメを説得しようとするも効果は見えない。というより、そう思うならそっとしておいて欲しいと切に願う。

 拙い・・・このままだととても拙いことになる・・・!


「あ・・・ダメなのですよー!」

「ひっ・・・」


 その自分の直感を信じ、四つんばいで部屋から逃げ出そうとするけど、無情にも足を掴まれる。何とか其処に踏ん張ろうとするも所詮怪我人、抵抗空しくずるずると元居た場所へと引きずられる。

 コレは・・・腹を括るしかないか。


「さぁさぁ!ユメを信じてください!」


 ユメはドアに鍵を掛けると、素手で包帯を千切りながら満面の笑みでいった。

 今、私の生死を賭けた戦いが開かれる!

数時間後、其処には何も反応しなくなったルカの姿が・・・!



礼によって例の如く、今回も誤字チェックが甘いです

自前だとどうしても甘くなっちゃうんだね


ちなみに、本作品は一度没になった話を改変して出しています

たまに文脈が変なことがあるかもしれないですがスルーしていてください


最近作者が情緒不安定気味であまり安定しておらず、執筆が上手く進みません・・・

少しずつでも進めて行くつもりですので、待っていただける方はだらりとお待ちください


ではでは、少しでも楽しんでいただけたら幸いです

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