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狐って本当にお稲荷さん好きなんでしょうか

間違って短編にしちゃったぜ!

初めましての方は初めまして

お久しぶりの人はお久しぶりです


連載始まりました~


近作…というか他全てですが世界観、キャラを他作品と共通してます

別に知らなくても問題はないと思います

ではでは


人物表


エウナ

吸血鬼 初代主人公 主人公の癖に色々不遇な立場


巫女さん 元祖ヒロイン的な位置 死んだりメイドしたり死んだり巫女したり

「ボクが居なくても、あなたは笑っていてくれますか?」


 月明かりの下、そういって彼女は微笑んだ。



□ □ □ □


 目を覚ますと、目の前に狐のお面があった。

 お腹のほうに軽い重量を感じることから考えると、どうやら馬乗りになられているらしい。


「…」


 見詰め合うこと数秒、そのお面は何を思ったのか私の顔目掛けて降下してきた。


「っ!」


 すかさずお面へと炸裂する黄金の右腕、もとい右ストレート。


「っー!っー!」


 謎のお面は緩やかに吹き飛び、壁に頭をぶつけて声にならない様子で悶絶している。

 というか今の飛び方、絶対重力無視してるよね!?何時からコイツは自然の摂理を無視するようになったのかしら?

 とはいえ、窓のほうを見れば日は暮れており、何時までも布団の中で惰眠を貪る気も無い。そもそも眠くないし。

 身体を起して軽く身だしなみをチェック。服の乱れは無いし、どうやら襲われてはいないみたいね。


「ほら、さっさと演技はやめて起きたら?」

「…ばれてました?」

「ばれてました」


 どう見てもわざとっぽかったし。


「ぶーぶー」


 そういってそいつは立ち上がると、狐のお面を大切そうに壁へとひっかけた。…それ、私のなんだけど。


「おはようございます、エウナさん」

「今はこんばんわじゃない?まぁおはよう、楓」


 楓は大人とも子供にも見えるような不思議な容姿に黒くて長い髪、そして何故か巫女服を着てニコニコと笑いかけてきている。


「ではではエウナさん」

「…」


 そして彼女は私が立ち上がるのを見るや否や、両手をぐっと私の方へと差し出してきた。

 始まる静寂。止まる時。何?整列?


「…なに?」

「おはようのぎゅー♪」


 私はニコニコとした顔のまま手を出してくる楓。

 ああ…なるほど。

 そして私は彼女の元へと歩み寄ると、その細い身体を抱きしめた。


「ほらほらー、ぎゅー」

「ああっ!痛いです!だめぇ!折れる!大切なものが折れちゃう!」 


 その後も笑顔で万力の如く力を込めていくと、やがて楓から何かを砕くような嫌な感覚がしてぐったりと崩れ落ちた。

 崩れ落ちた楓はそのまま首をぐるりと180度ほど回転して私の方を見ると、ぱくぱくと喋り始めた。


「もー!酷いじゃないですか!本体なら死んでましたよ?」

「…お願いだからソレで喋るのやめてくれない?」


 腰が砕け、首だけ回転してる人型が喋っている様子は、はっきり言ってめちゃくちゃ気持ち悪い。


「腰砕いたのエウナさんじゃないですか!きちんと痛みは伝わるんですからね!」


 そういうと、楓からしゅわしゅわと煙が出てきた。後に残ったのは人の形をした紙切れのみ。

 その様子を最後まで見届けずに扉を開けると、そこには先ほどまで私の前に居た巫女服に

赤いコートの少女が座っていた。


「何してるの?」

「こ、腰が痛くて立てないんですよ」

「そう、お大事にね」


 地面に倒れる赤いコートに声を掛けると、そのままリビングのほうへと歩き始める。


「そんな!助けてくださいよー…」


 後ろから聞こえてくる声は聞こえなかったことにして、さっさと行こう。



□ □ □ □



 元々家具の少ないリビングに置かれたソファに座っていると、廊下の方から何かを引きずる様な音が聞こえてくる。

 時と場合によってはホラーにも見えるけれど、音の発生源は判りきっているし怖がることじゃない。


「うーらーめーしーやー…」

「あ、来たなら紅茶お願いね」

「ぶーぶー!」


 楓はしばらくの間びったんばったんと騒いでいたが、やがて疲れたのかのそのそと動き始めた。

 見るに耐えなくなって目を逸らした場所にある、大きな一枚窓からは月明かりが差し込んできて、とても幻想的。


「紅茶の温度は熱帯魚ー♪」


 台所から意味不明の歌が聞こえてくるけど、聞かなかったことにしよう…。

 テレビも付けれないのでそのままぼーっと待つこと数分、湯気の立ち上るカップを二つ持った楓が戻ってきた。


「腰は平気?」

「ふっ…じこしゅーふくきのうを身につけたボクにとってこの程度の痛み!愛にしかなりません!」

「そう、紅茶ありがとね」

「ぶーぶー!」


 ぶーたられるのは本日何度目かしらね?

 とはいえ、子供と面倒事は放置しておくに限る。


「子供じゃないもん!」

「…」


 ぷっぷくぷーと膨らんでいく楓爆弾。私的には爆発までの秒読みが始まってないことを切に祈りたいところ。

 とはいえ、そんなバカなやり取りをしている間にも紅茶は冷めていく。美味しい間に飲んで上げるのがせめてもの手向け何だけど…。


「ねぇ楓?」

「んー?」

「紅茶に何か入れた?」

「何も入れてないですヨー?」

「…そう」


 どうして目を逸らすのかしらねー?

 とはいえ、本人が何も入れてないと言うのだからこれ以上の追求は無駄でしょう。

 カップに手を伸ばす。楓が逸らしていた視線を私のカップへと向けた。

 匂いは…変わらない。そんな初歩的なミスはしていない様子。

 中身の紅茶に口をつけると、楓の目が輝いたように見えた。その輝きは…まるで悪戯が成功した子供のよう。


「んんっ!?」


 なので、とっさにカップから口を離すと楓にキスをする。そのまま舌を使いながらゆっくりと、溢さないように紅茶を口の中へと移動させれば、楓は目を白黒させながらも受け入れた。

 口を離すと、月明かりに銀色の糸が二人を繋いだ。


「…いきなりですね」

「あら、きちんとした方がよかった?」


 そのまま見詰め合って沈黙する。やがて、赤い顔の楓がこくりと頷いたのを確認してから、抱きしめるとキスをする。今度はさっきよりも長く、ゆっくりと。


「満足した?」

「はぃ…」


 彼女からしてくるかすかな血の匂いに意識が惑わされそうになったので、ゆっくりと身体を離す。

 それにしても…おかしいわね。

 とろん、と蕩けた様な表情の楓を見つめながら一人首をかしげる。

 薬が入ってると踏んだのだけれど、時間が経っても見た感じに変化は出ない。後考えられることがあるとしたら吸血鬼限定の薬だけど…そんなものがあるって言うのは聞いた事は無い。元から薬が入っていないという可能性は断じて考えていない!


「ねぇ、楓?」

「んー…?」

「紅茶に何入れたの?」


 逃げないように片手で抱きしめながら聞くと、何処か夢現だった楓の眼に光が戻ってきた。


「それは言えないですね!」

「へぇ、入れた事は否定しないのね?」

「あ…」


 悪戯がばれた子供の様な顔をした楓に優しく微笑みかけると、彼女もまた全力で誤魔化すかの様な笑顔をした。

 すかさず放たれる黄金の右腕。すなわちアッパー。

 しかし彼女は素早く私の拘束から逃れると、人とは思えない速度で後ろに倒れこんで回避した。

 リビングの中に何かが頭をぶつけた鈍い音と腰を痛めたかの様な嫌な音が響く。


「っー!っー!」


 声にならない様子で腰を抑えながら地面を転げまわる楓。痛いのはぶつけた頭か…それとも腰か…。

 そんな彼女を冷めた視線で見下ろしていると、ふと違和感に気付いた。

 よく見れば、彼女の頭の上には黄金色の何かふさふさとした物が生えている様に見える。

 やがて楓も自身の身体に起こった違和感に気付いたのか、ぴたりと動きを止めると頭と腰に手をやっている。

 これは…どう見ても耳よね?ソレも狐の。いや、狐と犬の違いとか良くわかんないけれど。


「かえ…で?ソレ…?」

「そんな…」

「戻し方は?」

「そんなものあったらエウナさんに生やせないじゃないですか!」


 叫んだ拍子にまた腰が痛くなったのか、びったんばったんと暴れているが今のを聞いて助ける気にはならないわね。

 …とはいえ、そのふさふさの耳には興味が沸いて来る。でも素直に助けるのは何だか嫌だ。

 そこでふと、私の頭に妙案が閃いた。


「ほわ!?」


 私は素早く楓の視界の外へと消えると、その身体を後ろから捕まえて持ち上げて、ソファへと向かう。


「…コレはどういうことですか?」

「まぁまぁ」

「んー…」


 私の膝の上で不満そうにしている楓を宥めながら片手で頭を撫でると、彼女は気持ちよさそうに声を漏らした。


「…じゃないです!どうしてボクを乗っけてるんですか!」

「まぁいいじゃない!」

「よーくーなーいー!」


 はーなーせー!と騒いでいる楓を抑えながらも頭を撫でる。


「ところであなた、怪我でもしてるの?」

「んー?してないですよ?」

「…そう」


 彼女から発せられる血の匂いに思わず食指が動きそうになるが、何とか我慢する。


「食べたいんですか?」

「…コレでも吸血鬼だからね」

「いいですよ?」


 彼女のうなじから覗く白い首はとても美味しそうで…。


「…いえ、やめとくわ」

「ふむふむ」


 流されそうになる理性を何とか抑える。コレでも好きなものは最後に食べるタイプなの。


「エウナさんエウナさん」

「んー…?」

「月が綺麗ですね」

「ええ、本当にね」


 そのまましばらく、彼女の冷たさや柔らかさを感じていると急に眠気が襲ってきた。


「エウナさん?眠いんですか?」


 楓に返事をしようとするも意識は段々と闇に塗りつぶされていく。


「おやすみなさい、せめて幸せな夢を…」


 楓からした声を最後に私の意識は途切れた。

はい、とりあえず1話です


だらだらとやっていきますが、最後までお付き合い頂けたら感無量です

今度こそ完結させるさ!


ではでは、少しでも楽しんでいただけたら幸いです

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