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杜の都で待つ人は  作者: はる姫
第三章
22/32

5.

R15になります。ご不快に思われるかもしれません。どうぞご了承の程、よろしくお願い申し上げますm(_ _;)m

 

 ドュランに抱かれたアヤカーナの後を、アザレアを先頭にケイト達が追いかけてくる。

 階段を急ぐのは、ドレスの裾で足を取られ、とても危ない。皆が転んだりでもしたら大変だ。

 心配だとアヤカーナはドュランに伝える。すると彼は、階段の途中で立ち止まり、下を向いて叫んだ。

「アザレア、大丈夫だ。土産に毒は入っていない。

 今から白萩の間へ移る。お前達も用意して移って来い」


 毒?アヤカーナは胸元に握り込んだままだった袋に目を遣る。アザレア達は、マリユス従兄様(にいさま)を疑っていたのだと気付く。有り得ないのに!

 少しむっとしてドュランの肩越しにアザレアの顔を見れば、彼女は嬉しそうに顔を綻ばせ、こちらに向けて会釈した。

 アヤカーナは不思議に思った。そんなに毒が入っていないことが嬉しいのだろうか?

 

 ドュランはそのまま階段を上がり、三間続きの大きな部屋の最奥へと、扉を肩で押し開けながら進んだ。そして、そのまま部屋を横切り、寝台へそっとアヤカーナを降ろす。

 アヤカーナは広い寝室の豪華さに目を奪われていた。ここに到達するまでの部屋の装飾も凄かった。

 今居る寝室の床は寄木細工で萩の花が浮き上がっており、大理石に金の象嵌が施された壁、天井にもやはり萩が描かれており鴨居に飾られたレリーフの細かさが見事だ。

「ここがアヤの新しい寝室だ。」

 アヤカーナはベッドの上で座り直し、頭上のドュランへ戸惑いの表情を向ける。

 ドュランは寝台に腰を下ろし、不安げにしているアヤカーナと向き合う。

「この部屋は俺の部屋の隣だ」

 そう言って顔を寄せ、耳元で囁く

「愛している。いつも傍に居てくれ」

 アヤカーナは恍惚に震え、はいと答える。そしてドュランの肩に、喜びに潤んだ顔を預けた。

 ドュランは喜びながらも、彼女がまだ縋るように抱きしめているマリユスの土産が、どうも気になり、謁見の間で目にしたマリウスの姿が頭から離れない。

 マリユス王子…。冷たい眼差しが印象的な男だった。


「先程マリユス王子に会って来た。

 容姿がアヤにそっくりで綺麗な方だな」

 アヤカーナは顔を上げ、嬉しそうに笑う。

「美形な従兄様(にいさま)に似ているって言われて、私照れます。

 でも、殿下の方がとても素敵です」

 恥ずかしそうに(うつむ)いた途端、はっとして扉に顔を向ける。

従兄様(にいさま)に、帰らないって伝えなくては。」

 行かさんとばかり、ドュランはいきなりアヤカーナを抱き上げ、彼女もろとも寝台の中央へ倒れこんだ。

 ドレスを通して、逞しい身体から温もりが伝わってくる。

「ドューだ」

 呼び名を指摘して、ドュランは二人の間を隔てている小さな袋を取ろうとする。が、アヤカーナは抵抗する。

「この飴は大事な物なので、引っ張らないで下さい」

「それは、俺よりもマリユス王子が大切ってことか」

 ドュランの拗ねた口調にアヤカーナは目を丸くする。そして少し考え、言い(にく)そうに口を開く。

「…あの、笑わないで下さいね。

 子供の頃から、琥珀色の飴をいつも殿…ドューだと思って眺めていました。琥珀色はドューの瞳の色ですし…。それに、甘くて幸せをくれます。

 だから、私から飴を奪わないで下さい」

 ドュランは驚きながらも、訊かずにはいられない。

「…そのこと、マリユス王子は知っているのか」

「私が琥珀色の飴が大好きなことは(みんな)知っていますが、理由は私だけの秘密です。」

 だろうな、知っていたら土産になどしないだろう。

 ドュランは腕の中の少女の口に口を寄せて囁く。

「これからは二人だけの秘密だ」


 初めは優しい口付けだった。軽く啄ばむように唇を吸われ、下唇を優しく噛まれる。気持ちの良さにもっと、とアヤカーナは口を開く。途端、キスが熱いものへと変わった。

 口の中を飢えたような舌に蹂躙され、何も考えられなくなる。アヤカーナは夢中でドュランの髪に指を絡ませていた。

 胸の動悸が激しく、今にも心臓が胸を突き破って飛び出してきそうだ。唇が離れると二人共荒い息を()く。


 ドュランは身体の位置を変え、アヤカーナのシュミーズを頭から脱がせて、脇に(ほう)った。

 アヤカーナは我に返り、ストマッカーやコル・バレネがいつの間にか身体から外されていたことに呆然とし、慌ててむき出しの胸を両手で覆う。

「隠さないで…」

 ドュランはアヤカーナの両腕を、難なく片手で頭の上に押さえつける。彼女の突き出した胸を見詰める熱っぽい眼差しには、称賛が込められていた。

 胸の先が固くなり、アヤカーナは頬を染め訴える。

「アザレアと女官長に駄目だと言われています」

 ドュランは一瞬、身を強張(こわば)らせたが、次の瞬間には薄桃色の乳首に唇を寄せていた。強烈な興奮のうねりに、アヤカーナは息が出来なくなった。もう一方の乳首が指でつままれ、静かに引っ張られる。


「腰を上げて…」

 アヤカーナは素直にドュランに従い、スカートを脱ぐ為に腰を浮かせた。

 

 


*********************************************** 

 


 アヤカーナは、この上ない幸福感に満たされ、ドュランの腕の中で眠りについたはずなのに、(うな)され飛び起きてしまった。

 思い出したくもないあの死刑執行人風の男が、再び首を締めつけにやって来て、今度こそ殺されると思った瞬間、ドュランとマリユスが助けてくれたのだ。アヤカーナはドュランに飛びつきキスに夢中になる。ふと、マリユスを見ると、彼が淋しそうに彼女を見詰めていた。彼の灰色の瞳が孤独に彩られ、人の温もりを求めている。従兄様(にいさま)のところに行ってあげなくちゃ。

 そこで、目が覚めた。


「マリユス従兄様にいさま…」

 思わず声に出して呟く。途端、しなやかで逞しい腕に組み伏せられた。

「ほう、夫の腕の中で、他の男の名を呼ぶとはいい度胸だ。」

「誤解です。夢の中で従兄様(にいさま)がとても淋しそ…っ」

 上になったドュランが、アヤカーナの柔らかい唇を獰猛に押しつぶし、(てのひら)でゆっくりと身体中を撫で回す。

「お仕置きだな」

 ドュランは、からかうように囁くと、徐々に頭を下げていく。彼の舌と指の技巧でめくるめく官能の世界に浸りながらも、アヤカーナは拒絶反応から身体を強張(こわば)らせる。

 信じられない、ドュランが恥ずかしいところを広げ、口付けをしている。

 嫌!止めて!

 脚を蹴り上げ抵抗するが、直ぐに押さえ込まれる。退()こうとしても腰をつかまれ離さない。嫌だと必死に頭を左右に打ち振るう。なのにドュランは一向に止めようとしてくれない。

 ああっ、アヤカーナの身体がビクンと跳ねる。頭は嫌がっているのに身体から力が抜けていく。太ももの筋肉が震え、知らない快感がこみ上げて、呼吸が速くなる。

 いい…まるで天国にいるみたい…。

 

 

 

*********************************************** 

  

 

 

 マリユスは東宮殿の前の暗がりに身を潜めていた。業を煮やしての進入だった。パーレスの警備が甘くない事は分っていたが、昼間のアヤカーナの泣き顔が忘れられない。一言でも掛けて、慰めなくては。

「ここは立ち入り禁止だ。

 斬られても文句は無用だと、ご承知の上の愚行か?」

 低い声が響いて、逢瀬が叶わぬことを知る。 

 やはり、か…。息を吐き、回れ右をして声の主に向き合う。

「お役目ご苦労。タンギュー隊長」

 マリユスのふざけた返答に、タンギューは眉を寄せる。

「速やかにご退出願う」

 マリユスは悲しげな微笑を浮かべる。

「何度、愛しの従妹(アヤカーナ)に面会を申し込んでも却下されて、つい心配でね

 私としては、‘従兄妹同士の感動の再会’とやらの続きを希望しているだけなのだが」

 タンギューの黒い瞳が据わり、纏っている空気が怒気をはらんだものへと一変した。

「おっと、そんな怖い顔をしなくても、直ぐに退散するよ。」

 胸の前に両手を挙げてタンギューを制し、マリユスは素直に元来た道を引き返す。

 タンギューは剣を構えたまま、男の背中を目で追い続けた。もう大丈夫かと思いかけた時、男が振り返った。剣を持つ手に力が入る。

「近衛隊の諸君、アーヤを護ってくれてありがとう。これからも頼むよ」

 言って、マリユスはまた前を向いて歩き出す。

 タンギューはマリユスを面白い奴だと思った。回りを囲まれていたことに気付き、剣が届かない所で捨て台詞を吐きやがった。…いや、違うか。捨て台詞ではなく本心からの礼か…。

 タンギューはにやりと笑い、男の背に手向けを贈る。

「下世話かもしれないが、貴公はフォンティーヌとは遊びか?

 手を出したからには、我が国(パーレス)のお姫様は、ケセンのお姫様とは大分違うことを、肝に銘じられておいたほうが宜しいぞ。」

 マリユスの笑い声が澄んだ冬の夜空へ消えていった。 

 

 

 

 


琥珀色の飴=べっこう飴

と書きたかったのですが、あえて琥珀色の飴です。

べっこう飴だと平らな飴が最初に浮かんでくるので…

あれ、あたしだけかな(*´ー^`)ゞ

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