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杜の都で待つ人は  作者: はる姫
第二章
13/32

5.

R15のつもりです。ヾ(;→㉨←)ノ

でもR15の定義が難しい(;◔ิд◔ิ)

暴力行為もあります。苦手な方は考慮をm(__)m


 視界がぼやけ、アヤカーナの瞳から涙が(こぼ)れ落ちそうだった。今、馬車にゆられ仮面舞踏会を(あと)にしたところだ。マリユスが走り去った後、呆然(ぼうぜん)として、動けずにいるのをドュランに抱きかかえられ、馬車へと放り込まれた。

 座席の(ふち)に身体をぶつけ、その痛さで我に返ったのだが、ドュランの冷たい瞳に射竦まれ、痛みなど吹っ飛んだ。よじ登るようにして座席にきちんと座り、力なく微笑みを向けても、ドュランの眼差しは厳しいままだった。

 足下には、はずみで頭からとれたボンネットが落ちていた。アヤカーナはそれをじっと見つめ、涙を堪える。


 ドュランは馬車の扉を力任せに閉め、掛け金を掛けると、向かい側に腰を下ろし、御者に馬車を出せ、と声を上げた。

 腕を組み、目の前の少女を下から上へゆっくりと眺める。ドュランの長い脚はアヤカーナのボンネットを踏みつけていた。


「仮面を外せ」

 ドュランの低い声に、アヤカーナはピクリと身を(すく)ませ、紐を(ほど)き仮面を外す。恐る恐る視線を遣れば、ドュランも仮面を外すところだった。彼の優雅な動作に、つい見惚れているとドュランと目が合いそうになり、慌てて自分の手にした仮面へ視線を戻す。

 ドュランは仮面を外し髪を掻きあげると、アヤカーナに眉を顰めた。

「これから訊くことに、正直に応えるように」

 アヤカーナは息を整えて、はいと返した。

「あの男は知り合いか?」

 ドュランの抑揚のない声に(おのの)きながらも正直に、はいと応える。

 すると、息を呑む音がして、ドュランが笑い出す。

 ドュランは馬鹿にされた気分だった。冗談じゃない。純真そうなふりをして、他の男とキスを交わす。あれは、無理やりという風ではなかった。

 だが、と少しでもアヤカーナを心配した己が、滑稽に思える。

「ほう。俺はお古を嫁にするのか。

 パーレスも随分とケセンに舐められたものだな」

「お古とはどういう意味でしょう」

 すかさずアヤカーナは返す。祖国を侮辱する人は殿下でも許せない。

「お古はお古、使い古し。それ以下でも以上でも何でもない」

「では、殿下も中古品ですね。」

 ドュランから笑いが消え、唇がわずかに歪む。湧き上がる怒気を持ち前の自制心で押さえ、アヤカーナが次に何を言い出すのか、座席に身体を預けながら、腕を組んで待った。


 お古と称された、アヤカーナの怒りは収まらない。(あまつさ)え、ケセンが礼儀知らずの様に言われるなんて心外だ。

「私が従兄(いとこ)のマリユス従兄(にい)さまと踊るだけでお古なら、殿下はフォンティーヌの中古品です。

 マリユス従兄さまは、ケセンの(みんな)が、つつがなく暮らしていることを、私に伝えに来てくれただけなのに…。

 殿下は楽しそうにフォンティーヌと、いちゃいちゃしていました。」

「あの男は王女の従兄なのか…」

 中古品と言われた怒りより、ドュランはアヤカーナの言葉でその男の行動へと感心が移る。なぜケセン王家の者が、パーレスのドミモンドへ…。 

 今宵、アヤカーナがあの場へ行くことなど誰も知らなかったはず、来訪を決めたのは数刻前、俺自信が下したのだ。

 アヤカーナもあの男が居ることなど、知らなかったのは間違いない。

 男の目的が、アヤカーナへ城の便りを伝える為で無いことは確かなはず。

 しかしこれ以上詮索するには、男の情報が乏しい。ダズンとタンギューの顔が浮かび、早計は禁物と頭を切り替え、フイイ達が奴を捕まえてくれることを信じる。とにかく、それからだ ― 。


「それに執務室でもフォンティーヌと抱き合っていました。」

 アヤカーナの訴えで、ドュランは我に返った。

 先程から、いちゃいちゃ、だの抱き合って、などと…取るに足らないことを。あの様な行動は親戚同志なら日常茶飯事だろうに。従兄妹同士で、付けを交わす奴らが何を言うのか。

 ドュランは憮然とした。

「俺はフォンとキスなど交わさないぞ」

 ドュランから自分自身が驚いた行為を出しに突かれ、今までの勢いが嘘のように、アヤカーナの身体から力が抜ける。

 見られていたなんて…。


「それは…、わたしも従兄さまとキ、キスなんて…初めて…でした」

 ドュランはいきなり身を乗り出し、指先でアヤカーナの顎をつまむ。ドュランの頭の中には、男に両頬を包まれているアヤカーナの姿が浮かんでいた。

「俺達の間に、嘘はなしだ」

 潤んだ灰色の瞳を見開き、コクンと首を振るアヤカーナの姿にドュランは息を吐く。まるで、幼気(いたいけ)な子供を虐める気分だ。いいものではない。

 しかし、雑念を振り払い、瞳に厳しさを込める。

「今宵の従兄殿の最後の言葉は?」

「私を殿下に渡さないことを諦めていない…と。

 でも違うのです殿下、決して従兄はこの婚姻に反対ではないのです。

 ただ、国同士の思惑で王族が犠牲になることはない、犠牲になる者達が哀れだ。という主張を持っているだけなのです」


 必死に従兄を庇うアヤカーナの姿に、逆にドュランはその従兄殿に同情を覚えた。俺には愛の告白にしか聞こえないのだが、言われた本人は別に受け止めているようだ。

 アヤカーナの話を聞いて声を荒げるどころか、ドュランは出鼻をくじかれた気がして、ふっと笑みがこぼれる。このお姫様は直球しか通用しないのか。それとも俗に言う天然か。

 ドュランはさっとアヤカーナの隣の座席へ移り、両手で彼女のウェストを掴み、己の膝の上に軽々と乗せると、アヤカーナが目を丸くするのを、醒めた満足感とともに見つめた。マリユスの行動により、ドュランの中にケセンに対する不信感が、(わず)かながらも芽生えたことに間違いはない。まさか、この少女も何か一物を隠し持っているのか。

 

「アヤは俺が好きか、嫌いか」

 ドュランは顔を寄せ、唇が重なる寸前で質す。

「殿下が好きです」

 アヤカーナは目を閉じ、あえぐように言った。

「殿下ではなく、ドューと呼ぶように」

 言ってドュランは激しく力強いキスを落とす。


 アヤカーナの唇はゆっくりとこじ開けられ。やがて入り込んだ舌が、アヤカーナの舌を絡めとり交わった。思わず小さな溜息を漏らすと、ドュランは頭を傾け更に深く進入し、所有欲にあふれたキスを繰り返す。圧倒的で巧みなキスに酔いしれたアヤカーナは、ドュランがブラウスの袖を引きずり降ろし、コル・バレネの紐を手馴れた指捌(ゆびさば)きで(ほど)くにまかせる。


 やがてドュランは、胸元をブラウスもろとも一気に引き降ろし、アヤカーナの乳房をむき出しにした。

息を荒げアヤカーナは、二つの白いふくらみを熱く見つめるドュランを呆然と見下ろしていた。もう、何が起きるか分かっていた。ドュランを止めなくてはいけない。なのにどんなに強く言い聞かせても、一方では期待感に心乱れる自分がいて、触れてと身体を反らす。

 ドュランは両手でそれぞれのむき出しの乳房をつかむと、薄紅色の堅くなった乳首の周りを親指で、円を描くようにたどる。アヤカーナの喉の奥から押し殺した声がもれる。その反応を確かめると、ドュランは重みを確かめるように乳房を掌の上に乗せ、乳首を摘み上げて愛撫を始めた。指先で軽くはさんでは親指でやさしく撫で、時には先端を爪で掻く。

 アヤカーナは深く震えて息をつく、息が止まりそうだった。どうしても身体を動かせない。


「殿下、もう無理です…」

「しっー、ドューだ」

 震えながらも、やっと搾り出した声をドュランに消される。

 アヤカーナはもう一度抵抗しようとしたが、唇を塞がれ抱き締められた。

 ドュランの指先が首筋を撫で乳房へと伝う、その後を追うようにドュランが唇と舌を使いゆっくりと降りていく。とうとうドュランの舌が乳首をかすめアヤカーナは声を上げる。ドュランは少しだけ唇を離し、乳首にふうっと息を吹きかけた。全身に快感の震えが走り、欲望が湧き上がる。アヤカーナは浅い息を繰り返していた。

 突然ドュランが乳首を唇で包み込み吸う。熱く濡れた口の中で(なぶ)られていくうちに、アヤカーナはドュランの肩を両手で掴み、ひどく熱いものが身体の奥で熾きた。そこから、トロリとなにかが脚の間を濡らし、嬌声がもれる。

 欲望に駆られ、二人共、もう戻ることは出来ないと感じていた。


 瞬間、御者の叫びとともに馬車が大きく揺れ、程無く停車する。とっさにドュランはアヤカーナを抱きかかえ、身を伏せ衝撃から護る。揺れがおさまると急いで座席へ起き上がり、アヤカーナの身繕いをしながら、大声で言った。

「どうした」

 答えは返ってこない。ドュランは不審に思い窓のカーテンを捲り、外に目を凝らす。馬車の放つランプの明かりを受けて、前方に一台の馬車が停まって、その間で御者に何かを訴えている者がいるのが見えた。舌打ちし、真直ぐに宮殿へ向かわず、街の中をぐるぐる回れと命じたことを後悔していた。

 

 話しが終わったらしく、御者はこちらへ走って戻ってくると状況を説明した。

「申し訳ありません。急に道の真ん中に立ちふさがれ、馬車を停められました。

 あれはヒルディ家の馬車で、中にはご令嬢が一人。

 賊に襲われ、宝石と馬を奪われたそうで、令嬢が怯えて馬車から動けず、助けて欲しいとの事です。」

「ヒルディ家?今宵フォンに連れ添っていた赤い妖精殿か…。

 令嬢の顔は確認したのか。」

「赤いご衣裳を召しておられましたが、私はヒルディ家の令嬢の容姿を知りませんので」

 ドュランは小さく息をついた。そして、座席でまだ顔を染め、荒い息をしているアヤカーナの前に膝を着いて目線をあわせる。

「大丈夫だから、何があってもここを動かないこと。俺はあちらの馬車を確認して直ぐに戻る」

 はい、と頷くアヤカーナの頭を撫で、ドュランは彼女の額に唇を落とす。御者に馬車から離れないよう言い残し、前方の馬車へと向かった。

 

 アヤカーナは座席に身体を埋め、胸に手を当てまだ高鳴っている動悸を鎮めた。溜息をつき、未知の世界を垣間見た余韻に浸る。

 その時だった、鈍い音が一つ聞こえ、何か重いものを地面に置く音がした、と思ったら、ドュランが出て行った方と反対側の扉がいきなり開き、そこから男が一人馬車に乗り込んできた。頭からすっぽり袋を被り、目の位置に穴が二つ開いている、まるで死刑執行人の様な姿の男だった。

 

 アヤカーナが声を上げる間もなく、その男は素早く片手でアヤカーナの口を塞ぐとウエストに腕を廻し彼女を己の方へ引き寄せようとする。

 アヤカーナは男から逃れようともがき、闇雲に腕を振り回した。幸運なことに、(うしろ)へ振り上げた肘が一発、まともに男へ入ったようで、一瞬だけ力が緩む。その隙にアヤカーナは扉へ飛び付き、夢中で開けようとするが、直ちに背後から男の腕が首に食い込み、喉を締め付けられた。何とかして外そうと、その堅い腕に爪を立てるが、男の力に敵う筈もなく、首を絞める力が更に強まった。

 首を絞められたまま、男と向かい合う。男の表情は見えなかったが、この卑劣な行為を楽しんでいるのが伝わってくる。


 駄目、苦しい、息が出来ない、助けて、殿下…ドュー…。

 空気を求め鼻腔が拡がり喉がせり上がってくる。頭の中が倍に膨れ上がって破裂しそうに感じる。見開いた目の中に黒い斑点が広がり視界が段々と薄れ行く。私はこのまま死ぬの……。


 

 

 

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