置かれた場所で咲けとは言うが3
タイトルから分かってもらえると思いますが、思いついたネタ投下です(*´∀`)
飼い主とイケオジの名前判明。
ただし鑑定ではあらず、という話です。
わたくし、先日鑑定スキルをゲットした自称大根、他称マンドラゴラでございます!
本日は早朝から飼い主は用事でお出かけで、なんと明日の夜まで帰らないそうです。
飼い主が外泊ですよ、奥さん!(?)
何故私がそんな事を知ってるかというと、
「一応あの子にも外泊の件を話しておけと言われたが……マンドラゴラの事で合っているのか?」
と首を傾げながら飼い主が疑問形で私へ説明してくれたからでございます。
自分の行動が照れ臭いのか飼い主ったらちょっとてれてれしてて、わたくし危うく新しい扉を開くかと思いました!
「(いってらっしゃ~い)」
自分でも自覚のあるおかしなテンションで叫んだ後、ゆっさゆさと葉を揺らして飼い主へ送り出しのご挨拶をしたら、
「心配しなくとも、水やりはイグニットへ頼んである」
とズレた言葉をかけられてズッコケかけた。
しかし、その際に困ったやつだとばかりに飼い主から微笑みかけられたので、どうでも良くなってしまった。
今日もうちの飼い主は完全無欠に麗しい!
これが今朝の出来事で、その際飼い主から朝の分の水をもらった。なので、イグニットさん? が来る夕方までこの部屋には誰も来ないと思う。
そうそう。話は変わるけど、イグニットさんってのはたぶんイケオジの名前だと思う。
そこそこの日数をこの部屋で過ごしたけれど、飼い主以外で見た人間はイケオジだけだからね。
他に使用人がいない訳じゃなく、この部屋に入る事を許されているのがイケオジなだけだと思う。
窓から庭を見てる時にメイドの格好した女性がこっちを見てたりしたし。
イケオジの名前に関しては鑑定スキルを使えば正解かどうかわかるんだろうけど、人様相手に使うのはまだちょっと躊躇いがあって、今のところその辺の家具とか窓の外に見える庭木ぐらいにしか使っていない。
そのうち好奇心に負けてバンバン使う未来が見える気もする!
さて鑑定スキルの方はともかくとして、本日は暇潰しも兼ねて魔法スキルを試してみよう。
スキルを獲得してから魔力的なものを感じる訓練はこっそりしていたけど、実は魔法自体はまだ使っていない。
魔力的なものを感じるのを何故出来るかというと、何となく本能的なやつで出来てしまった。
この大根ボディ、意外とハイスペックかも?
ぐへへと乙女としてマズイであろう妙な笑い声が洩れてしまった気もするが、幸いにも私の声は誰にも聞こえないから問題なし!
「(まずは飼い主を真似て……)」
そこまで口に出してしまった私は、慌てて口をバッと葉で隠す。
実際に声は出てないし、口にあたる部分があるかは不明なので、この動きは気分的なものだ。
そんな無駄な動きをした理由は、万が一魔法が成功しちゃってたら、出てきた水で部屋が水浸しになるかもって事に気付いたから。
「(同じ理由で火もマズイよね。私も焼き大根にはなりたくないし)」
私がチート持ちって事はなさそうだから、いきなりとんでもなく大きな炎なんて出せないとは思う。でも、小さな火だとしても本ばかりのこの部屋では致命傷になる予感しかない。
あと私のファンタジー知識で思いつく魔法といえば、四大属性の風とか土とか? 少し変化球で雷とかもあり?
あ、魔法っていえば攻撃以外とかもあるじゃん。
アニメやゲームで見たり、小説とかで見た色んな魔法。
誰かを傷つけるだけが魔法じゃない。
物理法則とか無視して、色々出来る不思議な力が魔法なんだから…………まぁ思い浮かんでいたのは小さなお友達向けの魔法少女だったりもするが。
ふんすと気合を入れて魔法少女の幻を打ち消して、何となく格好良さげな事を脳内で語ってみる。
「(まずは定番の空を飛ぶ…………落ちたら怖いから、とりあえず却下かな)」
今度はほうきで空を飛ぶ魔女子さんが脳裏を過ったが、今の私の状況だと植木鉢インして飛ぶ感じになりそう。
その状態で落ちたら住処が壊れてしまうので、試すのはもう少し魔法に慣れてからにしよう。
「(う〜ん)」
頭の葉を組んで悩みながら、次に思いついたのはゲーム定番のアイテムボックスというか、異空間へ物を収納する魔法だ。
一瞬青い猫型ロボットが過ったが、こちらは魔法みたいな科学の力だ。
二十二世紀に実現するかどうか、どちらにしろ死んでこちらへ来た私にはわかりようがない。
そんな少しの郷愁は遠くへ置いといて、収納する魔法なら何か破壊したりはしなそうだけど……。
問題なのは収納する物が無いんだよね、植木鉢ぐらいしか。
飼い主の本とかで試して、収納出来た! ってなるまでは良いけど、取り出せなくなっちゃったら困る。
「(意外と室内で試せる魔法が思いつかないな)」
ゆっさゆさと葉を揺らして悩んだ私が最終的に試した魔法は……。
「(おぉー、成功した! ……あ)」
風を起こす魔法だったんだけど。
飼い主を真似て「(風よ)」とか格好つけて言って、なんと成功しちゃったまでは良かったんだけど、その後がねぇ……。
風力の調節もそこそこ上手くいったと思う。
吹いたのはせいぜい扇風機の強ぐらいの風だったんだよ?
本は本棚に入ってるし、特に飛ぶような物は無いから大丈夫だと思ったのに。
「(あぁ……っ)」
飼い主が書類作業とかしている事務机というか執務机? の上。
私の位置からは見えにくい所に置いてあったらしい書類っぽい物が、風に煽られてふわりと床に落ちてしまったのだ。
ふわりとした白っぽい何かが見えた瞬間、慌てて風は止めた……というか止められた事もびっくりだ。だがしかし、その時にはすでに手遅れだった。
ふわりと浮いていた書類らしきものは、風の支えを失って床へと落ちてしまう。
あわあわとして葉を揺らすが、当然届くはずもなく、私に出来るのはただ見守るだけ。
葉をへたらせて反省する大根と化して数時間後、私しかいない部屋の扉がノックされて、イケオジが部屋へと入って来る。
「マンドラゴラさん、水のお時間です」
やはりイグニットさんはイケオジの事だったんだなと、推理が当たった嬉しさに少しだけへたっていた葉が少し復活する。
それでも普段よりへたっている私を見て、イケオジの表情が曇る。
「……おや、やはり旦那様がいらっしゃらないと元気がないようで」
ごめんなさい、心配してもらってますが、私そんな殊勝なキャラじゃないです。
「わたくしではご不満でしょうが……」
見ましたか、奥さん!(誰)イケオジの憂いを含んだ色っぽい顔いただきました!
憂い顔で水をかけてくれるイケオジに、葉を揺らして元気ですアピールをする私。
もともと魔法を失敗してちょっと凹んじゃってただけで、私ったら元気いっぱいだからね。
ちょっとした魔法使ったけど、何かが減った感じはない。
あれぐらいの魔法は魔力消費が少ないのか、私がもともと魔力多いのか、その両方か。
悩んで葉をうねうねさせていたら、イケオジを困らせてしまったようだ。
「これは……旦那様に連絡を差し上げた方が……?」
憂い顔のイケオジがそんな不穏な事を呟き出したので、私は慌てて葉をピンッと立てて再度元気ですアピールをする。
その結果──。
「……マンドラゴラとは、ここまで自我のある存在なんでしょうか?」
元気な事は認めてもらえたが、イケオジにいらぬ悩みを抱かせてしまった模様。
異世界へやって来て、私ったらすっかり罪作りな女(大根)になってしまったよ。
●
[視点無し]
窓辺に置いているマンドラゴラ(自認大根)から『飼い主』扱いされているとは知らない青年は、職場である建物を前に小さくため息を吐いていた。
ここにあのマンドラゴラがいれば、その建物を見てテンション高く誰にも聞こえない声で、
「リアルシン◯レラ城来たー!」
と叫んで嬉しそうに頭の葉を揺らしていただろう。
だが、ここにいるのは麗しい見た目ながら、あまり表情を動かす事のない『飼い主』の青年だけ。
「何してるんだ、フォスフォラス」
足を止めていた『飼い主』の青年に背後からそんな声をかけてきたのは、『飼い主』の青年と同じような服装の同年代の青年だ。
「あー、どうせご令嬢達の相手が面倒だーとか思ってたんだろ」
人懐こい笑顔を浮かべてからかうように言い放った青年に、『飼い主』の青年はバツが悪いのか目線を外して頷く。
「……あぁ」
「お前、モテモテだからなぁ。ほら、俺と一緒にくればあしらってやるから、さっさと行くぞ」
そう言って『飼い主』の青年の背中を押して並んで歩き出す青年だが、こちらの青年が決して見れない顔をしている訳ではない。
あのマンドラゴラなら、
「チャラさのあるワイルド系もいい!」
と喜んでわっさわさと葉を揺らしていだろう。
実際、連れ立って歩く二人には、それぞれ同じぐらい待ち伏せしていたらしいご令嬢達からの黄色い声がかかっている。
そして、この黄色い声の主であるご令嬢達が『飼い主』の青年のため息の原因で、足を止めさせた理由だった。
女性相手にあまり強くも出れず、あしらうのも上手くない『飼い主』の青年はいつもかなり足止めされてしまうのだ。
「……助かった」
「いいって、いいって。適材適所ってやつだろ」
気安い雰囲気でそんな会話をしながら歩いていた二人だったが、ふと『飼い主』の青年が何かを思い出したように隣を歩く青年を見る。
「コーラル、お前からもらった物の事なんだが……」
「ん? あぁ、あのマンドラゴラか? どうした? 枯れたのか?」
「いや、枯れてはいない。どちらかといえば、とても元気だ」
「うん? 元気ならいいじゃないか。マンドラゴラは色々な使い道があるから困る事はないだろ」
あっははと快活に笑っている青年に対し、『飼い主』の青年は一人ボソリと呟く。
「………………あれは、本当に普通のマンドラゴラなんだろうか?」
ずっと思っていたが口に出せなかった事を。
「しかし、さすがフォスフォラスだ。俺だったら一日で枯らす自信しかないぞ。おしつ……譲って良かった良かった」
そして、青年の方も笑顔で色々と駄々洩れさせていた。
そんな話題の主であるとても元気な他称マンドラゴラが、魔法の検証に飽きて次なる行動へ移ろうとしている事を『飼い主』である青年は知らなかった。
そして、ちょっとした騒動を引き起こし、自身が仕事を早めに切り上げて帰宅する羽目になるなんて、さらに知るはずもなかった。
いつもありがとうございますm(_ _)m
妙な所で真面目な自称大根なので、鑑定を使う事にためらってしまってます(*ノω・*)テヘ
まぁ、盛大な覗き見ですからね、鑑定って。
自身に何の危機も訪れてないので、余計使う気が起きないんでしょう。
何かきっかけがあれば、普通に便利なので人間相手にも使い始めちゃうと思います(*>_<*)
5話以上思いついたら、シリーズだと読みにくそうなので連載にまとめようかなとは思ってますが、未定です(๑•̀ㅂ•́)و
でも、廊下を爆走して飼い主に捕獲されるマンドラゴラとか書きたくなってます。




