清川さんの話(前編)
その日私は清川さんという高校でできた友人と初めて遊びに行くことになった。
清川さんはお世辞にも学校で好かれているとは言えずむしろ嫌われていた。かといっていじめられるようなこともなくどちらかというと腫れ物扱いのようなものだった。
彼女の夢は「芸能人になる」というものでルッキズムの時代に堂々とそれをいう彼女をどこか尊敬した部分も覚えている。加えて、彼女は目立ちたがりでどこか目立つ方法を間違えていたところがあり教室で叫ぶ日や他の人の会話に「え、私の話?」などと言いに行くものだからはっきりいうと関わりたくないと思われていたのである。
そんな彼女からテスト期間の前に誘いが来た。
『テスト終わりに遊べる?』
これこそとんでもない事態だった。しかし、基本人前では良い人でありたいという偽善を持ち合わせた私には到底断る勇気はなく、また友人と話すネタになるだろうというほんの少しの悪い心と共にOKを返した。
前置きが長くなったがその予定が先日だった。
もちろんそんな清川さんと2人で遊びに行くのは気まずかったため私は最低でもあと1人誘おうと躍起になって某トークアプリでクラスの友人に片っ端から誘いを入れたのだが遊びに行くのが彼女とわかると軒並み断られ応援された。
しかしながらここで誤解していたことが一つあった。後々わかるのだが私は彼女、清川さんの面倒くささを舐めていたのである。
何はともあれ2人で出かけることになった私たちはちょうど昼前ごろ某駅で待ち合わせする事になった。私はもともと早く着くのが好きな性分であったから大抵30分前くらいにつき10分前ぐらいに友人にどこどこで待っていますという連絡を送る。
その日もその通り私は清川さんに〇〇のゲームセンター前で待っていることを伝えた。彼女からは『早!?53分着ので行くね』と来た。
ちょうど彼女の到着の時間になった頃に私はもう一度スマホを開き連絡を確認した。特になかったので問題はないだろうと思いそのまま待ち続けること10分ほど。さすがに...と思いスマホを開くと『ごめん!△△に来ちゃった!』と書いてある。そこで問題なのがその△△だ。彼女のついた場所はなんとデパートだったのだ。私は確かにゲームセンターと送ったが彼女はデパートに到着したのである。
流石にそんなことでムカついたりはしないが、幸先が悪いなと思いつつ『そのままそこにいて!迎えに行くから』と送りそのまま彼女のまたデパートまで向かった。
さて、その日の目的は彼女が食べたがっていた流行りの料理を食べに行くことだった。私は女子高校生ながら流行りにはあまり興味がないというか全く知らないのでその日の料理については彼女にお任せしていた。そこでお店に行こうとするのだがさらにハプニングが起こる。私はお店の場所がわからないからと先に先導してくれていた彼女がなんだか左右を見回しているのである。
『どこに行きたいの?』
と私が尋ねると彼女は目的地のある建物を伝えた。幸いにも私がこの駅周辺について知っているから良かったものの知らなかったらどうしてくれるんだと内心思いながら笑顔でそこならわかるよと言い結局私が先導することとなった。
ちなみにその間も彼女は『私、方向音痴だからぁ』と言っていた。自覚しているから尚更早く言って欲しいものである。
ようやく店につきメニュー表を見た彼女は驚いた声を上げた。こちらも何事!?と思いながらそちらを見るとなんと食べたいメニューはテイクアウト限定だったのである。私たちは外食でテイクアウトのつもりなどないので食べれなくなってしまった。
『別に今日食べれなくても死ぬわけじゃないしいいよー』
と私がいうと彼女は
『××といると安心する。いつも失敗するとパニックになるの』
という。お願いだから今日はならないで欲しい。
その後彼女が店を決めるまで気を使わせているようだったからそこのゲームセンターに行くのはどうかとゲームセンターが大好きな私の提案で彼女の同意もあって彼女がご飯を考える間ゲームセンターに行く事になった。
私はコインゲームが大好きで1000円分やろうと思って1000円札を取り出した、すると彼女も財布を取り出すものだから初めてと聞いたし100円から1000円をコインに変えれる方の機械を薦めた。私は隣の1000円から5000円の機械で1000円分のコインを取り出した。
ふと、隣を見ると何を思ったのか彼女は1000円分のコインを買っていた。え!?と思ったが特に何も言わず初めてということもあるので色々な機械を試すように伝え一緒に回ったが彼女にはどうもイマイチだったらしくどんどん表情が曇っていく。
そりゃそうである。メイクをしてプリクラを楽しむ彼女と薄暗い奥でコインゲームをする私とには大きな壁があるのだから。普段他の友人は一緒に遊んでくれたりするがここまで不快感を顔に出されたのは初めてだった。100人中100人がきっと彼女は今楽しくないんだと思うだろう。
『このコインって余ったらどうすればいいのかな』
『お腹減った終わったらすぐご飯がいい』
『んーあんまりかも』
これを数分で何回も言われ続けた私はなぜかコインが増えたのにもう少し時間がかかるからと謝り彼女のコインが増えればえぇー私最初はそんなに上手くなかったと驚き褒め称えたわけである。
1000円分の貴重なコインをなぜか急いで20分そこらで溶かし切った私はもうすでに苛立ちを感じながら彼女が先ほどからうるさいご飯に向かおうとした。
『あっちのガチャガチャ見たい!目印アクセサリー探してるんだよね』
『私可愛いの大好きなの』
帰りたいなというのが正直な感想であった。
結局ガチャガチャでは彼女は何も買わずご飯に行く事になった。私は彼女が先ほどの時間で決めているとばかり思ってどこにするのか尋ねた。
『んー私優柔不断だから困っちゃう』
切実に先程よりも帰りたくなった。もとよりゲームセンターに行っている間に考えるという話だったわけだが彼女には通じていなかった。
私は彼女の面倒くささを舐めていたわけである。
ここまで読んでいただけてとても嬉しいです!
クラスメイトの清川さんのお話はいかがでしたでしょうかこの先も奇想天外なクラスメイトがたくさん出てくるので良ければ更新と共に読んでいただけると嬉しいです!
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