1 成金娘でも、金目当ての男なんてお断りですわ!
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私の名前はアデリーナ・フローレンス。フローレンス子爵家の一人娘ですわ。
子爵家と言うと、身分的には微妙……と、思われがちですけど、元々は商家の出だったお祖父様が一代で莫大な財を築き上げ、国の経済を発展させた功績を称えられ、叙爵されましたの。
言ってみれば、爵位なんて我が家にとってはキャラメルに付いてるおまけみたいなもの。
特に必要も感じませんけど、まぁ、頂けるものは頂いておくのが商人の性ってものですわ。
元々は平民と言うことで、上流貴族のご令嬢方には成金呼ばわりされて馬鹿にされますけど、一向に気になりません。なぜなら、わたくしが、国一番のお金持ちだからですわ。
お祖父様は自分の子どもであるお父さまには、
「男たるもの、自分の生活費ぐらい自分で稼ぐものだ」
とか言って爵位以外何も残しませんでしたけど、お父様もお祖父様の血を引いて商才をお持ちなので、何ら困ることなく、バリバリと稼いで、十分な資産をお持ちです。
困ったのは、わたくしのほう。お祖父様ったら、目の中に入れても痛くないほどに可愛がってくださったわたくしに、お祖父様の財産を全て相続させてしまったのです。おかげで、18 歳で国一番の資産家になってしまいましたわ。
当然殿方からの結婚の申し込みは後を絶たず。けれども、明らかに金目当ての殿方にときめくはずもなく。ああ、金持ちって辛いわぁ。
とかなんとか言ってたわたくしにも、とうとう年貢の納めどきが来てしまいましたわ。
「お前の結婚相手は、ルミエール公爵に決まった」
「ルミエール公爵様、ですか」
確か、現国王陛下の実弟に当たる方だと記憶してますわ。国王陛下にはすでに王妃様との間に三人の王子様方がいらっしゃるので、後継争いに発展する心配はなし。まぁ、わたくしの財力をもってすれば、公爵夫人と言うのも妥当な所ですわね。
ただ、ルミエール公爵様に、舞踏会なんかでお目にかかったことはないように思われますけど。
「年齢は26歳で、独身だが養子が10人いる」
「は?」
「閣下は非常に温厚で優しい方でな。可哀想な孤児を見ると拾ってきて自分の養子にしてしまうそうだ」
「……お父さま?」
「そのせいで、常に金策に追われているそうでな……その、借金が……」
「わたくしの財産で借金の穴埋めをしたいということですの!金目当ても良いところじゃないですか!」
「この結婚は国王陛下からたっての頼みとあって、断れそうもない。すまん、精々破産しないように頑張ってくれ」
「嫌ですわぁぁぁぁぁ!!!」
アデリーナ・フローレンス18歳。めちゃくちゃ財産目当ての男と婚約することになりましたわ。




