第8章︰蝕石天秤の裁き
都市は螺旋状に歪み、量子迷路のように変化する。
13の蝕徒が蠢き、血と残像を撒き散らす。
だが、空に浮かぶ巨大な影――蠢く蝕石天秤――が、戦場全体を冷酷に秤にかけていた。
天秤の皿は赤く光り、都市の共鳴意識と蝕徒の精神波動を映す鏡のように揺れる。
傾きは戦局そのものを示し、パイロットたちの心理が直接反映される。
リーダーパイロットの視点。
「天秤の傾きが……乱れている!」
共鳴波が蝕徒の攻撃によって逆流し、都市全体の残像が螺旋状に暴走する。
リーダーは意識を胸部コアへ集中させ、メシアノイズと完全同期する。
「今こそ、全てを共鳴させる!」
彼の意識がメシアノイズに流れ込み、暴走する装甲生命体が秩序の使者へと変化する。
戦闘者パイロットの視点。
「都市の残像……天秤が暴れすぎる!」
彼女は血と意識を共鳴波に変換し、蠢く天秤の振動に干渉。
天秤の皿の上で蠢く蝕徒の身体が、振動と共鳴波によって一体ずつ捕縛される。
「これが……調律の力!」
血の痛覚と精神の共鳴が、蝕徒の攻撃力を逆流させ、都市の残像を浄化する旋律に変える。
観測者パイロットの視点。
「量子迷路の中心……天秤だ!」
彼は都市全域を観測し、パイロットとメシアノイズの共鳴波を天秤の軸に結びつける。
13の蝕徒の共鳴波は徐々に吸収され、光と残像の奔流として天秤の皿に戻される。
「世界の秩序は……俺たちの手で取り戻せる。」
蝕徒の消滅と天秤の静止。
メシアノイズが赤い胸部コアを振動させ、共鳴波の奔流を天秤の中心に注ぎ込む。
天秤の皿に乗る蝕徒は、光と残像に変換され、徐々に形を失う。
都市の残像は徐々に整い、瓦礫や螺旋状の建物が元の形を取り戻す。
「これで……終わったのか。」
戦闘者パイロットが荒い呼吸を吐き、共鳴波の余韻に身を任せる。
蠢く蝕石天秤は静止し、光を失い、都市全体に安定した量子共鳴が戻った。
メシアノイズは守護者として都市上空に浮かび、暴走の恐れは消えた。
パイロットたちは互いにうなずき合い、血と痛みを抱えながら立ち上がる。
赤き月光の残像は微かに都市を照らし、新たな時代――革世紀――の旋律が始まったことを告げる。
「人類と意識、共鳴の旋律……これが、新しい世界だ。」




