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第七借 熱い想い

 夕食を食べ終わり、寝る支度を済ませて住民達は寝床に入る。


「ユーリお兄ちゃん」

 ちびっ子達が俺を呼んだ。

「どうした?眠れないのか?」

「ううん。今日はすっごく頑張ったからすぐ寝れちゃいそう。」

 眠そうな目をこすりながらアンバーはあくびをした。

「お!頑張ったのか!偉いぞ?」

「僕も頑張ったよ」

「「私も!/僕も!」」

「みんな偉いぞ!」

 頭を撫でてやろうと思ったが、すんでのところで手を止めた。

(もしトラウマがあったら、思い出させてしまうかもしれない…昔の俺のように)


 すると、アンバーの隣で寝そべっていたタヌキの獣人の男の子ポコが俺に話しかけた。

「ユーリお兄ちゃん…僕叩かれるのはイヤだけど、お兄ちゃんになでられるのはイヤじゃない…だからなでて欲しい…な」

 と、その小さな手で俺の手を自分の頭まで誘導した。

「!そうか…頑張ったぞ。偉い偉い…」

 俺はできるだけ優しくポコの頭を撫でた。

「僕もなでて!」

「わ…私もなでて…ほしい」

 ちびっ子達は座っていた俺の膝の上に登り、俺に抱きついた。俺は一人一人に言葉を掛けながら全員を撫でた。

「「ユーリお兄ちゃんありがとう!おやすみ!」」

 と全員声を揃えて再び寝床に戻り、眠った。


 ちびっ子達が寝たことを確認し、ふとまわりを見渡すと部屋にグレイがいないことに気づく。

 探そうと外に出ると音がした。音の方を見るとグレイが作業の続きをしていた。俺は小声で話しかけた。

「グレイ!暗い中作業するなんて危ないぞ」

「ん?おー、ユーリか。それもそうなんだが、屋根の作業は危ねえからな!終わらしちまおうと思ってよ」

 グレイは胸を叩きながら言った。

「あ、安心しろよ?音は小さくしてるから、獣人のすげえ聴力でもぐっすり眠れるぜ?少しでも早くアイツらが安心して暮らせる家作りてえしな!」

 密集してやっと少し暖まれるような気温にも関わらず、グレイは一人徹夜で作業しようとしたのだろう。

「そういうことなら、俺も呼べよ。グレイ」

 俺は工具を取り出してバリケードを作り始めた。

「ユーリ…ははっ!そっちは任せたぜ!」

「おう、任せろ!」


 作業をしていると日が昇ってきた

 グレイは仕事がひと段落つくと眠ったが、俺はイヴの加護らしきもので寝なくてもいい体になっていたようだ。そのおかげでバリケードを作り終えることができた。

「ふぁーあ」

 グレイが起きてきた。

「おはようグレイ。もうちょい寝たらどうだ?」

「いや、俺は…ってユーリ?!お前まさか寝てねえのか?」

 グレイは俺の方を掴み寝起きとは思えない声を出した。

「あーいや。寝たよ?うん。めっちゃ寝た」

 大嘘である。これはついていい嘘…のはずだ。

「そうか?じゃあ俺が寝た後すぐ寝たってことか。だったら良いか!」

 グレイは安心したと俺の背中を叩き、顔を洗いに行った。

(アイツ本当に寝起きか?)

 なんて不思議に思いながらも俺は計画の最終段階に向けて作業を始めた。

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