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第十九借 村への帰還

フシューッ

今回はいつもの約三倍書きました。

風邪なうですが

先輩方に習って鍛錬を重ねる所存です!

 俺は義眼を小箱ごと持ち、フランの顔に近づけた。

「いくぞフラン」

「はい。ユーリ様」

 フランは目隠しとして付けていた包帯を外した。


 魔道具は、『詠唱』を必ずしなければいけない魔法

とは違い、念ずるだけでも行えるスキルに近い存在だ。


 だが今はフランを少しでも安心させるために、俺は詠唱もすることにした。

(フランへ装着)

「魔道具使用 義眼装着」

 俺が詠唱し終わると、義眼は光を放ちながらフランの中へ入っていった。


 フランは(まぶた)ゆっくりと開け、美しい瞳で俺を捕らえた。

「ユーリ様。見えます。見えます!

 あなたの顔が…世界が…色が…

 二度と見ることはできないと諦めていたのに…

 あなたを見られないと思っていたのに…」

 フランは大粒の涙を流し、俺に抱きついた。


 フランが泣き止むまで俺は頭を撫でていたが、しばらくするとフランは体をビクッとさせて、自分の頬をパチンと叩いた。

「す、すみません!お洋服が涙で…!」

「そんなこと気にしなくていいよ、フランの喜ぶ姿が見れて俺も嬉しい」

 フランは手で顔を覆った。


「喜んでいただけて私も嬉しい限りです。

 ユーリ殿、もう一つご提案…

 いえ、願いがあるのですが」

「願い?」

「ええ、シュタイン村の復興を私達にも手伝わせていただきたいのです。」

「復興を?」


「はい。マリィの暴走に関係なく、私達は仕事を理由に領地の復興を厳かにしておりました。今更とは思われるかもしれませんが、シュタイン村を再び活気ある街にしたいと思っております。」


 俺は村に来て日が浅いが、歴史については村長からある程度聞いている。かつて隣国との交流の盛んな町で栄えていたが、国際問題が活発になってからすぐに経済難に陥り、やがて虐げられたものの集まる村になったと。

(村長やグレイの話では復興には領主の協力が必要だと言ってたが…)

 俺が悩んでいるとフランが俺の手を握った。


「ユーリ様。村長やグレイ…村のみんなはずっと村の復興を願ってきました。それは亡くなった仲間達も同じです。ですから、私達は村を救ってくださったユーリ様についていきます!」


 俺はフランの手を握り返した。

「その申し出、受けさせてもらいたい」

「ユーリ殿…ありがとう」

 俺とルイさんは、握手をして約束を交わした。


「夜が明けてしまいました。皆様お疲れでしょう。

 シュタイン村まで馬車でお送りします。」

「よろしいのですか?」

「ええ。本当ならば泊まっていただき疲れをとっていただきたいですが、皆さんが真に休める場所はここでは無いと思いますので。」

 ルイさんは優しい笑顔でそう言った。


「お気遣いに感謝します。」

「いえいえ、ハイド馬車の準備を」

「承知いたしました」

 ハイドは部屋を出て1人で全員が乗れる分の馬車を用意した。


 俺とフランはグレイ達との合流場所へ着いた。

「相棒!フラン!…?!」

 グレイはいち早く俺達とフランの目に気付いて叫んだ。

「「グレイ!みんな!」」

「ユーリお兄ちゃん!フランお姉ちゃん!」

 アンバーやポコ達も俺達の姿を見ると駆け足で近付いて抱きつきながら俺達の名前を呼んだ。


「さーてここで問題です!」

 フランが人差し指を立て、ちびっ子達の目線までしゃがんだ。

「私はどこが変わったでしょうか!」

「お姉ちゃん…目が!目が!」

「フラン…目が!」

 目隠しをしていない、美しいその瞳を見て

 アンバー達は目を丸くした


「ふふ、正解!

 私…目がまた見えるようになったの!」

 フランがそう言うと

 アンバー達はフランの近くへ行き喜んだ。


 ルーナが大声を出しすぎて咳き込む前に

 現状の説明をした。

「作戦は…成功?ってことで良いんだよな?」

「ああ、成功だ!」

「「「やったぁー!!!」」」

 皆、涙を流し、抱き合い、飛び跳ねながら大きな声で作戦の成功を祝った。

 ほとんど全員がむせるほどに喜んだ。


「皆様こちらへ」

「ハイドさん…なんか雰囲気違う?」

 屋敷内でハイドと面識のあった仲間は困惑していた

「確かに硬派なイメージがあったな」


 ハイドと接する機会の多かったダーズも驚いていた

「改めてよろしくお願いしますね」

「な、なんか変な感じがするな…」

 ダーズは酸っぱい物を食べたように顔をすぼませた

「おや、そうですか?…じゃあ口調は戻すぜ」

「それもそれでなんか変わってないか?」


「ユーリ殿はこちらの馬車へ」

 ルイさんと俺は同じ馬車に乗った。

 フランは、ルーナに誘われてダーズ達と同じ馬車へのった。


「ルイさん…屋敷を開けてしまってもよろしいのですか?」

「ええ、ユーリ殿もご覧になったのでは無いでしょうか、あの書斎の結界を。マリィは結界だとは思っていなかったようですが、かなり強力な物なのです。」

 ルイさんは少し得意げに言った。


「ユーリ殿は気付いておられたのでしょう?」

「ええ、今まで何度か結界は見たことはありますがあそこまで高位な結界は数えるほどです」

「お褒めいただき光栄です。その結界を今は広範囲に設定しましたので矢先は安全ですよ」

「なるほど、安心しました。」


「ルイさん」

「はい」

「私のことはもっと柔らかく呼んでいただいて結構です。約束を交えたのですから、立場は同じですしね」

「良いのですか?では…ユーリ君とお呼びしても?」

「くん?!でもなぜかしっくりきます…」

 ルイさんの方から“君付け”されると

 謎のフィット感が湧いてきた。


「私のことはルイと呼び捨てで」

「呼び捨て…ですか?」

「互いの呼び方はその者同士の関係を指すのです。

形だけでも良いので是非」

「では…ルイ」

「ありがとう。ユーリ君」


「ところでユーリ君、君は王都へ行きたいのでは?」

「!はい、俺にはやるべきことがあるので。ですが今村を離れるわけには行きません。」

「ああ。だが君に見てもらいたい物があるんだ」

「見てもらいたい物?」

 あいつらが処刑されて死んでいたら困るなと俺の中に緊張が走った。

「勇者関連では無い、教会のことだ。処刑されたわけでは無いから安心してくれ。」

 俺はひとまず安心した。


「まずは見て欲しいんだ。馬車はこちらで用意するので共に王都へ偵察に来てほしい。」

「わかった。全員村に送り届けたら出発しよう」

「ありがとう。忙しい中すまんな」

 情報交換をしているうちに俺達は村に着いた

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