第十八借 ジャック・ザ・リッパー
「ジャック・ザ・リッパー…そのような重要なことを私たちに話しても良いのですか?しかも、王家からの命だと仰っていたのに…」
ルイさんとアンナさんは、驚いたように顔を見合わせた。
「このような突拍子もない話を信じてくださるとは。ユーリ殿は御心が広いのですね。ですがご安心ください。私は信頼のおける方にのみこの話をしますので」
そういうとルイさんは俺たちを見てニコッと笑った。
「私達が始末するのは主に王都付近にいる貴族。それを知ってから、娘は地方貴族という立場を逆に利用し皆様に危害を加えておりました。」
ルイさんは膝に乗せていた拳を握りしめた。
「私達は王家に命じられた貴族のみ始末することを許されているのです。仕事が重なり屋敷にも帰れない状況が続きました。なので王に直接我が娘の悪行を報告したのです。」
俺は顔には出さなかったが少し動揺した。
(娘を殺させてくれと頼んだのと同じ…か)
「私達はこの国を守るため、この仕事をしています。それを揺るがすものはたとえ娘だろうと容赦はしません」
ルイさんは再びニコッと笑った。
この世界には俺が知らなかっただけで、闇の中で生きる人がいる。だからと言って臆してなんていられない。
(クルージス夫妻から感じていた妙なオーラの正体はこれか。これほどの人となると…)
「お二人は私…いえ、俺の経歴をご存知なのでしょう?」
「ユーリ様?」
フランは不思議そうな顔をした。
ルイさんはフッと笑った。
「ええ。貴族の中でも我が家を含めておよそ3家ほどが。やはり私の目…いや鼻は間違っていなかった。あなたは私達と似通った匂いがします。」
俺とルイさんは短く長い時間、見つめ合った。
「謝罪の意を込めて皆様にご提案があるのです。」
「提案…ですか?」
「ええ」
ルイさんは、フランの方を向き小箱を取り出した。
「こちらを」
フランはルイさんから小箱を受け取り器用に箱を開け、中のものを触った。
「ユーリ様、これは?」
「とても綺麗な色をした魔道具の義眼だ。」
「へ?」
「はい。フラン様はマリィの被害者であると報告を受けました。せめてもの償いとしてその義眼を使っていただきたい。私の知る限り王国一の職人が作りました。フラン様の美しい瞳には敵いませんが…是非」
フランは困惑した気持ちが落ち着いてから話した。
「ユーリ様、お願いがあります」
「どうしたフラン」
「ユーリ様の魔法でつけていただきたいのです」
フランは小箱を俺に渡した。
「ご不快であれば…断って…」
「俺でいいのか?」
「はい!」
フランは笑顔で答えた。
イケオジサイコパース感をもっと描きたかったのですがやはり難しいです。もっと力をつけなければ!
もっと読みやすい文になるよう頑張ります!