第十一借 決意
「害虫駆除には私は参加できないけど、スキルの使い方は大丈夫?」
「ああ。自分でも驚くくらい馴染んでるからな」
「そう!なら良かったわ。それじゃまたね!」
そういうとイヴは煙に包まれて消えていった。
俺はそのまま村の警戒をしながら、朝を迎えた。
朝食を食べた後に午前は全員で畑作業をして、昼食を食べた。
「グレイ。話があるんだが聞いてくれるか?」
「ん?どうした相棒!」
「俺は今から貴族の屋敷に乗り込む。」
「?!」
グレイは目を丸くして驚いた。
「衣食住は整ったものの、アンバーやフラン、ポコ達は1秒も安心できていないはずだ。」
「ああ。だがあいつは手段を選ばない。いくらユーリでも…」
グレイの握られた拳は震えていた。それは怯えではなく悔しさからの行動だろう。
「マリィとか言う令嬢について、俺はほとんど情報がない。だがな、微かな情報からでも俺はそいつに殺意が湧いた。」
「ユーリ…」
「俺はそいつみたいな仲間に危害を加える害虫を許さない。」
「ユーリがすげえのは分かる。だが、そう言って死んで行ったやつもいるんだ。人数差だって、比べ物にならないくらい…!」
「それについては心配ない。だから頼む。屋敷まで連れていってくれ。」
「そうは言っても!俺はお前を死なせたくねえんだ…」
グレイは俺の目をまっすぐと見てそう言った。
「グレイ。お前にだけ話す。昨晩、敵襲があった。」
「?!敵襲?」
「ああ、3人だったがまた誘拐をしようとしていたんだ」
「3人…ってまさか!あの三兄弟のことか?」
「そう言えば三兄弟だったな」
「どうなったんだ?!怪我はないか?」
「安心しろ駆除した」
グレイは目を丸くして驚いた。
「駆除…ははっ。強いとは思っていたがここまでとはな。」
「きっと奴らは、また刺客を送り込んでくる。その前に仕留めたい。」
「分かった。だが条件がある」
グレイは俺の目をまっすぐ見て言った。
「絶対に死ぬな」
「!ああ。当たり前だ」
俺とグレイは出発の準備をして、ルストン村長に事情を話して集会所を出た。
「ユーリお兄ちゃん。あそこに行くの?」
「!アンバー!ポコとフランも…」
「あそこへ…クルージス貴族宅へ?」
「あ、あぁ。でもどうして…」
「グレイお兄ちゃんが教えてくれたの。」
「グレイ!」
「悪いな相棒。けど相棒も一つ勘違いしてるぜ。」
「勘違い?」
「確かにここにいるのは俺も含めて、何かしらトラウマを持ってる。けどそのトラウマに対して屈したことはない。」
「!」
「そうです、ユーリさん。私はいつだって恨みを忘れたことはありません。恐ろしくてもトラウマだとしても、復讐の志はいつだって胸にあります。だからどうか私たちも連れていってください。」
フランは胸に拳を当て、思いを伝えてくれた。
「「ユーリお兄ちゃん…お願い!」」
「分かった。だが、俺はみんなを死なせたくない。だからどんな状況だろうと自分を1番大事にしてくれ。」
「!…分かった!ありがとう!」
レッツゴー!クルージス邸!