自堕落の口実
久しぶりに風邪を引き、自宅に籠城しておりました。
喉がイガイガし、口の中はぱさぱさなのに鼻水は止まらず、熱があるかと思いきや七度にもならない。とにかくシャキッとしない状態ですが、おそらくコロナではなかろうと決め込んで、辛うじて使用期限内の市販薬を飲み、たまたまパートナーが三日ほど家を空けていたのを良い事に、万年床でダラダラと動画を観たりなろうを読んだり、書きかけの拙作の文章をいじったり消したりいじったり消したり。
食欲は無くならないので、限界までは寝ていましたが、もうあかんとなったらのこのこ起きて、そこらへんにあるものを適当に口に入れては布団に戻るナマケモノな日々。
そんな数日で火を使ったものといえば目玉焼きのみ。
あとは全て、そのまま口に入れるか、駄目ならレンチン。電気ポットで湯を沸かし、オーブントースターでなけなしの冷凍パンを焼く。パートナー不在の三日間、とうとう米すら炊きませんでしたが、どうにかなるものですね。お陰で、賞味期限の怪しい非常用ストック食材がだいぶ片付きました。ちょっとくらい過ぎてても気にしません。全然、食べられます。フリーズドライとか特にそう。ア〇ノフーズのが好きなんですよ。いささか値が張りますが、シチューとか卵とじとかパスタとかめっちゃ種類が豊富。しかも美味しい。また買っておかなくては。
思えば、かつてひとり暮らしをしていた頃は、毎日、こんな感じでした。
料理は好きだし、それほど下手でもないと思いますが、自分ひとりの為だけならばご勘弁。
その不精な食生活が成り立ったのは、当時の住いの徒歩3分圏内に、でっかいスーパー、コンビニ数軒、成城石井、持ち帰り可のファストフードやカフェが複数あったおかげで、これらをぐるぐるローテーションしては、出来合いの総菜と安いアルコールで生きていました。
この頃は炊飯器も持って無かったし、そもそも部屋にガス台が無かった。自分で手配するタイプの賃貸だったんで、買わなかったんです。電子レンジとカセットコンロ、何かの景品で貰ったホットプレートがあるからもういいやと。あ、でもね、オーブンだけは奮発してデロンギの上位機種を買いました。我ながら極端。でもデロンギ良いですよ。220度までしか設定出来ない機種なのでそこだけあと一声ではありますが、コンベクションに切り換えれば加熱ムラも少ないし、庫内が広くて掃除もし易いし。調子悪くなって修理に出したら、モデルチェンジ後の新品になって返って来て舞い踊ったのも記憶に新しい処です。カスタマーサービスで『もしかしたら~』の予告はされていたものの、本当に新品が来るとは思って無かった。
話が逸れました。
そう、まともな自炊をしてなかった理由ですが、社畜あるあるで終業時間がまちまちだったのも大きかったですね。
規定通りに終われば17時には職場を出られたんですが、終わらない事の方が多かったし、公休日でも出勤してたりで、食材を買い揃えても結局は使いきれずに捨てるなら、値引き後の総菜とかサンドイッチとか、そういうモノを買う方が無駄にしなくて最終的には安上がりじゃないかと思ってました。
いま冷静に振り返ると、そういう食生活だったから、あんなにいつでも疲れてたんじゃないかとも思いますが、いやでもな、またひとり暮らしになったら同じ事をする自信がある。だって今コレだからね。風邪のせいで気力が落ちてると言うのは言い訳で、結局、自分だけの為には手を掛けたくない、めんどくさいと思ってしまう性質なわけです。
当時よりは多少なりと学習したので、米は一度に炊いて小分けに冷凍するとか、レンチンに向く野菜を買うとか、そういうことくらいはすると思いますが―――いやでもどうかな。これから齢取る一方ですからね、どんどん不精になる予感しかしないわ。
だから凄いと思うんですよ、世間に vrog 発信している皆様。
退職してからこっち、パートナーを見送ってから独りのんびり朝食を頂く習慣なのですが、そのお供につい見ちゃうんですよね。丁寧な暮らし系の動画。
勿論、あれが全て真実とも思わないですが、でもですね、素敵食器や調理道具を揃えてこじゃれた料理を作って盛り付けるだけじゃない、それなりにお洒落に家を整え、それを維持している人々が存在しているのです。取り繕った画面の向こうの世界とは言え。
いやあマメだよなあ皆さん。
自分だけの為に何品も美味しそうな料理を並べる若い女性に、好きな物に囲まれて拘りの料理を披露する独身男性。お洒落な若いご夫婦のご自宅の洗練された美しさと、手間を厭わない日々の食事。
最近、特に見ちゃうのが同年代と思しき、シングルライフを満喫するマダムの動画で、地方都市であろう広い(と思われる)一軒家の自宅とキッチンから繰り出される生活が素晴らしい。
拘り抜いて揃えたであろう調理器具に食器。ダイニングの家具。自ら菜園で育てた野菜で作る日々の料理やストック食材。また彼女は折に触れて、別居しているご両親を見舞うのですが、その母上の優雅さに垣間見えるアッパーミドルな生活のアレコレを、いーやーーー真似できなーーーーい! とか叫びつつ、見入るのを止められない。
余りに毎日飽きもせず見ているからでしょうね、先日半笑いのパートナーに『あんたもやれば? いまなら時間あるでしょ』とか寝言を言われ、バカヤロー我が家の狭くて取っ散らかったダイニングキッチンでどうしろと!? と反論したんですが、ああああああ今やっと理解した奴は『だから其処を片付けろ』と言いたかったのか!!! 察しが悪くてごめんね!!!!!
もっと判り易く言えよー。退職以来、極端に気が利かないと言うかその手のアンテナがへし折れた状態なのは知ってるだろうにさー。
―――まあ何をどう言い繕っても我が家のキッチンが惨状を呈しているのは間違いないのですが、くっそー片付けてやろうじゃないか! 主に使っているのはオレだしな!! いよおし片付け終わったらご褒美に積年欲しかったフードプロセッサーを導入してやるからな!!!
自炊すらしなかった人間が、何故に長年に渡りフープロを欲していたかというとまた話が長くなるんですが、オバチャン、飯は炊かなくても菓子は焼くので。フープロがあるとクッキー生地とかパイ生地とか格段に楽なんで十年以上ずーーーーっと欲しかったんですが、何せ奴は場所を取るので買えなかったのです。仕事が忙しくなってからは使いこなす時間が無くなり、安くない家電を買って棚の肥しに出来る程、稼ぎが無かったと言うのも大きい。暇になった今となっては、欲を言うとブレンダーも欲しいんですが、ある程度のフープロがあれば事足りるからな、贅沢は言うまい。でもフープロは是非とも欲しいので、明日から本格的にキッチンを片付けることにします。今日はね、何せ今からパートナーの夕食を作らねばならんので今日はもうムリ! とか言って明日からもやらない気がものすごくしますが、や、年内最後のゴミ収集に間に合うようには何とか! 多分!!
本日は砂抜きして冷凍しといたアサリとベーコン、キャベツに菜花でペペロンチーノです。パスタではなく、飽くまで白飯のおかずとして作ります。我が家は唐辛子抜きでにんにくと黒胡椒が多め。追いバターに、醤油たらり。
私はコレにお味噌汁があれば充分ですが、パートナーは体を動かす男なので、到底、足りない。ささみを解凍して、ハーブパン粉焼きでもしますかね。前職の同僚が美味しい生ハーブで作るパン粉の配合を教えてくれて、しかも冷凍が効くのでめっちゃ有難いですが、そうなんだよこれもフープロあると楽なんだよなー。
どうあってもキッチンは片付けねばならんようです。ちぇーーーーー。