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第4話 ライトニングサンダー@オガサワラ

 ヤマダたちは、モニカのリザルト画面を確認した。キタザワが驚いている。


「あの荒業でとんでもないことになってやがる…。ポイント1800オーバー、フォロワー122人増だと?」


「今回かなり告知も入れたからね。ランチタイムの動画視聴でまだまだ伸びるわよ」


 モニカは、挨拶してから街のほうに戻っていき、ヤマダたちも街に戻ることにした。


 ファミリーレストランみたいなところで、昼食を取ることになった。またキタザワの奢りだ。


 そこでは、各テーブルに、ホログラムのウェイトレスがいて、メニュー画面だけでなく、声でも注文できるそうだ。

 どうも細かい注文に対応しやすくするためらしい。


「ハンバーグ・ランチ、ライス大盛りで」

「スペシャル・オムライス。あ、ポップコーンのバター醤油味Sサイズつけて」

「ファイヤーバード・グリルチキン・サラマンダーソースのAセット、バーニング25番、派手盛りで」


「なんだよ、バーニング25番て?」


「うん?エフェクトだよ。君の世界だと付かないの?ちなみに二桁だと、どこの飲食店でも共通だよ」



 料理を出るのを待つヤマダたち。ヤマダが小声でクドウに話しかけた。


「なあ、クドウ、ガチであんなことする気かよ」


「ヤマダ、いさぎよく現実を受け入れようよ。たぶん、オーディエンスポイントを貯めないと帰れないよ」


「そうとは限らねえだろ。どこかに出口あるかもしれん。例えばダンジョンの奥とか、塔のてっぺんとか……」



「キタザワさん、ランキングってあるんですか?あ、出てきた。地区ランキングもあるんだ」


「ちょ、聞けよ、クドウ。塔とかさ……」


 ヤマダを無視した感じで、キタザワとクドウが話している。


「地区によって好まれる傾向が違うよ。基本的に他の地区のパフォーマーには投票できないんだ」


「地区は移動できるんですよね?マーケティングが大事ってことですね」


「そういうこと。勿論、総合ランクや地区ランク次第で、特別な報酬が貰える。週間ランキング形式だから、週末の一発逆転あるよ」


(クドウ君?俺ら高校生なんだけど、なにマーケティングって。あとキタザワ、さらっとパフォーマーって言ったよね?)



「なあ、クドウ、俺らはプレイする、つまり遊ぶつもりだったろ。オムライスうめえな」


「ヤマダは細かいこと気にしないタイプなのに、今回ノリ悪いね。大体、ここでの生活どうするのさ?視聴して貰って、ゴールド獲得しないと持たないよ。ハンバーグもいけるよ」


 パフォーマンス以外の道も模索したいヤマダが、キタザワに問いかける。


「えっと、キタザワ…さん。他の方法でゴールド獲得は出来ないの?」


「うーん、街で働く方法もあるけどね。ほとんど稼げないよ。普通は引退した人か、あとは副業でしかやらないね」


(本業みんなパフォーマーですか、そうですか。これリピート確定だろ、オムライス)


 クドウが引退について気になった。

「引退?ケガとか病気ですか?」


(いい質問だ、クドウ。オムライス食えるってことは鶏いるんだよな。それか、鶏のモンスターかな?)


「えっと、たまに……」



 筋肉質で大柄なガタイの良い男が来て、話を遮った。20代くらいに見える。


「おう、炎のキタザワじゃねえか。同席いいか?」


「よう、ライトニングサンダー@(アットマーク)オガサワラ。ここ座って」


(名前、ながっ!また記号つきかよ)



「観たかよ?プリンセス⭐(スター)モニカの今日のやつ」


「たまたま俺、現場にいたよ。かなりウケてたな、あれ」


「まさか、スウィーツの重さで攻撃とはな。どうかしてるぜ。日替わりランチにすっかな。派手盛り、ライトニング43番で」


(どうかしてるのは、お前の名前だろ)


 クドウがオガサワラに聞きたいことがあるようだ。


「ライトニングサンダー@(アットマーク)オガサワラさん、雷系統の技どんなのか見てみたいんですが。この後、近くでバトルします?」


「うん?俺は肉体派で、格闘家スタイルだから、期待とは違うかもよ。フィニッシュブローは雷撃だけどな」


(ややこしいんじゃ!長いし。マッハパンチのオガサワラとかにしろよ)


 キタザワがヤマダたちに言う。

「でも、略してルタオのバトルは観ておいたほうが良いよ。人気あるからね」


 しかし、オガサワラは、今日は都合が悪そうだ。


「すまん、俺、この後はパンデモニウムなんだよ。遠いし、うまいこと見せられる自信ねえわ」


「略してルタオ、パーティ組んだのか?あそこ、ソロじゃ難しいだろ。ランダムあるし。敵が派手だからウケは良いけど」


(だから略してルタオって何よ)


「もちろん、俺だけじゃ気絶させられないしな。4人にしたわ」


 クドウがキタザワに尋ねる。

「パーティ組むとポイントとかどうなるんですか?」


「山分けとMVP。パーティ自体にも投票されるから、影の薄かった人でも貰えるよ」



 略してルタオのバトルは、みんなで動画で観ることになった。

 ファミレスで観ても構わないらしい。


 ◇


『IT'S SHOWTIME!』


 相手はグレーターデーモンという、やや人型に近い大型で筋肉質な悪魔だった。背には翼が生えている。


「ルタオ流 十二式!鬼神風雷.com!」

『特殊な呼吸法により肉体が超絶強化されるぜ。』


「ぶちかますぜ!オープニングテーマはいつものあれだ!LTAO・ルタオ!」


 音楽が流れて、歓声のようなコールが沸き上がった。


『ライトニーング サンダーアットマーク オガサワラ!』(三回繰り返し)


 略してルタオは、拳に特殊な黒いグローブをはめている。

 戦闘スタイルは、パンチとキックがメインで、遠距離攻撃は足止め用として、たまに気弾を発する程度だった。

 連続攻撃コンボを放つことが多く、強力な攻撃がヒットする度に、なんらかのエフェクトが入る。



「ルタオ流 三十三式!www.爆速乱舞33連撃.net!」

『なにやってるか分からないほど速い超絶コンボだ。食らえばピヨるぜ。』


 コンボをくらったグレーターデーモンは、頭をふらつかせて、立ったまま気絶したような感じになった。

 どこぞのゲームで言うところのピヨリ状態だ。頭にヒヨコが回ってるやつ。

 そして、コールが沸き上がった。


『ライトニーング サンダーアットマーク オガサワラ!』(三回繰り返し)


「ボディがガラ空きだぜ!

 ひとつ!ライトニーング!

 ふたつ!サンダー!

 みっつ!アットマーク!

 オガサワラ!!!」

『拳に雷のエネルギーを纏って放つ四連撃のフィニッシュブロー。一撃一撃に時間を要するため、相手に大きな隙が出来ない限り、ヒットさせることは困難。雷撃により継続的に気絶状態に出来るので、一撃目さえヒットすれば、四連撃はほぼ確定となる』


 フィニッシュブローは、ボディに三回入れてから、最後にジャンピングアッパーみたいなパンチを繰り出すもので、最後は相手を空中に吹き飛ばしていた。


 パンチがヒットする度、殴った箇所の周辺に雷などのエフェクトが入って、漫画の驚いたときのギザギザの吹き出しみたいなのが出ていた。かなりの大きさで。


 吹き出しの中には、Lightning、Thunder、At mark、Ogasawara、と次々に表示されていた。

 そして、最後に「LTAO」の文字エフェクトが入る。


 グレーターデーモンが倒れて、更に歓声が沸き上がって終わった。

 最後に複数のスポンサー名が表示され、略してルタオ出演のCMも流れた。


 ◇


(だから略してオガサワラじゃないのか)


 クドウがキタザワに質問する。


「エフェクトすごいっすね。現場でリアルタイムで観てても同じなんですか?」


「うん、動画を後から加工している訳ではないよ。略してルタオは、コンボとエフェクト、バックミュージックにこだわってる。

 あと歓声は、実際の観客の声だよ。ファンクラブもあるから」


 ヤマダたちは食事を終えて、エフェクトのコツなんかを聞いてから、略してルタオと別れた。


 キタザワが時間を確認してから言った。

「さて、14時か。必要な物を揃えに行こうか」


我々の現実世界において、『エフェクト』とは、音響効果も含まれますが、本作品においては、通常、視覚エフェクトのことを示しています。


【ネタ元】SNKのゲーム『KOF』から「黒いグローブ」「ボディがガラ空きだぜ」。『ストリートファイター2』から「ピヨリ」。『サムライスピリッツ』から「ひとつふたつみっつ」。『ウィザードリィ』から「グレーターデーモン」。

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