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第13話 ヤマダ VS 魔王!ダブル・イッツミー・トラップ

 ここはヤマダたちの泊まっているホテル。

 ヤマダたちは、温泉に入った後、バトルスタイルを考えるため、それぞれ一人になった。広いので小さな部屋がいくつかある。


 ◇


 ルームサービスで、ポップコーンとドリンクを頼んで、バトルスタイルを考えているヤマダ。


(普通に考えると、ポップコーンだな。例えば、俺らの話がアニメ化されたとするだろ。すると、ヤマダから心の声を無くしたら、何が残るんだという話になる。ポップコーンだ。他に何があんだよ)


 ちなみに、この街では、どこの飲食店でもスナック類が買える。いつでも大画面を出して、バトル観戦が出来るためだ。音声は指向性のため、さして周りの迷惑にはならない。


(ポップコーンなら、フレーバーはいくつもあるから、色んな属性を持たせられる。魔王とも戦いやすいかも)


「ポップコーン・ストームとかマシンガンみたいな技で、大量にぶつけて攻撃する。種類は……

 塩、バター醤油、キャラメル、いちごミルク、カレー、チョコ、ココア、コンポタ、チーズ……うーん……梅かつお、マヨネーズ、メープル、ブラックペッパー、バジル、抹茶……。

 待て。色の種類がそんなにないな。フレーバーと属性が繋がらん。炎や雷がイメージ出来ないじゃん」


(たぶん、ネットってか、ホームページみたいなの見れるよな。どうすりゃ良いんだろ)


「Hey、アダム!スナック類、乾き物のリストを出してくれ」


 個人端末の名称はアダム。良く使うステータス画面や観戦スクリーンは、短縮コマンドでも出せるが、正式には「Hey、アダム」から始める。

 ヤマダが試してみたら、画面が出てきた。


「うーん……。チーズ、サラミ、ナッツ、ビーフジャーキー。和風もあるな、そりゃそっか。あられ、サキイカ、エイヒレ、鮭とば……」


(ファミレスとかのメニューだと、スナック類としか書いてなかったけど、ポップコーンとポテチ以外も頼めんのかな?)


 表示された乾き物の説明を見ながら、考え込むヤマダ。


「干物は炙って食べたりすんのか。そーいや、4組の森がエイヒレをライターで炙ってたな」


(被りなんていねえよな、たぶん。加熱だと……。そーいや、加熱の刃って漫画あったな。しかし、このカレー味うめえな)


「Hey、アダム!このポップコーンのカレー味、ホテル仕様?」


『ホテル限定のプレミアムビーフカレー味です。ホテル限定のリストを表示します』


(ホテル代が浮いたしな……)


「Hey、ルームサービス!追加オーダー。ポップコーン ホワイトチョコとストロベリーのミックス Sサイズ、あとオレンジジュース」


 ◇


 ルームサービスで、ポテトチップスとドリンクを頼んで、バトルスタイルを考えているクドウ。


(ここの技術、異常に進んでるから、たぶんいけるよな。えっと、アダム呼べば色々と聞けるんだよな)


「Hey、アダム!スポーツ番組…じゃ通じないかな。スポーツ系の動画が観たい」


 画面が出てきた。人気のスポーツが優先して表示されてるようだ。エクササイズ、格闘技、剣技…。健康系とバトル系ばかりだった。


(あれ?ないの?バスケとかサッカー)


「野球、えっとベースボール、サッカー、バスケットボールの試合動画を出して」


『それらの試合動画は、ありません』


「バトルが中心だから存在しないのかな?アニメとかありそうだけど……。Hey、アダム!ドラムダンクが観たい」


 表示された。ドラムダンクとは、クドウのいた世界で人気のあったバスケ漫画で、アニメ作品もある。

 不良たちのロックバンドのドラマーが、突然バスケやりたいと言い出すところから始まる。


(やっぱアニメはあるんだ。たぶん、ビアボーイズもあるな。俺はビアボーイズ派だけどね)


「バトル動画で球技、ボールを使うバトルを出して」


(うーん、チームプレーのスポーツというより、対人の競技がないのかな?バトルが人気でスポーツ観戦は無くなったとか?)


 ◇


 キタザワは、ホテルのテラスで考えごとをしていた。


(新人に手本を見せるためと、グリーンドラゴンとバトルしたけど、ドラゴンは何度も倒してるしな。明日のバトルどうするか……)


「大型モンスターでないと映えないから、明日はヘカトンケイルみたいな巨人族とやるかな。でも、少し飽きられてる感あるんだよな」


(クドウとヤマダに教えているうちに、アイデア出てくるとは思うけど……)


「たぶん、プリンセス⭐(スター)モニカは、弱キャラからの成長過程を見せる方法だよな。俺もドラマ性を持たせる方向にするかな。それだと……」


 ◇


 まだ考え込んでいるヤマダ。


(うーん、ヒーロー物かな。ハーハー変態シリーズみたいな。そういや、無免サイダーは、初期の設定は重かったよな。どんなだっけか)


「Hey、アダム!無免サイダーの1作目が観たい」


 無免サイダーとは、ヤマダのいた世界で、長年に渡って放送されている特撮番組。50年以上経っても続編が作られている、変身バトル物の定番シリーズだ。

 ヤマダは、画面を出して、無免サイダーのあらすじを確認している。


「そうそう。ショウワ版は、未来のディストピアが舞台で、階級の低い人は人間免許が無いんだよな。そんで、スラム街に住んでる豪轟剛ごうごうたけしが、レジスタンスを組織して、人権を得るために政府軍と戦う」


 無料だったので、内容を観ることにしたヤマダ。

 政府軍とレジスタンスの激しい戦闘が映し出されている。


「思い出した。レジスタンスが負けて、豪轟ごうごうが政府に囚われる。そんでサイダー人間に改造されるんだった。ここがキツいなー。政府側につけば、人間免許を得られるのに、豪轟は断ってスラム街に帰るのか……」


 場面は、豪轟の故郷のスラム街に変わった。


「来た、サイダー不足の禁断症状。えぐっ!ショウワの作品えぐっ!泡吹いとるし。スラム街では炭酸飲料が作れないよなー。炭酸飲料メーカーがスポンサーで良くこんな……」


『えのき、ボンバイエ!えのき、ボンバイエ!』


「なんだよ、良いとこなのに。電話?やっぱアダムは、電話機能もあるんだ。てか、着信の初期設定、えのきかよ。……あれか、ルームサービスか。追加のポップコーン来てないし、品切れ?」


 ヤマダは、画面に表示された、電話マークのようなアイコンを押してみた。


『IT'S SHOWTIME!』


「はい、ヤマダです」


『ヨボセヨ?アボジ?』


「(ヨボセヨ?英語?)ファインサンキューアンドユー?」


『Oh,dad! It's me. It's me. your son. I’m in trouble. Tony messed up! I need money. Dad please, help me!』


「(良く解らん。ホテルからじゃない?イッツミー、サン?)あ、3組の逸見いつみ?お前もこっちいんの?なんで英語?」


『Japanese? 父さん、オレオレ。息子。ヤバイことになっちまった、トニーのやつがしくじった。すぐにゴールドが必要だ。1万ゴールド、頼む、父さん』


「逸見じゃねえのかよ!てか、俺、子供いねえし!そんなカネねえし!」


『ごめん、オレオレ、逸見。久しぶりー……プツッ……』


 ヤマダは電話を切った。ヤマダの図鑑データに、戦闘記録が追加された。



[名称]スウィンダラー・フラメンコ・ヨコヤマ

[種別]詐欺師 / 魔王

[大罪]強欲 / 怠惰 / 嫉妬

[レアリティ]SSS

[特徴]超遠隔攻撃が可能

[スキル]

ダブル・イッツミー・トラップ



 この世界においても、他人を騙して財産を奪おうとする者は罪人である。


【ネタ元】曲『アンダルシアに憧れて』から「ヤバイことに……」。曲『炎のファイター』から「ボンバイエ」。漫画『SLAM DUNK』から「ドラムダンク」。『DEAR BOYS』から「ビアボーイズ」。『仮面ライダー』から「無免サイダー」「改造」「豪轟剛」。『スーパー戦隊シリーズ』から「ハーハー変態」。『鬼滅の刃』から「加熱の刃」。

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